第12話
部屋で一泊してから先に進むことした。
この階層で出てきたのはドラゴンがメインで出てきたのは通路ではアースドラゴンのみで部屋に入ればレッドドラゴンとホワイトドラゴンが出てきた。ホワイトドラゴンはレッドドラゴンが炎に対して氷を出してきた。流石に氷という物質であったので《地魔法アースウォール》でも防げた上に《火魔法ファイヤーウォール》だとその氷が溶けてしまうのでレッドドラゴンよりは倒しやすい敵だった。
そして、七階に降りたところそこには大きな扉だけがそびえ立っていた。どうやらここがこのダンジョンのボスの部屋なのだろう。その扉の前にはかなりの量の人骨が落ちていた。僕はこの扉の前で一晩休んでから扉へと手をかける。
大きな扉を開けると中では血を流す今までで一番大きなドラゴンが横たわっていた。どうやら、そのドラゴンは眠っているようだった。僕が部屋に入るとゆっくりと目を開け、身体を起こす。そして、
「小さき者よ。我を倒しに来たのか?」
ドラゴンがしゃべったのだ。
「え、あなたはしゃべれるのですか?」
僕は思わず聞いてしまった。
「我をその辺の者どもと一緒にするではない。我は神が作った三神獣の一体である」
「三神獣って何ですか?」
ドラゴンは驚いた声で
「我等の事を知らんというのか。そうか、前に来た小さき者を我のことは知らなかったな。ならば、其方も知らぬのは仕方なかろう」
ふぅっと、一息つくとドラゴンが語り出した。
「我等は神がこの世界を作った時に最初に作ったのが我等三神獣である。我が皇龍神グランバハムート、他には王獣神アークベヒーモス、海神獣キングリヴァイアサン、これらが三獣神である。我等は神によりそれぞれ空、地、海を統べる者として生み出された」
「なるほど、その時には我々小さき者は何処にいたのですか?」
「小さき者か……、小さき者はまだ作られておらなんだな」
「え、まだ何処にもいなかったのですか?」
僕は驚いた。世界創世の時に我々人族はまだいなかったというのだ。では、我々人族はどこから来たというのか?
「小さき者はいつ頃この世界に出てきたのですが?」
「ふむ、長い年月が経ったあるときに、神に言われたのよ。今度神に似た生物を作り出すとな。その時に生まれたのは確かハイエルフとかいう種であったな。我等はその時はそのハイエルフに関わらないように言われておったのでその者等が何処に住んでいたというのは知らんぞ」
「そのハイエルフが生まれて数百年経った時に神より思ったより成果が出ておらんと言われての今度はエルダードワーフという種が生まれた。結局その種にも関わらないように言われていたので我等三獣神は関わらずいたのう」
「その後も神は様々な種族を生み出したが神の思ったような成果が出なかったらしいがの。しかし、それだけの種族が生まれたのだ。あるところでは我等三獣神の眷属と縄張り争いなどを起こしておった。争い等は起こっておったがその争いの後は縄張りが決まり、決まった後は争いは無くなっていた」
「だが、最後に生み出された小さき者どもは高い繁殖力をほこりその繁殖力と自分たちと似た他種族との連結して我等三獣神の眷属の縄張りを奪っていったのだ。我等は神に抗議した。しかし、神は小さき者達の味方をしたのだ。そして、我等の眷属は次第にその住処を追われていった。我等は神にこの世界を統べるようにと生み出されたはずなのだ。それを、小さき者達が成り代わろうとしていた。それが、我等は許せなかった」
怒りに声を震わせていたドラゴンがふぅふぅと荒い息を吐く。
「そして、我等三獣神は神に問いかけた。この世界を統べるのは我等ではないのかと。すると神は言った。『あなたたちの時代はもう終わったのです、後は人間達にこの世界を託しなさい。あなたたちの最後の仕事は人間達の進化と成長を促すために大きな壁としてあることだけです』と、そんなことが許されるのか。我等は世界を長いこと統べて来た。それを生まれてからそれ程経っていない小さき者達に譲るために用済みと言われたのだ。我等三獣神は残った眷属を引き連れて神に戦いを挑んだ。しかし、結果は敗北してしまったがな」
ドラゴンがため息をつく
「そして、我等三獣神は罰としてこのダンジョンで小さき者どもの最後の試練としての役割を押しつけられたのだ。しかも、負った傷は直らないという呪いまでかけられてな。わかるか、この傷から止まること無く血は流れていく。しかし、それによって死ぬことはない。本当に最低な呪いだ。もうどれくらいこのような状態でいるのかも覚えておらぬ」
僕は黙ってドラゴンの独白を聞いていた。