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第113話

 次の日の朝になり僕達は冒険者ギルドへと向かう。ギルドの朝は街の中での依頼を受ける人達で溢れていた。


「あ、すいません、フレイさん少しの間待っていて頂けますか? もう少ししたら空いてくると思いますので」


 昨日対応してくれた受け付けのお姉さんが少し待ってくれるように言ってきたので僕達はギルドで空いていたテーブル席に腰をかける。元々、ギルドでは簡単な食事くらいは出来るようになっているのでテーブル席は結構な数が用意されていた。


 僕達が椅子に座って受け付けのお姉さんに時間が出来るのを待っていると、昨日マリア達を助けてくれたファールン王国側の最強の冒険者ラントが声をかけてきた。


「やあ、君達は昨日の女性達だね。やっぱり、冒険者だったか。そして、君が彼女達のパーティーのリーダーで良いのか?」


 彼が僕の方を見て声をかけてくる。


「ええ、僕がこのパーティーのリーダーのフレイです。まあ、彼女達は僕が買った奴隷なので必然的にリーダーになっていますけどね」


「ああ、やっぱりそうなのか。奴隷紋が見えたから、もしかしたらとは思ったが…。まあ、それに対して

彼女達は悲観してそうでは無いから助けるとかは間違いみたいだな」


「そうですね。私達はご主人様の奴隷であることに不満は全くありませんね。ご主人様と同じ食事をして普通に睡眠を取り、さらには冒険者として活動するために訓練をしました。そして、並の冒険者の人達よりも強く鍛えて頂きました」


 セシリアが皆を代表して言う。


「そこまで、まっすぐした目で言われると何も言えないな。ああ、でも、名前ぐらいは聞きたいかな。俺の名前はラント、ファールン王国側の冒険者だ。後ろにいるのは俺のパーティーメンバーでシャーリー、セイル、フェルミナだ」


 ラントの後ろにいた人達が頭を下げる。ラントのパーティーは男性2人、女性2人のメンバ-らしい。


「僕の名前は言いましたから、こちらが僕のパーティーのセシリア、カルラ、フィーナ、マリアです」


 セシリア達が頭を下げる。ラントの目がフィーナの名前を言ったときにだけ鋭くなったのには気になったが僕はそれに気付いていないように紹介する。


「フレイは何をしているんだ? 依頼を受けるなら並ばないと遅くなるだけだぞ」


 ラントは親しそうに声をかけてくる。それを聞いて、マリアは目を細めて、少し不快そうな顔をしている。


「僕は家の購入をしようと思っていてね。昨日、受け付けのお姉さんにお願いしていたんだよ。だから、受け付けのお姉さんを待っているだけだね」


 僕は、気にしていないという風に普通に応える。


「フレイはこの街に家を買うのか。借家じゃダメなのか?」


「家があれば色々実験が出来るからね。流石に、借家で実験して壊したとなったら申し訳ないし」


「へえ、フレイは錬金術でもやるのか?」


「まだ、実践はしてないけどね。まずは家を守る用のゴーレムを作ろうかと思ってるよ」


「でもよ、ゴーレムって弱点あるよな。動力で弱点の魔石は丸見えだし。ゴーレムの強さは魔石によって変わる。フレイは、そこまで、強い魔石なんて持ってるのかよ」


 ゴーレムの強さは魔石に余って変わる。ゴブリンの魔石ならゴブリンと一緒の強さしか無い。しかも、魔石に含まれた魔力が少ないためかゴーレムとして活動できるのは1日も持たないのだ。オークの魔石でも活動は2日持てば良い方と言われている。家を守るためとはいえ、ゴーレムを作るのは金持ちと道楽と言われていた。


「今は余りない。お金を作るためにかなり売ったからね。まあ、今すぐにゴーレムがいるわけじゃ無いから。今は、作って見てから改良できないかと試行錯誤をする感じかな。まあ、それも、ゴブリンの魔石等でするけどね」


「なるほどな。もし、納得出来るような代物が出来たら見せて貰ってもいいか? もしそれが、実用的な物になるようだったら金を幾らでも出す」


「何で、そんなに食いつきが良いの?」


「俺の国、ファールン王国は帝国と戦っているのは知っているか?」


「それは知っているよ。食事処とかに行くと皆が噂してたからね」


 僕の言葉にラントが大きく頷く。


「戦いにゴーレムを使うことはよくあるんだ。人間はずっと戦い続けるような事は出来ないからな。交代して休ませながら戦闘はするがそれでも疲労は溜まる一方だ。だから、ゴーレムを兵代わりに使うことがある。俺がここで冒険者をしているのは、ゴーレム用の魔石を取ってくることも仕事の中に入っているからだ。ただ、流石にゴブリンやオークの魔石なんてキングクラスでも無ければ意味が無い。最低でもオーガクラスの魔石じゃないとほとんど意味が無いな」


 ラントが袋から飲み物を出して口にいれた。


「だから、もしフレイの研究でゴブリンやオークの魔石でオーガ並みのゴーレムを作れるのなら教えてほしいんだ。それが出来たらゴーレムがかなり戦力になってくるからな。ファールン王国でも研究をしているらしいとは冒険者側でも噂になっているば。ただ、前に前線に1ヶ月程行っていた冒険者がいたがその時は今までのゴーレムと変わっていなかったと言っていたから上手くはいっていないんだろう」


「なるほどね。まあ、でも、これから研究するんだから気長に待って貰わないといけないけどね。後、研究が上手くいくかは分からないよ」


「分かっている。帝国は定期的に戦争を仕掛けてくるからな。今回とは言わず、次の王の時にでもその研究が実を結べば十分だ」


「分かったよ。研究が上手くいったらラントに教えるから」


「助かる。そろそろ、冒険者の数も減ってきているようだな。じゃあ、俺達はダンジョンに行くから今度は飯でも一緒に食べに行こうぜ」


 そう言ってラント達は手を振ってギルドを出て行った。僕はそれを手を振り替えして見送る。


「何て言うか、大物だね。初めて会った僕に馴れ馴れしくしてくるなんて、でも、別に不快に感じなかったんだよね。あれはあれで生まれ持った才能かな」


「ご主人様、ゴーレムの研究はされるんですか?」


「するよ。今すぐ必要になるわけじゃ無いけど、いずれは必要になると思っているからね」


 セシリアと話していると受け付けのお姉さんが慌てたように近づいて来て、頭を下げる。


「すいません、フレイさんお待たせしました」


「こちらこそ、すいません。忙しい時に来てしまいました」


「それでは、早速行きましょうか。今回は金額が金額でしたので期待して下さい。きっと、満足して貰えると思います」


 受け付けのお姉さんとギルドを出る。


「冒険者の方は訓練するために庭が大きい方が良いと言われる方が多いので、クランギルドの方がご利用するような大きい家を用意しておきました。しかも、台所だけでは無くお風呂も付いている家です」


 そう言って、案内してくれたのはギルドからは離れていたが、お金持ちの人が住んでいるような大きい家が並んでいる区画だった。


「昔は貴族が住む区画だったんですよ。ただ、ここが自由都市になってしまったので住んでいるのは複数のパーティーでクランを組んだ冒険者さん達ばかりになって貴族方はいませんね」


 案内がてら受け付けのお姉さんが説明してくれる。


「で、こちらがフレイさんに紹介しようと思っている家になります」


 そこにはかなり広い庭が付いている()()だった。

ラントのしゃべり方などを変えました。

フレイと被ってしまっていたので…

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