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第108話

 サイト村から依頼を受けた街へと帰り冒険者ギルドへ報告へ向かう。


「お帰りなさい、思ったよりも早かったですね。オークが10体ぐらいいると言っていたのでもっと掛かると思ったのですが」


「その事なんですけどね」


 僕はサイト村での事を話す。オークが30体はいて集落を作っていたことをだ。僕の話を聞いて受け付けのお姉さんは驚いていた。


「まさか、そこまで大きな規模になっていたんですか。本来ならBランク以上の冒険者の方にお願いするような依頼なんですけど、よくDランクなのに討伐することが出来ましたね」


「オークを倒せればDランクになれますよね?」


 僕はオークの魔石をギルドに卸したことによりDランクからスタートしている。Cランクからは試験を受けなければいけないので受けてはいないののだが。


「普通は1体のオークを倒せればDランクからのスタートにはなりますよ。しかし、Dランクでは普通は複数のオークを相手は無理と言われているんですけどね。もしかして、フレイさんかなり強いですか?」


「少し前まで聖霊のダンジョンに行っていましたよ。15階層迄行きましたね」


「15階層って最下層じゃ無いですか。もしかして、聖霊様のところまで行っちゃったりしちゃったりとか?」


 受け付けのお姉さんが恐る恐る聞いてくる。


「いやあ、流石にそこまでは、15階層をち……」


「私達、聖霊様に会ったんだよ」


 僕の言葉を遮りフィーナが聖霊フェンリルに会ったことを言ってしまう。


「あ、言っちゃった……」


 セシリア達が困った顔をしていたために言ってはいけないことだとフィーナは気づいたようだ。


「あ、えっと、余り、人には言わないで下さいね。下手をすると貴族に目を付けられてしまうかも知れませんから」


「あ、はい、大丈夫ですよ。聖霊様の事はここのギルドマスターにも言いません。まして、貴族やこの国の騎士に知られてしまえば騎士団が来て殺されてしまいますから」


「殺されるの!?」


 フィーナが大きな声で驚いた。セシリア達も声には出さないが驚いていた。


「そうなんですよ。ここだけの話なんですけどね。この国王族や貴族って腐っている人達が多いんですよ。聖霊のダンジョンを攻略したらこの国の騎士団長が持っている聖槍が使える用になるじゃ無いですか。それを騎士団以外の人が使えないように聖霊のダンジョンを攻略した人を秘密裏に殺しているらしいんですよ」


 その国で聖武具を独占するなら所有する資格を持った者を殺して行けばその国が独占できる。そして、この国、バルドラント王国では聖武具を独占するために資格を要した者を殺しているらしい。


「もし、この国の貴族等に知られてしまったら騎士団長が出向いてくることもあるらしいですよ。過去にあるパーティーが攻略したことがあったんですけど、そのパーティーは一年もしないうちに何処かの街で死体となっていたそうです。パーティー全員が晒されるように死体になっていたらしいです。あ、でも、安心して下さい。我々、冒険者ギルドがこの国の貴族等に言うことは絶対にありません。有望な冒険者を失うのは我々には損失以外ありませんから」


「ん、まあ、向かって来ても返り討ちにはするので良いんですけどね。僕ならその騎士団長に対応は出来るけど、彼女たちでは無理ですからそこだけ気をつけないといけないかな」


「自信満々な冒険者を沢山見てきましたけど気をつけて下さいね。そう言う冒険者に限って実力を見誤って早死にしますから。まあ、聖霊のダンジョンに行けるぐらいですから自信はあっても良いですけど言葉には気をつけて下さいね。この国の騎士団長は聖武具を持っている為なのか本当に強いですから」


 受け付けのお姉さんが僕達の事が心配なのか注意してくる。


「お姉さんは騎士団長が戦っているのを見たことあるんですか?」


「はい、ありますよ。この国では年に1度武術大会が開かれています。王都で開かれていますが常に騎士団長が優勝してますね」


「常に同じ人が優勝していて皆は飽きないのかな?」


 僕なら常に結果が同じなら飽きてしまう。


「武術大会とは言っても出てくるのは犯罪を犯した冒険者や貴族の領地などで捕まった犯罪者等ですね。実際、武術大会とは名ばかりで犯罪者の処刑場と化していますよ。それを、娯楽として国民に見せるのと騎士団長の実力を見せて反抗する気持ちを折る事が目的みたいですけどね。冒険者ギルド関係者も毎年数人見せられているんです。私も一昨年にギルドマスターと一緒に強制的に見させられましたよ。あれは本当に最悪の催し物ですね」


「なるほど、そう言う催し物を見せることで騎士団長の実力を見せて貴族や国民に反乱しても無理だと言うことを教えているわけだ。この国の王様っていうのは実は国民や貴族に嫌われているのかな?」


「ちょっと、そんな事言わないで下さい。何処に貴族や王の耳があるか分からないんですから。ただ、余り良い評判は聞きませんね」


 最後の方は小声で僕にだけ聞こえるように言ってきた。


「分かりました。まあ、僕達はこの国をどうしたいとか言うのはありませんけどね。ただ、ダンジョンに行ってお金を稼いで悠々自適に生活したいだけですから」


「ダンジョンでお金を稼げる冒険者も全体の数を見れば少ないんですけどね。フレイさんは大丈夫ですけど。でも、気をつけて下さいよ。油断したらどんな強い冒険者も命を落とすんですから」


 受け付けのお姉さんの最後の言葉はとても悲しそうだった。誰か大事な人でも無くしているのかも知れないが流石に聞くことはせずに僕達は報酬を受け取りお礼を言ってギルドを後にした。


「この街で泊まろうかと思ったけどやめた。このまま先に進むよ。町中よりも道中の方が逆に安心だからね。マルンまで行けば貴族も王族も手を出しにくいだろうからね」


「そうですね」


 セシリアが頷き、それに他の皆も頷く。


 買い物をすること無く街を出る。監視している目に気づくことも無く。


 

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