8話
8話です!!!!!!
突然だが__香月は過去、十二人のヴァンパイアと十一人のヴァンパイアハンターと共に、日本のヴァンパイアを二つに区別し、一方を絶滅させている。
判断基準は単純明快、人間に害を成すか成さないか。
害を成すと判断したヴァンパイアを有無を言わさず殺し、害を成さないと判断したヴァンパイアは保護した。
前者と判断されたヴァンパイアの数はおよそ三万、後者はというとその半分も満たさなかった。
事の発端は一人のヴァンパイアだった、と言うと少し語弊がある。
彼はヴァンパイアとしては未熟者だった。
未熟者のヴァンパイアには、主に三つの特徴がある。
純銀に触れれば、触れた箇所が灰化する。
日の光を浴びれば灰となる。
そして__吸血欲を抑えられない。
ヴァンパイアの吸血欲とは、人間にとっての三大欲求のようなものだ。
食欲、睡眠欲、性欲。それらに加えてヴァンパイアには、この吸血欲がヴァンパイアとして生まれたその瞬間から備わっている。
事の発端となった彼は、ヴァンパイアになった瞬間に吸血欲を暴走させた。
彼はあろうことか、日中に吸血欲を抑えきれず人に襲いかかった。それも運が悪いことに、彼が襲いかかった少女は、当時日本で三本の指に入ると言われていた百姓の御令嬢だったのだ。
たちまちその事件は拡散され、日本は騒然とした。
そして始まったのが吸血鬼狩りだった。
中世のヨーロッパで行われた魔女狩りのヴァンパイアバージョンといえばわかりやすいだろう。
それまで人間と友好関係を築き、WINWINの関係を築いていたヴァンパイアも、寺子屋の先生として人間の子供たちに読み書きを教えていたヴァンパイアも、田舎の街でひっそりと生きてきたヴァンパイアも、人間に擬態し普通の高校教師として生活していたヴァンパイアも、人間たちは赦しはしなかった。
それどころか、過激さを増していく吸血鬼狩りの中で人間の犠牲者も出始めた。
__疑わしきは純銀の杭で心臓を撃て!
__灰になれば吸血鬼だ!
さらに混乱に乗じて強盗をする輩まで現れ、日本は混沌に陥った。
混乱を止めるべく、人間を守るべく、そして善良なヴァンパイアを守るべく立ち上がったのが、香月を含めて十三人のヴァンパイアと十一人の人間のヴァンパイアハンターだった。
話は冒頭に戻る。
香月たちの手によって行われたヴァンパイアの大量殺戮……それは日本国民へのデモンストレーションだったのだ。
自分たちの手でヴァンパイアを殺し、「ヴァンパイアには秩序がある。ヴァンパイアに抗う力を人間たちに与えた。これ以上人間たちに害を与えない」そう主張するためのデモンストレーションだった。
それは結果的に成功した。
吸血鬼狩りはなくなり、人間たちへの被害もなくなった。
そして、香月たちは平和を取り戻し、表舞台から消えて行ったのだ。
読んでいただきありがとうございました!
(感想、評価、ブックマークお待ちしております……!)
(過去に書き上げたものを区切りごとにアップしているため、ボリュームにばらつきが出てしまい、今回はとても少なめになってしまいました)
(これを書いた当初、私はラノベを書き始めて三、四ヶ月……稚拙な部分が多いこの作品ですが、先ほど確認してみたところ、作品を評価してくださった方がいてとても嬉しかったです!)