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なろラジ大賞2 応募作品

名探偵

作者: 海堂直也


 『こんにちわ』と言うべき時間であろうか、しかし私は迷わず『おはよう』と挨拶をしながら半分開いたシャッターをくぐる。


 炭火焼きの飲食店の匂いは独特で、腹が減るというより一杯やりたくなる。鼻孔をくすぐられる刺激を追い越して、この店の特有な騒ぎが渦巻いている。


 毎度毎度この店は人騒がせで仕方ない。何も問題が無い日でも《あーでもないこーでもないと》のべつ幕無し。つまり何かあろうがなかろうが、私はこの店に巻き込まれるのだ。もっとも店長なので、当たり前なのだが。


 今日もウチのスタッフは絶好調。挨拶より先に《あーでもないこーでもない》が始まる。皆が一斉に喋るので全容が掴みづらい。それも毎度の事で慣れてしまった。どうやら、差し入れで頂いたドーナツがなくなっているらしい。誰も見てないし、触ってもいない。忽然と消えてしまったようだ。 


 こんな時は私にお任せ。この名探偵が即座に解決。

 

 ドーナツを頂いたのは昨日の営業前半。仕込みチームのスタッフにも分けようと、冷蔵庫へ保管。私がAに画像をLINEをしたのだから間違いない。あれから今までの間に何が起きたのか、ドーナツの事を知っていたのはAだけ。だが、わたしは今、重要な事を思い出した。


 昨日、締めチームのスタッフBに「このドーナツなんですか?食べて良いんですかぁ?」と尋ねられ、レジ締めをしていた私は何も考えず二つ返事。Aにあげると約束した物をBにあげてしまい、一緒に美味しく頂いてしまったのだ。


 ここまでを淡々と説明した後で声を高らかにポーズを決める。


 「つまり!犯人は俺だ!!」


 今回も事件は即座に解決。


 そして店内には静寂が訪れ視線は私に集まる。


 「ごめんなさい。」

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 名推理が始まるのかと思ったらオチで笑いました笑
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