7話 帰宅後の2人 ーー由紀sideーー ①
今日は、2話投稿します.おそらく、遅くなってしまうかもしれませんが、よろしくお願いします.
ーー高野 由紀sideーー
今まで、私は男性というものが怖かった.私は、自身の手入れにも手を抜いたこともなく、もともとの遺伝も関係していることもあり、整った顔立ちと、体格をしていると思う.しかし、そのこともあってか私は多くの視線に晒されることも多かった.また、多くの人から告白もされてきた.しかし、その人々は毎回、私の胸を見ながらであったり、何か変なことを考えてそうな視線でこちらを見ながらしてくるものであった.そんなことが続き、私は徐々に男性と距離を置くようになっていった.
周りの普段一緒にいるみんなもそのことをわかっているため、私にちょっかいをかけようとしてくる人たちに対して、注意してくれたりしていた.そのこともあったため、高校に入学してから多くの視線に晒せれていたが、告白されるようなことはなかった.
しかし今日、久しぶりに告白された.それは、一度も話したことがない、新しい隣の席の人だった.あまりに急なことや、しばらく告白されるという経験がなかったため、戸惑って、保留という形をとってしまった.その人は、その後、いろんな人から質問やヤジをされていた.その中の話で、彼の名前が「辻 龍弥」ということがわかった.近いうちに、私は彼にちゃんとお断りを入れないとと思ったが、私は彼に告白された、彼がしっかり私の目を見て言ってきたことを思い出して、この人は他の人たちとは違うのではないのかと密かに思い始め、無意識のうちに意識し始めていたことに、この時はまだ気づいてなかった.
その日の放課後、私は、サッカー部で特に有名な先輩に非常階段の下の方に1時間後にくるように、頼まれた.突然教室に来て、そう言われたので当然私の友達もその話を聞いていて心配してくれたのだが、みんな今日はそれぞれの用事があるらしく、一緒にいられないらしかった.だが、その友達たちによると、先輩はかなり評判がよく、人柄も特に問題ないらしいので、少し緊張するが向かうことに決めた.
その後1人教室で少しの間自習して、約束の時間の5分前になったため、私は待ち合わせの場所に向かうことにした.
[おそらく、これって今から告白されるんだよね.先輩には申し訳ないけど、やっぱり男性のことは怖いな...丁重に断ろう]
本日、2回目の告白で、今回は心の準備もできており、信頼できる友達から人柄的に問題ないという情報を聞いていたため、緊張と恐怖心はもちろんあるが、それでも勇気を持って、向かっていくのであった.
約束の場所に着くと、すでに先輩は待っていた.そして、私を見つけた先輩はこちらによってきて、
「来てくれてありがとう!急なことでごめんね」
『いえ、気にしてないですよ.それで先輩、要件は一体なんですか?』
「わかっているとは思うけど、改めて言わしてもらうよ.君のことが好きだ.僕と付き合って欲しい.」
と、予想していた通り、先輩に告白された.しかし、予想をしていたと言っても、やはりこの雰囲気は緊張する.しばらく、時間が止まったように2人の間に静寂が生まれた.
が、その静寂の時、先輩の目を見ると、その視線の先は私の胸の方に向けられていた.
[やっぱり、この人もそういう目的なんだ.]
と、いつも通りの展開に緊張していた気持ちが吹き飛び、同時に恐怖心が大きくなっていた.しかし、それと同時に、今日昼間に告白してきたある男子生徒のことが頭に浮かんだ.辻 龍弥のことである.彼の瞳は真っ直ぐ由紀の目を見ており、そのほかのものには一切向けられなかった.だが、そのことを思い出していた時、不意に先輩から、
「高野さん.そろそろ返事をもらってもいいかな.」
と、言われ龍弥のことを振り払おうと頭をふり思考をかえ、先輩に告白の返事をするのであった.
『すみません、先輩.私は、先輩の告白を受け入れることができません.だから、お付き合いすることもできません.』
と、勇気を出して、頭を下げながら告白を断った.
またもや、2人の間に静寂が流れたが、その静寂が消えたのは、唐突な言葉からであった.それは、
「はっ」
と、いう声だった.驚いて、由紀が頭を上げると、ものすごい形相をした先輩の顔があった.
「今、なんて言った?もう一度言ってくれないかな?」
と、威圧的に言われ、足がすくんでしまいそうになったが、それでも勇気を降り絞って、もう一度告げるのであった.
『で、ですから、わ、私は先輩とお付き合いすることはできません.』
と、改めて断ると、急に先輩が近づいてきて、私の手首を掴み、壁に押し付けた.
「おい、あんまり調子に乗るんじゃないぞ.俺が付き合おうと言っているんだぞ.それを断っていいと思っているのか‼︎」
と、大声で言われた.この時の私の心はすでに、恐怖心に完全に支配されていた.目を合わせれない.前を向くのが怖い.といった気持ちに陥り、俯いていた.それに、また機嫌を悪くしたのか先輩が、掴んでいない方の腕で顎を掴み、自分の目を見るように向けさせた.そして、
「なんで、俺じゃダメなんだよ!!」
と、叫んだ.
[怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い]
今までにない経験により、パニックになり、口が全く開かなくなってしまっていた.
その様子を、見た先輩は、追い討ちをかけるように、
「お前が俺と付き合わないというのなら、俺にも考えがある. 俺の親父はこの学園に多額の寄付をしているんだ. この意味わかるよな? お前の高校生活は返答しだいでは、終わりだと思え.」
『そんな…そんなことって』
[私の高校生活が終わる⁉︎そんな、まだ何にもしていないのに.まだ、いっぱいしたいことがあるのに、そんなの、そんなのないよ...]
と、あまりの出来事に、恐怖心が限界まで達して、しまったようで不意に涙がこぼれ始め、私は泣き始めてしまった.
[いやだ、学校辞めたくない!でも、先輩とも付き合いたくない!誰か、誰か助けてください!]
と、心の中で願った.その時、何故だかわからないが、龍弥の顔が思い浮かんだ.すると、
「おい、テメェ‼︎ 女の子は泣かしちゃダメで大切にしないといけないって親から教えてもらわなかったんか.」
と、声がして、その声の方を見ると、換気扇の近くに人がこちらを見て立っていた.その人物はたった今、自身の頭に浮かんだ少年、辻 龍弥であった.
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