5話 その後の2人
「えっ、俺なんかと付き合ってくれるの?俺さっきも先輩に言われた通りぼっちで陰キャだよ.高野さんと全く釣り合ってないよ?そこんとこ大丈夫?」
『もう、私と交際したくて告白したんじゃないの?それなのに変なの!』
と、俺が今まで見てきた中で、最も美しい笑顔で返事をされた.しかし、龍弥の告白は誤ったものであり、正式のものではないため、そのことを伝えるべきか非常に頭を悩ましていると、
『あと、今の龍弥くんのセリフの中に二つ修正点があります.まず、「俺なんか」なんて言葉、絶対に使ってはいけません‼︎ 私は、君のことをほとんど知らないけど、私が知ってる君だけでもこんなに魅力的な人なんだから.だから、私が知らない君を知りたいと思うし、私自身のこともいっぱい知って欲しいと思っているわけですよ.だから、「俺なんか」とかそれに似た言葉を使ったら、ものすごく怒ります!気をつけるように!』
「ありがとう.正直、俺は自分自身が嫌いだけど、そんなふうに君が俺のことを思ってくれているなら、俺も自分自身を否定するようなことを考えないように、頑張って気をつけてみるよ.それと、もう一つは?もうあるようには思えないんだけど....」
『本当にわからない?本当の本当に?』
そう言われては自分が何か彼女の気に触れることをしてしまったのかと、自身の言動を振り返ったが、やはり思いつかず頭を悩まし始めていると、
『では、これは今日一緒に帰って別れるまでの宿題ということで.もし当てられたら、私から素敵なご褒美をあげましょう.』
と言われ、ご褒美がなんなのかとても気になり、必死になって探そうとし始めようとしたが、今の言葉にとても気になることがあることに気づいた.
「えーと、ごめん.一緒に帰るって誰と誰が?」
『えっ、私と龍弥くんのことだけど.もしかして嫌だった?』
と言われ、思考がフリーズしてしまったが、こちらを上目遣いで見つめ、先ほどまでの美しい笑顔が崩れ、だんだんと泣きそうな顔になってきた高野を見て、
「いやいや、全然嫌じゃないです!むしろ大歓迎です!まじ最高で泣きそうです!」
と、龍弥がいうと先ほどまで泣きそうであった高野の顔がパァーーと明るくなり、また満面の美しい笑みに戻っていった.
その後、切った髪の毛の掃除を行い、高野さんに手伝ってもらいゴミ箱に捨て、掃除だなに道具をしまい、そして、
『よし、じゃあ帰ろっか!』
「う、うん.行こっか...」
そう言って、2人で教室を出て、階段を降り靴棚に向かっていった.
(視線が痛い.さっきよりもやばい...)
靴棚に向かう途中で、部活中の生徒や教室に残っていたであろう上級生や他クラスの生徒に見られて、驚きの声や、ひそひそ話をされており、龍弥は1時間前に帰ろうとしていた時よりも多くの隣の高野はこういう視線は慣れているのか、気にしない様子でとてもご機嫌な様子で歩いていた.
そして、
『ねぇ、龍弥くんはさ休日とか何してるの?』
と唐突に、質問された.
「えーと、俺は大体、勉強か漫画とか読んでるかな.ぼっちなもので一緒に遊ぶような人もいないから......」
改めて、言うたびに悲しくなるような内容だし、実はこのことの他にアニメ鑑賞というオタク趣味があるのだが、流石に今日初めて話したばかりである彼女にそのことを言えるほどの度胸は龍弥にはなかった.そもそも、ほぼ初対面に近い相手にそんなことを言えるような人であれば、そもそも他人からぼっちとか、陰キャとか言われることは、なかっただろうが.
『そうなんだ〜もしかして、龍弥くんって結構頭いい?』
「そうだけど、高野さんほどじゃないよ.高野さんって確か、俺らの学年の主席だよね」
『そうだよ!でも、ちょっと最近は、友達とかと遊びすぎて疎かになってるけど....そうだ!そろそろ、中間試験だよね.もしよければ、一緒にしませんか?』
「も、もちろん.こちらから、お願いするよ.」
と、そんな感じで会話を続けていた.
「そういえば、高野さんの家ってどこなの?」
『え〜と、近くに小学校と大型スーパーがあるところだよ!あと目の前に8階建てのマンションがあるかな』
「あれ、そのマンションってもしかしてだけど俺の住んでるところかも.」
『えーーそうなの?私すっごく嬉しいな!なら、これからいつも一緒に帰られるね!そういえば、龍弥くんって部活入るつもりある?』
「う〜ん、俺、中学でバスケしてたから、高校でもそうしようかなって思っていたけど.高野さんは?」
『私は、中学校の時もしてなかったからするつもりなかったけど、龍弥くんがするなら、私もしようかな〜』
どうやら、高野さんはどこかの部に属すと、そこの部に人数の偏りができるようで、所属していなかったらしい.しかし、俺という彼氏ができたために、そのようなことは起こりにくくなるので、することに決めたらしかった.
「でも、部活するって言っても何をするの?バレー部とか?」
『う〜ん、残念ながら、私そんなに運動は得意じゃないからなぁ〜 そうだ!私、バスケ部のマネージャーになるよ!それなら一緒にいられるし、一緒に帰れるね!!』
「えぇ〜いいの?なんか俺に合わせさせているようで、申し訳ないんだが.」
『全然いいよ!私が、龍弥くんと長く一緒にいたいんだから!気にしないで.』
そんなこんなで、話が続き、互いのことが少しずつわかってきたところで、俺のマンションと高野の家の前の道に着いた.
『もう、着いちゃったね.それで、私の出した宿題の答えはわかった?』
「あっごめん.高野さんと話すのに夢中になって、考えるの忘れてた.」
『その様子じゃ、今日中は無理っぽいね.じゃあ、素敵なご褒美はお預けってことで.』
(くそー完璧に忘れていた.でも、今考えても全くわからないしなぁ.惜しいことしたかも.)
『それじゃあ、私こっちだから、じゃあね』
「う、うん.それじゃあまた・・」
そういった時、ふと龍弥に一つの考えが浮かんだ.
(そういえば、高野さん俺のこと『龍弥くん』って.いろんなことがあって、きにしてなかったけど、もしかしたら...もしかするのか?だが、俺にはリスクが高すぎる.が、しかしご褒美が気になる.)
と、別れの挨拶の途中で悩み始めた龍弥に、心配した様子で帰ろうと後ろを向いていた体を振り向いて、
『どうしたの、龍弥くん.大丈夫?』
「う、うんごめん.なんでもないよ.」
『そう?ならいいんだけど.それじゃあ、改めてまた明日.』
と、言われ、慌てて
「うん、それじゃあね、由紀さん」
と、言ってしまった.
その瞬間、2人に静寂が訪れた.そして、
『い、今龍弥くん私のこと名前で.』
「ご、ごめん.今日初めて話したのに、なれなれしかったよね.つい、口が滑って.」
『い、いや.全然大丈夫だよ.それに私の宿題は正解です!」
「えっそれって」
と、龍弥が言おうとすると、高野が近づいてきて
『ちゅっ』
と、龍弥の頬にキスをした.そして、
『それじゃあ、また明日ね!』
と、言って、家に帰っていった.
初めての、経験に龍弥はしばらくそのまま立ち尽くしたままであった.
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