第99話 デート?の件
「─────ただいま!あら、お客様?」
「────あ、店長お帰りなさい!────この方、以前お話した………」
「────あ!自動車学校の!?」
「────そうです!たまたま前を通りかかったそうで………」
「────たまたま?うふふ、そうかしら?久眠ちゃんは可愛いから………」
「────店長ったら!」
────────うん、店長さんが帰って来たようだ。
────俺をネタにキャッキャウフフはやめれ。
─────急激に感じる場違い感。
そもそも俺は花屋に縁の無い人種だからな。
そう言えば花屋で花買うことなんか生まれてこの方無かったな。
母の日のカーネーションだって、"買わネーション"派だったからな。
────そもそも親に貰った金で親にプレゼント買うなんてどうかしてるぜ!と思ってたタイプだ。
───あ、でも自分で稼ぐようになったのに何もしてないな。
────今度は誕生日に花でも贈るか。
────え?俺らしくないって?
─────いやいや、俺は意外性のある男だぜ?
─────贈ると言ったらちゃんと贈るぞ。
タンポポとか道端の雑草の花なんかじゃないぞ。
───ちゃんとした花だぞ!
────あ、でもうちの親に突然花贈っても、なんか下心勘ぐられそうだ。
────や~めた。
────え?贈ると言ったらちゃんと贈るって言ったじゃないかって?
─────あれは嘘だ。
俺は自分の考えていることを見透かされるのは嫌いなのだ。
────例えそれが俺の母親だとしてもだ。
………だから、素直に渡せるタイミングまで花束贈呈はお預けだ。
「────店番ずっとお願いしてたから疲れたでしょ?休憩入ってね!」
「────はい!それじゃあ、この花包んだら少し休憩入りますね!」
店長にそう言って久眠は俺の500円のリクエストに応えて綺麗に花をラッピングしてくれた。
「────500円でも花束って作れるもんなんだな~」
久眠はバランスよい配色の綺麗な花を細身の花束にしてくれた。
「────ふふふ、高いお店じゃなかったでしょ?」
「────ああ、そう言えば俺、高そうだとか失礼なこと言ってたな」
「────そうですよ~!でも今日は誤解を訂正出来たみたいなので良かったです!」
「よし、とりあえず俺はまたぷらっとドライブでもしてくるわ~」
そういいながら俺はレジのとこでお金を払った。
「ドライブですか!良いですね~私も仕事じゃなかったらご一緒したい位です………あ、駐車券あれば一時間無料になりますよ?」
────あ!そうだ、駐車券!
「────これ出さなかったら500円の買い物した意味なくなるとこだったわ~」
「────そうですね~。せっかく駐車料金無料になるんですからね!出さないと損ですよね!」
そう言って駐車券をカードリーダーに通してくれた。
「───それじゃあ、私もこれから休憩なので車を見せてください!」
「────え、良いけど………俺の車なんか見て面白いか?」
「────私はまだ自分の車を持ってなくて家の車を運転してるので、買う時の参考にしたいんです!」
「────ん~、そう言うのなら、あまり参考にはならないぞ。───昔の車をうちの会社で俺のために整備してくれた奴だから、同じのはまず売ってないし………」
「────それでも良いんです!私が興味あるんです!」
「────まぁ、別に構わんけどな………」
───とりあえず俺は久眠を連れて駐車場に向かった。
まぁ、アオマルは久眠を連れて行っても空気読んでくれそうだから大丈夫だろ。自分でも知らない人の前で喋ると驚かれるからとか言ってたしな。
「─────これが俺の車!」
そう言って車のドアを開けて後ろのシートに買った花を置いた。
…………………反応が返ってこない。
「────か、可愛い!!」
反応までに間があったが、久眠を見ると目がハートマークになっている。
上から下までちょこまかと動きながらアオマルを一周する。
「────この水色のボディーに黄色いナンバープレート!可愛いな~!凄いな~!!」
「────そ、そうか?」
「────うちにある車ってナンバープレートみんな白いんですけど、黄色いナンバープレート可愛いな!!これって後から色変えたり出来るんですか??黄色いナンバープレートいいな~!!」
「────いや、ナンバープレートは排気量とかボディーサイズとかで決まるからな~。普通車は黄色いナンバーはつけられないな~」
「────そうなんですか~残念。」
久眠は心底がっかりしている。
「────こんな風に上が開く車は家にも有るんですけど、こんな感じじゃなくて、開くところは硬いので出来てるんですよ。こういう幌みたいなのもおしゃれだな~」
「────まだ幌は開けたことないけどな。さっき車を引き取ったばかりだし、雨も降ってたからな。でも、すごく俺も気に入ってるよ!早く天井開けて気分よく走ってみたいよ!」
「────ふふふ、なんかわかる気がします。車を気に入ってるのも伝わってきます」
そんな感じで駐車場で話していたら、駐車場まで店長がやってきた。
「───久眠ちゃん、急にあるお客様から注文が入ったんだけど、店に置いてない商品で、直接生産者のところに受け取りに行かなきゃなんだけど………ちょっと久眠ちゃん受け取りに行くのお願い出来ない?」
「────はい、良いですけど………場所は?」
「ちょっと離れているから車で行かなきゃなんだけど、生産者の方の住所はちょっとわかりにくいから、途中の道の駅まで持って来てくれる様にお願いしたんだけど………」
「────それなら大丈夫ですね」
「────ごめんね、本当なら私が運転して取りに行くべきなんだけど、事情があって……だから、そこの彼!バイト代払うからちょっと車を運転して久眠ちゃんのアッシーしてくれない??」
「────え、俺!?」
「────そうそう!運んでくるのは小さな鉢植え一つだけだから!お客様の指定がその生産者の作る鉢植えなのよ!」
「────俺こう見えて仕事中………」
「────なに言ってるの!さっきドライブ行くって行ってたでしょ!ちゃんと聞こえてたわよ!」
────あ~ら聞いてたのね~。
「────男のボッチドライブより久眠ちゃんみたいな可愛い女の子助手席に乗せた方が楽しいはずでしょ!────ガソリン代も払うからさ!」
─────うぅ、圧が強い………。
「────私も家で乗ってる車が左ハンドルで、ちょっとそっちに慣れてきちゃってて………店長の車はちょっと運転自信がないかも知れなくて……乗せてもらえると嬉しい………デス………」
─────うぅ、なんかちょっと断る雰囲気ではないな………。
「────まぁ、これも何かの縁か………わかりました、運転しましょう!」
「────ありがとう!貴方、中々いい男ね!」
店長が背中をバシバシ叩いてくる。
うーん、この場合はパトロールって出てきたけど、流石に有給休暇とかに変更するべきかな………。
────まぁ、後で考えるか。
突然俺は久眠を乗せてドライブ(?)に行くことになった。
とうとう99話です。
やっと冒険に出ます(笑)
さて、どんな冒険になるのやら?
(答え:ショボい)




