第87話 何者の件
「アニキ、マジ何者なんすか!?」
───テントを出ると踏み台陽キャ(以後ドダイYK略してドダイと呼ぶことにする)が走り寄ってきた。
─────おい、姉御を間に挟むって話はどうなった?
まぁ、俺が直接聞いた話じゃないけどな。
────離れたところにその他大勢の弟妹軍団がこちらを見守っている。
………ドダイは弟妹軍団のフロントマンって位置付けか。
─────しかし、陽キャと言う奴等はつまんない事に首を突っ込みたくなる性格なのか?そう言う人種なのか?
───俺が何者かなんて同じ質問二回もするなよ。
少なくともお前らの兄ちゃんじゃない事は確かだ。
────何回来られても同じ答えしか出来ないぞ。
それともアイちゃんが好みそうな、毎回違う答えを俺に求めて、俺が困るのを見て楽しむイベントに昇格させようとか思っているんじゃないだろうな。
─────それでもし俺が真面目に答えても『───か~ら~の~ぉ?』とか言って煽るつもりだろう!?
────そう言うノリは俺は大嫌いだ!
────そんなに面白いものが見たかったら笑点でも見れ。
────あれはいいぞ、俺に日本に生まれて良かったと思わせる至高の番組だ。
笑いのプロフェッショナルが、座布団をかけて戦うという格闘要素もある。
しかも大喜利以外だって目が離せないぞ!前座も毎回違った趣向で………。
……………。
…………………………。
────コホン、………すまん、笑点の話になると俺は我を失ってしまう傾向があるのだ。
────許せ。
………とりあえず無難にいくのが正解か?
まぁ、面倒な事にはならないだろう。
「────普通の会社員だ」
─────いやあ~とりあえず言ってみたけど、『普通の会社員だ』だって!
────笑えるなぁ。こないだまでフリーターだったんだぜ?
………自分で言ってて嬉しいけど───ちょっと複雑だ。
────確かに前は会社員に憧れていたよ?いっぱい就職するために面接も受けたさ。
────全部が全部にこれからのご活躍を期待されたりしたけどな。
────そう言う意味では俺の両肩には数多くの企業の期待がかかっている状態だ。
でも、色々有って、なんかわからない内に今は会社員になることが出来た。
────ある意味、希望はかなった。
でも、手放しで喜べない。
────だってうちの会社は秘密組織だぜ?
────しかも名前が『T.O.F.U.』だぜ?
────上司が変装趣味の威厳のないおっさんだし、会社名聞かれても『T.O.F.U.』です~ぅなんて答えたら普通に豆腐屋と思われそうだし。
────まぁ、百歩譲ってT.O.F.U.が会社名だと理解してもらったとしよう。
『────会社ではどんなお仕事されてるんですか?』────そんな問いに俺は一体なんて答えたら良いんだ?
────上から下まで真っ青な格好に変身して、変な名乗りを上げて────。
………俺は説明している途中で悲しくなって泣いてしまうかもしれない。
「────またまたぁ~、普通の会社員に警察は敬礼なんてしないっしょ!?」
負の思考サイクルに陥っていてドダイの存在忘れてたわ。
────ドダイは昨日のバスの事故のときのことを言っているのか?
「────目の錯覚だ。多分敬礼じゃなくて頭が痒かったんだろう」
「────じゃあ、わざわざパトカーとかヘリを出動させて病院送り迎えとかは?」
「────ヒッチハイクでたまたま止まってくれただけだ」
「ふざけないでくださいよ~アニキぃ────じゃあ、今いるこの軍隊みたいな人達は何なんですか~!?」
「────────豆腐屋だ」
「────こんな豆腐屋有るわけないじゃないっすか~!!」
………俺はちゃんと正直に説明したぞ。
─────信じるか信じないかはお前次第だったが………お前が俺を信じなかった─────ただそれだけだ。
はい、まだ自動車学校編が終わりません。
今回のお話には教訓があります。
『嘘ばっかりついていると、いざというとき本当の事を言っても信じてくれませんよ!』
と言うことと、『いくら笑点が好きでもそろそろ怒られるからやめなさいっ』て事です。
ちなみに以前見に行った笑点の収録は、一回で二回分の収録がありました→豆知識。
(笑)




