第8話 ベルトの秘密の件
「ちなみにさ、今の俺って改造人間とか、そう言う機械の力で生命維持してる系な感じ?」
────今それが凄く気になってた。
腹は普通に減るし、お茶は旨いしってなると、機械の身体って感じはしないんだけどな。
でも、未知のテクノロジーって言う位だしなぁ。
腹も減るし味覚も再現してるのかな?
その身体がどうなってるかの結果次第で、今後の俺の生活スタイルが変わってくるはず。
もしかしたら、すでに身体に武器とか埋め込まれたりしてるかもな。
困ったなー、空港の金属探知機に引っ掛かっちゃったりすんのかなー。
そんで『君、ちょっとこっちに来なさい』とか言われて、空港職員に別室に連れていかれたりするのかなー。
もうこうなったら楽器ケースに入って検査すり抜けるしかねーぜ。
………とか考えてみた。
──────まぁ、俺は飛行機乗らないけどな。
「その辺は大変残念な話しになるのだが………」
神妙な話し方になるおっさん。
え?なに?もしかしてやっぱ、元の生活には戻れない感じ?
バリバリの機械の身体で、お茶飲んだら錆びちゃうとか?
実は俺、やっちゃった?
生き返って早速やっちゃった感じ??
「未知のテクノロジーは万能ではない……」
ずずず───………
おっさんがお茶をすすって話を引っ張る。
このおっさんのモッタイツケっぷりに、ちょっとイライラする。
なんか、ちょっと油断するとなんか格好付けてくるよね。
今の変質者スタイルで格好付けられると、俺の中の反骨精神が沸き上がってくるぜ。
「お宅の息子さんは反抗期無くて羨ましいわぁ」
と近所のオバハンに羨ましがられた俺だっが………今確信したね。
────今が俺の反抗期だ!!
そうだ、そんな俺の反抗期の手始めにおっさんを血祭りにあげてやるぜ!
俺はおっさんの口元を見つめ、タイミングを見計らった。
「君の───」
ずずず───………。
おっさんが喋ろうとしたタイミングに被せて、負けずにこっちもお茶をすすって応戦する。
どうだ!俺の反抗期!!!
………我ながらショボいな。
なんか他人のペースに乗せられるのは、負けたみたいで嫌だったから思わずやってみたけれど、意味ないな、これ。
逆に俺の知りたいことがいつまでも聞けないじゃん。
───あ、それにまだ飲んでも平気かわからないのにお茶飲んじゃった。
───実際さ、反抗してもなかなか自分の思った様な良い方向には行かないよな。
────俺の短い反抗期は終わった。
「残念ながら、君の身体は未知のテクノロジーで復活させたが、特別何か変わったというわけではない。機械の身体になったわけでも、超パワーを身につけたわけでもない」
「言うなれば、身体が事故に遇う前の元通りになっただけだ!」
「────え??じゃああの手術台に固定していたベルトを引きちぎったのは??」
「────それは変身ベルトの力だ。君はベルトの力で変身することでパワーアップしたのだ!」
─────じっとベルトを見る。
「これ、本当にベルトなんだな。身体の一部になってるわけじゃないんだな………」
腹を引っ込ませると、ちょっとベルトとの間に隙間ができる。
「そうだ、それは逃げられないように……じゃなくて、戦隊の一員として悪の組織と戦う為に必要な力の源だ」
あ、なんかポロっと嫌なこと言ってない?
………逃げられないようにとかなんとか?
他の隊員に裏切られたって話だから、何かしら仕掛けがありそうだな。
まぁ、その辺はおいおい突き止めるとするか。
「それからこれから大事な事を決めなければならない」
おっさんの鼻息が荒くなる。
なんか話のクライマックスが近づいて来てるみたいだな。
「変身の時の名乗り!これを決めようじゃないか!!」
………な、名乗り?
────おっさん、正気か?
名乗りって………あれだろ?変身する時とか変身後に歌舞伎の見栄を切るみたいな奴!
「さっき変身した時は何もなく変身できたけど?………必須じゃないんだろ?」
ちょっと内心冷静さを失っているが、おっさんに悟られないように言ってみた。
変身してブルーになって………ってのは納得できたけど、ちょっと名乗りはハードル高いぜ。
そう言うところにこだわってるんなら、きっと名乗り終わると後ろで爆発まで起こるんだぜ。
────採石場でやんないと迷惑になるぞ。
「最初の変身は特例だよ。二回目からは必須。あれがヒーローの変身の条件に決まってるだろ!」
─────おっさんが今日一番の笑顔を見せた。