第77話 先触れの巫女の件
「─────俺の名前も聞かない方が良いってわかったのか?」
「─────いえ、それはご想像にお任せします」
───さりげないウインク。
─────あ~君もどこぞのピンクと同じく魔性の女の素質があるな。
─────※案件だな。俺じゃなきゃ勘違いしたぞ。
「─────私の一族の女には『先触れ』と呼ばれる特殊な能力を持つ者が生まれるんですが、私も少しその能力を持っているんです」
「────先触れ?」
突然のカミングアウト。
ちょっと前の俺なら、そんなオカルトチックなカミングアウトを聞いた瞬間ドン引きして速攻で退路の確認をしたはずだが、ここんところの俺の周りでの出来事でもう免疫は出来ている。
─────どんと来い!超常現象!!
─────いや、やっぱ『don't来い超常現象』に訂正しておく。
───変なもんは来ないに越したことはない。
平穏無事が一番。
───まぁ、今回は仕方ないから話だけは聞いてやろう。
「────皆さん私達を『先触れの巫女』と呼びます。────先祖にはありとあらゆる事を予言出来た巫女もいたと聞いています。私はそこまで強い能力ではないのですけど………。私は自分の事とか身近な人の事しか見えないですし、見たいからと言って見えるわけではなくて………突然わかってしまうことが有るって言うか………」
────そこで少し口ごもった。
「─────それは辛いことも多そうだな」
「………………。」
────自分が知りたいことがわかるわけではなく、興味のない事や、知りたくないことなんかでも関係なく突然予知できてしまうってことなんだろう。
「─────私なんかより、姉の方が高い能力を持っていて………凄いお姉ちゃんだったんです!でも突然姿を消してしまって………本当に願うことがわかるなら、お姉ちゃんを探したいのに………そんなことはわからないのに………」
久眠がうつむく。
さっきのニコニコ顔からの落差が激しい。
「─────お姉ちゃんの名前は?今は難しいけど、二週間くらい時間くれたら探せるかもしれないぞ」
────そう、今は猿と犬のミクスチャーを分離するのにコンピューターのパワーを割いているからT.O.F.Uの情報収集能力は格段に落ちているけど、宣言道理なら遅くても二週間もあれば通常に戻る筈だ。
そうしたらアイちゃんとゴンちゃんに頼んだら多分あっという間に見つけてくれると思う。
────今のご時世、監視カメラやらなんやらが溢れかえっている中で、あの2人のAIの目から隠れ続けることは無理だろう。
「お姉ちゃん………姉の名前は千里って言います。もし見つかったら………」
────久眠が口ごもった。
「───もし見つかったら、私、なんでもします!!」
少し間が有ったが、意を決したように俺に宣言した。
───あぁ、こう言うのは苦手だ。
俺の対応出来るキャパオーバーだ。
────そんな思い詰めるなよ。探すのは俺じゃないしな。
礼なんかいらないし、まだ確実に見つかるとも約束できないしな。
「────クミンにチリ………お前ら姉妹をスパイスガールズって呼んでもいいか?ちなみに、まさかにウコンだのジンジャーだのミントだのの名前の姉だの妹だのいないだろうな?」
────とりあえず空気は変えておこう。
「─────どうしてその名前を!?」
久眠が驚いてこちらに身を乗り出した。
「─────おいおい、まじでウコンとかジンジャーとかミントとかいう姉だの妹がいるのか?」
────こっちが驚きだわ。
─────ミントは100歩譲ってOKとしても、ジンジャーとかウコンてなんなんだよ。
───そう、特にウコンなんてまずいだろ?
───そんな名前を娘に付けたらウンコっていじめられるぞ。
─────名付けの責任者出てこい!
「いえ、正確にはミントは弟でウコンは父です」
────マジか。
────男か。
────はい、スパイスガールズは解散。
────でも、適当に空気を変えるために言っただけなのに、名前を高確率で当ててしまった。
ちなみに父親のウンコ、いやウコンは右近、弟のミントは眠人って漢字を書くらしい。
───しかし、スパイスとカタカナのイメージでいたから、『ウコン』ってどんな名前だよって自分で言ってて思ったけど、漢字を当てると右近とか時代劇にも出てきそうな古風な名前だったな。
───現代では名前でいじられちゃうかもだけど。
─────しかし………ここまで来るとなんかクイズ大会みたいになってきたな。
───こうなったら母親の名前も予想してみるか。
うーん、柚子胡椒ってのがあるから柚子もスパイス扱いでいいかな??
───俺はそんなスパイス知らんから、正直もうこれ以上は出てこん。
まぁ、母親までスパイスって決まったわけじゃないけどさ。
─────ここまで来たら悪ノリだよね。
「─────んじゃ母は………柚子とか?」
─────恐る恐る聞いてみた。
──────これが俺のファイナルアンサー。
「……………………………(ゴクリ)」
「────母の名前は、八花といいます」
「─────ハズレた!でも、ハズレたけど、なんかハズレの気がしねぇ!」
俺はお前らを心の中でスパイスファミリーって呼んでやるよ。
────まぁ、会うことはなかろうが。
「─────あ、あと言い忘れたんですが………」
────え?まだなんかあんの??
「────さっきジンジャーって言ってましたけど………うちの家、神社なんです………」
─────我ながら怖いわー。
─────適当に言った事が当たるって怖いわー。
「─────もしかして先触れの能力お持ちなんじゃ………?」
「────そんなわけあるかっての!スパイス縛りで名前をつけるお前ら一家じゃなきゃ絶対当たらなかったわ!」
「─────あと、ちなみにどうでも良いことなのですけど………ゆずは我が家のペットの名前です………」
拝啓
母上様
うちの家計簿も家系図も今まで興味ありませんでしたが、家系図に詐欺師か予言者いませんでしたか?
追伸
父方の家系図は怖いので見なくて良いです。
────はい、全然物語が加速しないおバカ小説のいつものおまけの後書きです。
第3章は冒険って見出しなのに、冒険どころか2章で入った自動車学校すら卒業していません(笑)
車をゲットしなければ冒険に出られないのに!
免許が無いから車がゲット出来ないという………
目指せ最終学歴 自動車学校卒業!!
───この小説は主に日本国の法律を遵守しております。
車を爆破することはあっても、無免許で車を運転なんかさせません。




