第71話 間違い電話とトラウマの件
ヘリのおっちゃんなら事情を隠す必要がなさそうだから、俺は堂々とスマホからT.O.F.Uに連絡を取った。
「────あ、ニコちゃんならお仕事行ってるわよぉ~」
────あ、間違えた。
────豆腐屋に電話かけちゃったから、おばばが出た。
「あ、じゃ~良いです、それじゃ!」
プチっとソッコーで回線切断。
─────早く電話切らないと、"ネバーエンディングおばばの世間話"に巻き込まれてしまうからな。
────おばばとの会話はあれ事態が虚無だぜ。
────あ、俺らしくもないな、文学少年だった頃の片鱗を見せちゃったぜ。
────虚無なんて単語文学的才覚のある人間しか使わないよなー。
─────いやー、まいったなぁ、ついついでちゃうんだよね。
───いやー、ついついインテリア………いや、インテリジェンス?が溢れでてくるんだよね~。
…………………。
────あ、唐突に"ネバーエンディング"で、また小学生の時の恥ずかしい過去を思い出してしまった。
────母親に映画『ネバーエンディングストーリー』のビデオを見せられた俺は、その際にミヒャエル・エンデの『はてしない物語』が原作だと聞かされる。
俺はその年の夏休みの読書感想文を、はてしない物語を読んでもいないのに映画のネバーエンディングストーリーのネタで書いてしまった。
─────その後、俺の読書感想文は校内選考を通ってしまい、その上の大会に出品された。
そこでの俺の感想文へのコメント(原文のまま)
「────これ、ちゃんと本読んでないですよね?」
────本読んでないのが一発でバレた(笑)
───後で知ったことだが、あの映画は原作者のミヒャエル・エンデが映画制作会社を相手に裁判に訴えた位の映画だそうな。
────その後、このコメントを受け、めっちゃ担任に怒られた。
──────あんたも原作本読んでなかったから気づかなかったんじゃん!
言ってみれば同罪じゃん!
………とか思ったが、そんな事は当時は先生には言えなかった。
ただ、あの一件があってから、俺はこの世界に存在する全ての教職員─────いわゆる『先生』という人種を信用しなくなった。
ある意味ネバーエンディングストーリーは、俺の現在の考え方にまで影響を与えた作品である。
───だから、現在進行形で自動車学校の先生も信用してないぞ。
────ああ、ただT.O.F.Uに電話したかっただけなのに、間違い電話してしまった事で、俺の幼少期の嫌な過去のトラウマを思い出すことになってしまった。
────この怒りはどこへぶつけたら良いんだろう?
─────とりあえず今回はおっさんにツケとくことにする。
────こんなことなら、アイちゃんかゴンちゃんに電話するべきだったな。
あの二人に連絡するのは、ダイヤルする必要もなくてただスマホに話しかけるだけだからね。
────あの二人は常に俺のスマホに常駐してるようなもんだから。
─────え?盗聴じゃないかって?
────いやいや、俺の感覚的には、もうあの二人と同居してる感覚だね。
隠し事する気もないけど、プライバシーに配慮してくれる素晴らしい隣人だよ。
どっかのなんちゃって上司より信頼できるよ。
────まぁ、どっかの"なんちゃって上司"が信頼出来なさすぎるんだけどね。
皆様、明けましておめでとうございます。
新年元日より更新でございます。
いまだに第三章のタイトルにあるような冒険はしておりませんが、一応この章でしょっぼい冒険をする予定でございます。
───書く前から自分でしょっぼいとか(笑)
自分に嘘はつけても他人には嘘がつけない性分なもんで(笑)
第三章にはいってから長文傾向になってたので、今回は初心に帰って短文に。
───隙間時間に読んでもらえる作品を目指してますので。
また、感想とか何かありましたらお待ちしております。
それでは今年もよろしくお願いいたします。




