第69話 謎のとしゃの件
「───通路にそっと寝かせて!」
俺の指示でお爺ちゃんが通路に横に寝かされる。
うーん、この場合俺に出来るのは人口呼吸くらい?
───その前に脈拍をチェック。
─────脈は弱いけどある、呼吸はなんか浅くて細かいか?
こういう時は人口呼吸はいらないのかな??
この辺の判断は良くわからないな………
「───誰か救急車呼んでくれ!」
「────もう呼んであります!念のため二台来てくれるそうです!ついでに警察にも連絡済みです!」
このバスにも気の回るやつがいるらしい。
もう救急車の手配やら警察の手配をしてくれている。
あとは俺に出来ることは救急車が到着するまでの間にお爺ちゃんに万が一の事がおきないようにするだけだ。
ポケットからスマホを取り出してアイちゃんに話しかける。
「────運転中のお爺ちゃんが突然意識が飛んでしまったんだけど、救急車が来るまでの間どうしたらいい!?」
こういう時は知識の源、電脳娘のアイちゃんの知識を借りたらいいと気がついた。
『脈拍とか呼吸はどんな感じ~?』
アイちゃんとの回線はすぐに繋がった。
「────脈はある。でも正常かどうかはわからないな。呼吸は少し浅いかな?」
『────意識が無いっていうけど、刺激与えたとき反応する?』
「息苦しそうではあるけど、頬を叩くと少し目蓋が動くみたい」
『────とりあえず気道を確保して~体を少し横向きにして、不安定なら背中側に鞄とか服を丸めたものとかを挟んで、吐瀉物で気道を詰まらせないような姿勢にしてみて~』
「────こ、こうか?」
『そうそう、それで呼吸の状態が変化しないか、あとはほんとくれぐれも吐瀉に注意ね~』
────と、とりあえずこんな感じか?
ちなみに"吐瀉"ってなんだ??
とりあえずなんかノリでゲロの事かなーって思ってるけど。
───まぁ、今のところは知ったかぶりして乗り切ろう。
────でも違ったらまずいなぁ。なんとかしなきゃな。
「────あ、そこの君!吐瀉に注意してお爺ちゃんをちょっと見ていてくれ!俺はちょっと外の様子を見てくるから!あ、あと何かあったらすぐ呼んでくれ!くれぐれも吐瀉には注意してくれよ!」
────俺はそう言って、とりあえず近くにいた人にお爺ちゃんを任せてバスから一度外に出た。
─────これで吐瀉が何だかわからないが誤魔化すことが出来たぜ………とか思ってないからな?
─────絶対思ってないからな!
大事なことだから二回言っておくぞ。
────もうこれ以上言わせんなよ!
とりあえず外に出た俺は救急車が来るであろう方向を眺めた。
───あとは救急車が早く着いてくれたら……。
────ほっと一息した俺だったが、額を拭ってゾッとした。
額を拭った俺の手の甲に血がベッタリ付着していた。
────お爺ちゃんは出血してなかったから、俺の血だよなぁ。
「────アイちゃん、なんか俺も怪我してるみたいだわ。頭から血が出てるみたい」
アドレナリンが出ていたからか全く痛みが無くて気づかなかったが、最初に頭を打ったときに切れたのかもしれない。
『そっか~。でもとりあえず、ブルーは救急車乗っちゃだめだよ~』
「────俺のは救急車が必要な酷い怪我では無いってこと?」
『そうじゃなくて~、民間の病院に運ばれると色々面倒くさいの~。それにここからじゃブルーの傷口の状態とか見えんし』
────民間の病院だと俺の秘密が一般人にバレるって事ね。
────やっぱり俺の体ってレントゲン撮ったりしたら普通の人と違うのかな?
────昔格闘ゲームで電撃食らって骨がレントゲンみたいに見える演出で、相撲レスラーのちょんまげに骨があるって話題になったように、俺のレントゲン撮ったりしたらなんか面白い物が写っちゃうかもしれないもんな。
───さて、写るとしたら、何が写るのがいいかなー?
────コッ◯のフ◯子さんとかが肋骨の所にぶら下がってるのはなんか楽しそうだなぁ。
ちょっと自分の体で妄想しちゃったりなんかして。
『とりあえずそっちに向かう警察に指示出したからそれにしたがって~』
────とりあえずパトカー待ってりゃ良いんだな。
────しばらくすると救急車と普通のパトカーと覆面パトカー、それから事故処理車が到着した。
救急車はすぐにお爺ちゃんを担架に乗せて色々チェックしていた。
他に怪我人かいないかとか確認する中で、何人かブレーキ踏んだ時に頭を打った奴と、俺と顔面の主に踏み台にされた陽キャが名乗りを上げ、救急車に歩いて乗り込んだ。
俺はと言うと覆面パトカーに乗り込みホテルに戻り、そこからヘリで移動することになった。
こっちのパトカーにはこの間のミクスチャーの事件の時に現場にいた警察官が二人乗っていた。
「こ、この間は大変失礼いたしました!」
警察官二人が俺に向かって敬礼する。
「────何の事???」
「────我々の不手際で機密事項を漏洩させてしまいました!上司にもしっかり謝罪してくるようにと────」
「────いや、そう言うの良いから」
きっとこの間の変身の映像をメディアに流された事を言ってるんだよな。
───ありゃ仕方ないよな。
釣りをしていたお爺ちゃんを連行したは良いけど、たまたまお爺ちゃんが落としたスマホが、たまたま録画になって、たまたま俺の変身シーンが撮影されるなんて、ミラクルとしか言いようがない。
まぁ、映ってたのは俺の後頭部で、俺の人相が全国ネットで流れた訳じゃないからね。
────でも本当に組織って面倒だね。
現場で体張って頑張ってるお巡りさんが、俺みたいな人間に謝る必要なんかないし、どうしても謝るって言うなら、菓子折りもってお偉いさんが直接やって来いってんだ。
頑張ってる現場の人間に頭を下げさせるなっての。
────プンプン。
────うん、今度うちの司令官にもそう言ってやろう。
─────これからの俺の不始末は全部おっさんに謝らせてやる事にしよう。
年末の大掃除が終わったので投稿です。
───なんかなんか第三章になってから、なんか長い?
あと、笑うとこ少ない?
がんがります。




