第63話 双頭の獣をのけ者にの件
「こいつさっきから俺の言うことに聞かないんだ」
「───それは俺のセリフだ」
犬と猿が片眼でバチバチと火花を散らしている。
頭が並んでついてるから、お互い正面で顔を見ることは出来ないわけだ。
頭をガチガチ当てながらお互いに片眼で睨み付ける。
「「───犬犬と畜猿な生らの猿癖のに方生が意上気だだ!!!」」
犬と猿とが怒鳴り合う。
あ、何言ってるのか全然わかりません。
しばらく待ってみたけど、全く終わる気配がない。
───なんか、沸々と怒りが込み上げてきた。
「────同時に喋んな!何言ってんのか全然わかんない!どっちか代表で喋ろ!」
思わず怒鳴る。
すると犬と猿とは怒鳴りあいを止めてこちらを向いた。
「「ブこルのーえ、て俺公らがは少失し敗上作かららし目い線んなだのがが、意気見にがい合らわんんののででな困んっとてかいしるてくれ」」
────また同時に話し始めた。
────しばらく揉めたあと、突然言葉がシンクロした。
「「───なんだと!?」」
ちなみにシンクロ後、お互いの言葉に反応してまた小競り合いが始まった。
──────あ~こりゃだめだ。
よく考えてみたら代表とか言ったら犬猿の仲なんだから揉めるわな。
────でも、二人の間では相手が何喋ったか把握できてんのな。
────俺にはさっぱりわからんかったよ。
「───やーい、猿猿さるぅ~!」
「───うるせー、うんこちんこわんこ~!」
────あ、ほっといたら、どんどん喧嘩の内容が幼児化してきた。
────そろそろ止めるタイミングかもしれない。
さて、まずは猿と犬とどちらに話しかけるべきか。
だが、話しかけたもう片方は大人しくしてくれるだろうか。
────仕方ない、魔法の呪文とアイテムを使うとしよう。
───え?ファンタジーじゃないのに魔法の呪文をとなえられるのかって?
───ふふふ、俺はあいつらに効果のある魔法の呪文が使えるんだよ。
───もしかしたら、これからこの小説のジャンルがコメディからファンタジーに変わっちゃうかもだぜ!?
────そんな馬鹿話は置いといて、俺がアイツらに効果が有るかもしれない呪文を知っているのは本当だ。
だが、もしかすると俺の発する呪文は弾かれてしまうかもしれない。
でもやってみなけりゃ効くかどうか解らんしな。
しかし、こいつらに話を聞いて貰うにはこれしかないと思うんだ。
───これは賭けだ。
俺はとりあえず犬と猿が揉めていて俺のことは眼中に無いのを良いことに、骨付き肉とリンゴを手に取った。
それでミクスチャーの正面に立って呪文を唱えた。
「─────お、お座り!!!」
条件反射の様にミクスチャーがその場にしゃがみこむ。
────俺の呪文は効果が有ったようだ。
猿と犬のミクスチャーの犬の部分に対して効果のある可能性がある魔法の呪文だった。
ちょっと噛んでしまったのは許せ、愛嬌だ。
────その後、すかさず俺は犬の口に骨付き肉を咥えさせる。
犬は骨付き肉を無心にかじりだした。
────腹減ってたんだよな。
────同情するぜ。
ちょっとまえだが、俺も牛丼お預け食らった経験があるからな。
────あ、関係ないけど、今日の晩飯は牛丼にしよう。
「────お前らに話が聞きたい」
とっとと終わらせて帰るとしても、出来れば戦わず楽して帰りたい。
猿は俺を品定めするように上から下まで視線を動かした。
「───犬でなく俺を交渉相手に選ぶとはなかなかお目が高い」
「──犬の方が馴染みは有るんだがな、喋る犬は初めてなんでな、勝手がわからんからお前にしたんだ」
「───ふーん、なら喋る猿には馴染みがあるのか?」
「───猿には全く馴染みがないな。ただお前の猿顔は近所の世話好きの爺さんに似てるんで、初めて会った気はしないな」
───まぁ、実際は消去法に近い。
でも、ハッタリかましておかないとな。
犬になら舐められても良いが、猿にはナメられたくないぜ。
「───まぁ、そう言うことにしておこう。それでは何が聞きたい?我々はお前の事は交渉する余地のない敵だと思っていたから些か戸惑っているが、犬を選ばず俺を選んだ事に免じてなんでも答えてやろう」
────なんでも答えてくれるらしいぞ。
────それではいつもの奴を。
「───パ、パ、パンツの色は?」
「────お前の聞きたいことはそんな事なのか?」
────猿に冷たい目で見つめられる。
「────気にするな、これはほんの挨拶代わりの持ちネタだ」
ニヤリと猿に笑いかける。
「────なら良し。もしかしたらパンツに奴らが仕掛けた、俺の知らない何かがあるのかと勘ぐってしまったわ」
「────奴ら?」
「我らを作った奴らだ。奴らはお前を倒すために我らを造ったと言うのに、完全な融合を遂げず二つの頭脳を持ったままの我らの事を、失敗作だと言って殺処分寸前にまで追い込んだのだ。アイツらなら我らのパンツに何か仕掛けてもおかしくはないと思ってな」
「────ほほう、そんでそんな殺処分寸前だったお前らが、なんでこんなとこに来たんだ?」
「────我らはあの方………ピンク様にチャンスをいただいたのだ。『お猿さんもワンちゃんも可愛いじゃない』との鶴の一声でな!我々はピンク様の為にブルーを倒すお役目に立候補して、戦闘員を引き連れてここへ来たのだ」
────うおぅ、出たな魔性の女。
────人の男だけでなくケモノまで手懐けるとは。
────一体どんな女なのだろう。
────出来れば係わりあいたくないけどな。
「────街中で暴れまわってるのはわかるが、なんで戦闘員まで倒してしまったんだ?」
「────どちらがピンク様に相応しいペットなのかで揉めた。戦闘員は眼中に無かった」
────あ、そう言う感じね~
とりあえず、なんとなくだが、状況はわかった。
「──ほいよ、デザートでも食いな」
リンゴを猿に投げてやった。
猿は俺から視線を外すことなくリンゴをキャッチした。
犬はと言うと、俺と猿が話している間ずっと肉を噛っていたが、今は一生懸命骨を噛っていた。
────はい、投稿間隔が開きました。
書いた文章がちょっとつまんなすぎたので、書き直してました。
だからと言って今回のが面白くなったかと言うと、そんなでもないかな(笑)
カオス成分が最近少ないですね。
────チョコレートの成分みたいに言うなって?
───お許しを。




