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戦隊モノの青にされたけど俺以外は敵に寝返った件  作者: 観音寺 和
たった一人の戦隊ヒーロー見参!
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第4話 おっさんとの遭遇の件

 


 慌ただしくバタバタと隣の部屋で音が聞こえた。




 思ったより隣との壁は薄いようだ。




 咳払いが聞こえたあとドアが開いて一人のおっさんが入ってきた。


 彫りの深い顔立ちに黒いサングラスとサージカルマスク。


 ………それに不自然な黒髪。




 部屋に入ってきてまだ五秒位だが、彼に一言いわせてもらおう。


「………不審者だ」




「オー!ノー!I'm not a ……」


 そこまで言って少し天を仰いだ後、おっさんは後ろを向いて俺から見えない様に何かコソコソといじっている。


「I'm not a lurker!」




 ────間違いなくおっさんは俺に気付かれないように調べてたね。




「おっさん、あんた今スマホで英訳してたよね」




「……………」




 おっさんは硬直して一言も喋らない。




「……………」




 僕ら二人の間に無言と言う名の、宇宙より大きな深い溝が見えた。




 長い沈黙に耐えられず、またおっさんは後ろを向いて何かコソコソいじりはじめた。


 振り向き様に持っているスマホを凝視しながらおっさんがまたもや何やらワケのわからない英語を話す。


「It's good to see you're awake!」




 あ、おっさんがもう二言目でスマホ隠すの諦めた!


 ────きっと長文になってきて覚えきれなかったんだ。


 俺にはすぐに直感でわかったね。


 このおっさん、英語全く喋れない奴だ。


 ──でも日本人でもなさそうな気がする。


 ………あ、でもハーフとかの可能性があるか。




 おっさんが何故英語にこだわるのか、俺には全く興味がなかったし、俺にはおっさんが何言ってるかも全然、全く、これっぽっちも興味がなかった。


 でも、おっさんに全くの興味が無かったわけではない。




 俺の視線を釘付けにするもの…………。




「────被ってるよね??」


 俺の視線は不自然な黒髪にロック・オン。




 おっさんが咄嗟に頭に手をやる。


 その勢いで思わず黒髪のカツラが吹っ飛んだ。


 綺麗な金髪が見えた。


 おっさんは慌ててカツラを拾って被り直す。


 ………うん、剥げてはいないんだね。


 おっさんなりの変装なんだね。




「────カツラが逆だよ」


 期待していたものが見れずに、ちょっとがっかりしていたが、親切な俺はおっさんに教えて上げた。




 おっさんは落ち着いてさりげなく、何事もなかったかのように被り直した。




 咳払いの後、


「Congratulations! The surgery was a success. You're alive again.」


 おっさん、長文だけどスマホ見ないで一気に言えたね!


 でも、きっとこれは事前に頑張って暗記してたんだね。


 偉い偉い。




 ………でも、いい加減腹が立ってきた。


 さっきからずっと英語で話しかけてくるが、日本にいるなら日本語喋れっ!


 おれが英語喋れないのが悪いって?


 言わせて貰うが、こちとら生まれてこのかた日本国外に出たこと一度も無いんじゃ。


 飛行機だって乗ったことがないのが自慢だ。


 これからだって乗らないぞ!乗ってたまるか!


 あんな鉄の塊が空を飛ぶなんて信用できないと、昔の海外ドラマで誰かが言ってたけど、全く同感だね。


 高校の修学旅行だって新幹線に乗ってUSJで楽しかったぜ。


 ………これは負け惜しみじゃないぞ。




 そんなこんなで沸々と涌き出てきた怒りを込めておっさんに注意することにした。


「何言ってんのか全然わかんねーっつーの!」




「I'll call you "The blue"」




 ………おっさんは俺の言ってることが、どうも理解できていないようだ。




「おっさんよく聞け。さっきは何て言ったんだ?なんだって?アルコールを売る??アルコール売るには日本じゃ許可がいるんだぞ!」


 アルコールを売るなんてただの空耳で、おっさんがそんな事言ってないのは十分理解している。


 でも何か言い返さないと何か負けてる気がしたからさ、とりあえず言ってみた。




 ところがおっさんはそんな俺の反応をみて、俺が英語を理解しようと歩み寄りをみせたのだと勘違いして、ちょっと得意気に言い直した。




「I'll call you "The blue"」




 おっさんの得意満面な、その言い方にカチンと来た。


 もう俺にはおっさんの鼻がピノキオの鼻のようにニョキニョキと伸びているように見えたね。




 ………もうこうなったら俺も黙ってはいられない。


「なんだって?小遊三ブルー?ああ、確かに三遊亭 小遊三師匠のトレードカラーはブルーだろうよ!?でも一言訂正させて貰えれば、ただのブルーじゃない、スカイブルーだ!これは譲れない!何があってもだ!!」


 俺は俺のこだわりを捲し立てる。


 ────それが例え空耳であったとしてもだ。




 俺のあまりの剣幕に、しばらくおっさんはオロオロとしていたが、はっと思い立って、また後ろを向いてスマホで検索しようとした。




 それを見た俺は、下半身をベッドに固定していたベルトを無理やり引きちぎってベッドから降りると、おっさんが持っているスマホを奪い取った。




 奪い取ったスマホには翻訳アプリが表示されていて、日本国→英語変換に設定されていて日本語が途中まで入力されていた。




「外国人のあんたがスマホで翻訳しないとわからん英語が俺にわかるとおもってんのか!?」




 俺のあまりの剣幕におっさんが涙目になっている。





 …………っていうか、日本語入力?


 ……………そういえば、おっさんは俺の日本語普通に聞き取ってたな。


「───おっさん、あんた普通に日本語喋れるんだろ?」




 ………と、言うか、俺はおっさんの正体に気付いてしまった。




 ────俺はこのおっさんを知っているのだ。



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