第37話 求めるものは遅れてやってくる件
「暇だ」
なんか最近こればっか言ってる気がするよ。
まぁ、実際そうなんだけどさ。
司令塔待機………これが通常業務なんだよ。
何もなかったら居るだけでお給料がいただける有難いお仕事。
世の中、ブルーカラーだのホワイトカラーだの言ってるが、もうそんなの通り越してクリアカラーだね。
透明だよ、透明。
もう透明人間、ここにあらわるだよ。
みんな忙しく動いてるけど、俺なんかはやることないからね、みんなの視界に入ってないみたい。
────ホントに見えてないか、なんなら一枚づつ脱いでいってみようか?
いくら暇だからと言っても、我ながらロクな事を考えない奴だと思う。
──────でもやるぞ。
好奇心を総てにおいて優先する、それが俺だ。
後悔してからでは遅いと言うが、後悔は先に気付くことはないから後悔なのだ。
────さて、何枚目で気付くかな~?
────上着を脱ぐ。
………………………。
…………誰も気に止めない。
みんな忙しそうだ。
───長袖シャツを脱ぎ、Tシャツになる。
………………………。
うむ、ホントに俺見えてないんじゃなかろうか?
………仕方ない、この次は何を脱いでやろうか。
そんなことを考えていた時だった。
「───ブルー、エアコンの温度下げましょうか?」
K子さんが俺に気付いてくれた様だ。
K子さんは服を脱いでる俺をみて、部屋が暑いのではないかと推測したわけだな。
───あー良かった、俺は透明人間じゃなかった。
というより、これ以上脱いでいたら変態の域に達してたかもしれない。
───ファインプレーだよK子さん。
俺はにっこり笑って親指を立てる。
それをみて不思議そうな顔をするK子さん。
K子さん、貴女の行動が、思いもよらず変態の道に進んでしまう所だった若者をなんとかノーマルに引き留めたのだよ!
─────そんな感じで、また暇になってしまった。
ノートはもう四冊目に入っている。
二冊目までは名乗りのパターンを一生懸命考えてたが、もう十分過ぎる程書いてしまった。
三冊目からはイタズラのネタも書くようになった。
しかし、ノートに書かなければ覚えていられない様なイタズラのネタなんか、面白くもなんともないのだ。
だから三冊目の途中からネタを書くのはやめてしまった。
では4冊目に何を書いているかというとマナ・Bやおっさんの似顔絵を書いて吹き出しにオネェ言葉でなんか書いてK子さんとかに見せたりしてる。
でも仕事中には見せないぞ。
俺は暇だが、一応は仕事中だからな。
だから、見せるのはご飯食べてる時だ。
なかなか悪意はあるが似ていると評判だ。
特にK子さんはご飯食べてる時とかに見せると、吹き出したりするところを見ると、かなり面白がってくれているようだ。
K子さんはこう言うネタがツボなのはわかった。
────喜んでもらえているようで嬉しい。
だから先日まで積極的に見せていたのだが………。
でも、最近K子さんはご飯時になると姿を消すのだ。
場所はわからないが、どうやらみんなに隠れてご飯を食べてるようだ。
────もしかして便所飯かも?
いつもランチタイムは面白いものを見せてもらって、ご飯を鼻から噴き出す位楽しかった筈なのに──────。
その楽しいひと時を犠牲にしてまで、隠れてご飯を食べなければならない位のなにか事情があるららしい。
うーん、知らず知らずの内にK子さんは誰かに追い詰められているようだ。
これはちょっと調査が必要な案件だとは思っている。
だが、俺の中での優先順位は低いけどな。
なんせ、女性の扱いは難しいからな。
今までの経験で思い知っている。
────それにそんなにK子さんの周りを嗅ぎ回っていると、K子さんの事を意識してると誤解を招くかもしれないからな!
全国の1000万人の潜在的な俺のファンが焼きもちを焼いてしまうかもしんないからな。
ああ、また事実と違うことを言ってしまった………。
「ブルーがつきまとってきてキモい」とか言われたら走馬灯のネタが増えちゃうからな。
───そんな時、パトランプと警報が鳴り響いた。
『────緊急警報───緊急警報!浄水施設がG-バースト団の戦闘員と思われる数名によって占拠されました!G-バースト団の目的は不明!出動要請が出ています!』
「────やっときたか!」
G-バースト団の奴ら、待たせ過ぎだ!
俺は滑り棒で階下に降りたのだった。




