第34話 問題は会議室で起こっている件
「じゃあさー、どういう条件なら変身は簡単に済ませていいの?」
『アイちゃんだって名乗りは後でも良いとは思うけど、そのまま変えるだけじゃつまんないも~ん』
『吾が輩はあまり関心がないから、そこら辺はこだわらぬ。それより早く次の議題を………』
ここはT.O.F.Uの第8会議室。
ここは司令塔で一番広い会議室だ。
椅子の数は数えていないが、まぁ、100人以上余裕で入れる大きな会議室だ。
壁には大きなモニターが二面、プロジェクターも天井から降りてくるわ、壁と同化している電子黒板やら、せり上がるステージなどかなり豪華な造りだ。
こんな広い会議室で今流行のオンライン会議をやっている。
モニターに映るのは小学校低学年位の女の子と、なにやら判別不可能な毛むくじゃらの生き物。
────それから、広い会議室にポツンと生命体(俺)
────なぜこんな広い所で一人で座っているのかって?
この広い会議室8はとにかく使われていないから、会議室予約無しで使える、と言うのは建前。
………だって、ちゃんと予約は取ってる。
せっかく会議室を押さえているから、と言う理由でここへ誘導された感じだ。
ちなみに、この会議室8の予約を取ってるのはAIのアイちゃん。
可愛い女の子の方だ。
そんでもって、他に会議室が開いていたのにアイちゃんはここを押さえている。
『とくに第8会議室に意味はないよ~』
本人はそう言っているが、絶対わざと取っている。
だだっ広い会議室にちょこんと座る俺を見て、その絵を楽しんでいるに違いない。
(俺の被害妄想じゃないぞ!絶対だぞ!)
とりあえず、アイちゃんは『にっこり笑って人を刺す』というキャッチフレーズをつけてあげてもいいと思う。
それで備考には世界唯一のサディスティックさを感じさせないスマートなサイコパスAIとでも書いておこう。
────そう、モニターに映るアイちゃんと正体不明のケモノはAIが作りだすCGなのだ。
『吾が輩はアイちゃんが納得したら承認するぞ』
────モニターに映る、この一人称吾が輩のケモノはゴンザレス君。
通称ゴンちゃんだ。
俺とゴンちゃんはかなり気が合うので、ゴンちゃんは俺のお気に入りだ。
愛嬌のあるケモノだが、声はダミ声のおっさん。
ちょっと面倒臭がり。
人間にもよくいる摂取カロリーより消費カロリーが少ないタイプだ。
しかし、中身は勉強熱心で向上心がある。
向上心のないAIは気の抜けたコーラの様なもんだぜ。
………この件については具体的なオチはないぞ。
────そんなとこまで考えていられるか。
だが、そんなゴンちゃんは育成選手としてわがチームに入団してもらっている。
何のチームかって?
───これについても、そんな事なんか考えてないから気にすんな!
そう言う事ばっか気にしてると、毛根の寿命が短くなる事もあるかもしれないぜ!?
(これは個人的な感想であり、医学的には以下略)
まぁ、今回この会議室8で俺の変身の時の流れについて三人(生命体は俺だけ)で話あっている。
ちなみに、この後はおっさんやマナ・B達への嫌がらせ────もとい、イタズラ………ゴホンゴホン、不思議な不思議な現象、呪いについての議題が有って、変身についての結論が出たら次の議題に移ることになっている。
現在使われている変身のキーワードは、おっさんへの怒りでたまたま口から溢れたポエミーなお言葉であり、変身に相応しくないと主張する俺と、そんなポエミーな言葉は俺が変身する度に感動で奮えると主張するアイちゃん、それに加えて、どうでもいいに3割、面倒臭い3割、早くイタズラの議題に移りたい4割なゴンちゃんの三つ巴の意見で交渉は難航している。
ゴンちゃん、………君には悪いが、イタズラの議題に移りたいなら俺の主張を採用しなければならないのだよ。
────会議と恋愛は駆け引きが重要なのだよ。
─────恋愛したことないけどな。
………ああ、俺としたことが………今気付いてしまった。
────会議の進行が恋愛と同じならうまくいくわけないじゃん。
───だから、訂正しよう!
[会議は駆け引きが重要、恋愛は逢い引きが重要]だっ!
だから会議と恋愛は関係なし!以上!
こ、これで俺の主張が通る可能性が俺の中で三割上がったぜ。
─────相変わらず根拠はないがな。
俺の辞書には根拠と婚期は存在しないぜ




