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戦隊モノの青にされたけど俺以外は敵に寝返った件  作者: 観音寺 和
たった一人の戦隊ヒーロー見参!
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第19話 恐怖!?消えた不在着信の件

 昨日はあれから歩いて母さんの実家に行って、電車賃を借りてアパートに帰った。


 帰りにコンビニで、チキン南蛮弁当を買って帰った。

 コンビニの会計時、油断していた店員のところに並んでみた。

 気配を消してゆっくり近づき、レジ前で黙って立っていたら、店員さんは暫く俺の存在に気付かなかった。

 俺の存在に気づいた時に、店員のお姉さんが飛び上がったのが面白かった。

 ───どうした?お化けでも出たかと思ったかい?

 まぁ、間違いでもないけどな、ひっひっひ。

 ────また今度これやってみよう。


 そんな感じで食糧調達してから、今度は車に轢かれる事なくアパートに帰ったぜ。

 まぁそんなに頻繁に、車に轢かれてやる気はないがな。


 アパートには、ポストの中に隠してある鍵を使って入った。

 おっさんから鍵の入ってた財布返してもらってないからな。

 あとで慰謝料と、迷惑料と、示談金と、みかじめ料に、お小遣いとか、諸々請求しなきゃ。

 ────しめて、いちおくまんえんだな。

 ふっふっふ、いちおくまんえん払えなければ、あずきバーでもいいことにしよう。


 凄く久しぶりに家に帰ってきた気がする。

 ────いや、実際に一週間振りだったが。

 でも、やっぱり自分の部屋が一番だ。

 冷蔵庫からビールを出してきてプシュッとやる。

 席についてグラスにビールを注いだら、口にくわえた割りばしを割る。


 ゴクゴク────………。

「………ぷはぁ!」

 いやぁ、一週間振りのビールはうまいぜ。

 ────チキン南蛮弁当もビールに合うね。

 ポストに入っていた一週間分のダイレクトメールなんかを見ながら食事をいただく。

 ガス、水道、電気の請求書を別に仕分けて、後はゴミ箱へポイ。


 あ、そうそう、一週間前の事故にあったあの日、俺はスマホを充電器に差したまま、牛丼買いに行ったんだっけ。


 きっとバイト先から着信入りまくってんだろうな………。

 そう思ってスマホの着信を見る。


 ────あれ?不在着一件もないぞ?

 いつもは少しバイトに遅れただけでも、鬼の様なコールがあるはずなのに………。


 ────着信履歴をみる。

  ………あれ、着信に対して電話に出た形跡があるぞ?


 ────どういうわけだ?


『説明しよう!』


 ────突然スマホの画面にダミ声の獣が映る。


 ─────ゴンザレス君だ。


「じゃぁ、説明してくれ」

 冷静に対応する俺。

 ───もう、色々あったから驚かないぞ。



『─────驚かないのだな?つまらん。』


「ぎょぎょ!驚きですぅ~」

 仕方ないので驚いて見せる。


『わざとらしい、リアクションは いらないぞ』


「ばっかだなぁ、こう言うコミュニケーションが、人間社会じゃ重要なんだぞ。でも、やりすぎるとウザがられるがな」


『………そうなのか、勉強になる』


 うん、ゴンザレス君は見た目はよくわからない獣で、声はダミ声のおっさん声だが、勉強家でかわいいのだ。

 だから、俺の中の育成枠に採用なのだ。


「まぁ、挨拶はそれくらいにして、何で俺のスマホの着信が不在着信じゃなくて、誰か出たことになってんの?」


『それは吾が輩が、お前のスマホにかかってきた電話に出てやったのだ』


「え?そんなことできるのか??」


『そんなことは吾が輩にかかれば簡単だ』


「じ、じゃあ、バイトの電話はどう対応したんだ?」


『お前はもう就職が決まったから、バイトにもう行かないと伝えた』


「え、でも俺のシフト、人手不足でかなりキツキツに入れられてたから店長怒ってなかった?」


『現在入っているシフトに関しては、吾が輩が代わりの人選をして、ブルーの代わりにうちの職員をバイトとして送り込む事で納得してもらった』


「え?でも教育期間なしで、そんなんは無理だろ………」


『吾が輩にかかれば簡単だ。スマートグラスを付けて作業をしてもらえば、吾が輩が画像と音声でバックアップできるからな』


「じゃぁ、バイト先に迷惑はかけてないんだな?」


『もちろんだ。バイトをやめることも伝えてあるからもう煩わしいことはないぞ』


「それなら良かった」


 ────学生時代から一生懸命働いて、店長に認められてバイトリーダーまで登り詰め………だけど、辞めるときは、あっけないものだな。


『────迷惑だったか?』


「────いや、全然。全く未練はないぞ」


 ………あの女店長、俺が頑張れば頑張る程、勘違いしてシフトいっぱい入れるし、時給は全く上げてくれないし、バイトに新しく可愛い子が入ってくると、『俺君と組ませるとセクハラするから駄目だ!』とか言って一緒のシフトに入れてくれないし。終いにゃ『俺君は存在自体がセクハラだから』とか言いやがって。

 ────まぁ、でも、ちょっとだけ心当たりがあるから仕方ないな。


『それよりも、ブルー!約束破ったな!!』


「────約束?」


『────お前が戻って来るのを、ずっと待ってたんだぞ!』


「おおぅ、そう言うことか。すまん、すまん。おっさんとK子さんのせいだから、恨むならあの二人を恨めよ!」

 俺をずっと待ってただなんて、ゴンザレス君も見かけによらず健気よのぅ。

 ゴンザレス君、君の事はこれからは親しみを込めて、"ゴンちゃん"と呼んであげよう。


『わかった。第一司令室で起こったことは、吾が輩にはわからないが、お前の言うことを信じよう。お前はどうも他の人間とは違うように思える』


 あ、なんかゴンちゃんの俺の評価高すぎ!?

 なんかもう、ゴンちゃんは俺に心を許してくれてるみたいだな。

 ────この場合、俺ってAIキラー?AIたらし?


 ───うーん、考えても不毛だ。話題を変えよう。


「………所で、さっき第一司令室で起こったことはわからないって言ってたけど、俺のスマホの着信まで割り込める凄いゴンちゃんにも、第一司令室の事はわからないの?」


『それはそう言う取り決めなのだ。地球上で唯一、第一司令室はセキュリティ以外の干渉をしないことになっているのだ。────それからその、ゴンちゃんと言うのは………?』


「ゴンザレス君も強そうで良いなまえだけど、俺はもっと仲良くなりたいからな!親しみを込めてゴンちゃんと呼ばせてもらうぜ!」


『そ、そうか!吾が輩も嬉しいぞ!』


 ────か、可愛いやつ!


「それじゃあ、ゴンちゃん!おっさんとK子さんへのイタズラの相談をしようじゃないか」


 それからしばらく、ビールをのみながらゴンちゃんと、イタズラだとか、馬鹿馬鹿しい内容の話をしたのだった。

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