第18話 契約書の件
「それで、これからの話ですが………」
おっさんがえぐえぐしてるからか、K子さんが話を切り出す。
「後でこれを記入して総務課に提出してください」
K子さんが大きめの封筒を持ってきた。
………なになに、労働条件通知書兼雇用契約書在中?
「これなに?また、おパンツとか入ってるの?」
軽いジョークのつもりだったが、K子さんに睨まれちゃった。
………さっきのおパンツは俺のせいじゃないのに。
「うちはちゃんとした財団法人だから、書面でも雇用契約を手続きするんです。文面読んでよろしければ、サインしてください!」
「───小さくて読めなーあい!」
「ふざけないで、ちゃんとしてください!」
ああ、今日はいっぱい怒られる日だな。
仕方ない、読んでやるか。
「────あ、もしかして、お給料出るの?」
「も、もちろんです。ブルーはうちの組織を何だと思っているんですか?」
「─────自分達の争いに巻き込んで死人を出しておいて、その死人を有無を言わさず勝手に生き返らせて、自分で外すことが出来ない変身ベルトを意識がない内に強制的に腰に巻いて、変質者が適当な説明ではぐらかしながら自分達に都合がいいような内容で組織に協力させようとするブラックな団体」
────間違ってないよね?
「─────それについては、私からは何も言えませんが………」
K子さんがおっさんの方を見る。
────おっさんはうつむいて視線を外した!
────おっさん、あんたは組織の責任者じゃないんかい………
でも、K子さんは健気じゃのぅ。
管制担当って紹介だったのに、おっさんのフォローまでさせられて………。
きっとK子のKは "けなげのK"に違いないですじゃ。
おっさんには、ワシが右の耳毛がにょきにょき伸びる呪いをかけておくからのぅ。
それで、健気なK子ちゃんには、飴ちゃんでもあげようかのぅ………。
そんなことを俺が考えているとも露知らず、おっさんに梯子を外されたK子さんが、そのまま説明を続ける。
「───ですが、お給料は公務員並みですし、ボーナスも年二回支給、出動があったら危険手当も出ますし、福利厚生もちゃんとしてます!交通費でますし、ご希望なら補助有りで社宅も可能です!」
────え?なに、その厚待遇。
飴ちゃん探してる場合じゃねーぞ。
K子さん、飴ちゃんはお預けだ。
しかし、そんな厚待遇、俺なんかを採用してくれんのかね?
「俺、資格は原付免許とラジオ音響技能検定三級しか持ってないけど………」
「それは問題ないです。業務に必要であれば免許などの費用も、財団経費で取得可能です」
「現に、この間イエローも財団経費で普通免許取得………あ……司令、失礼しました」
K子さんの説明でおっさんがテーブルに突っ伏して泣き出した。
い~けないんだ~いけないんだ~せ~んせ~にいってやろ~
泣きそうになるK子さん。
────うん、もう今日は駄目だ!
おっさんだけじゃなくて、K子さんも使い物にならなくなった感がある。
「全員解散!お開き!!また明日元気にお会いしましょう!」
────そう言って俺はその場を後にした。
サ◯エさんまでに投稿するつもりが、
笑●に間に合いました。
三遊亭小遊三師匠のスカイブルーをご確認下さい。