第16話 第一指令室へ……の件
エレベーターで地下まで上がると、そこからは動く歩道が整備されていた。
───おぉぃ、ちょっといくらなんでもスケールでかすぎだろ!?
「この動く歩道の上は国道が走ってるんですよ!」
「────許可は取ってるんだよな?」
「それはもちろん!うちは国からは独立した非営利団体ですけど、国とは水面下で手を握っていますからご安心を」
………そうだよなぁ、こんなのが勝手にその辺の住宅地の下を通っちゃまずいよなぁ。
「───地下道は勝手に掘ってますけどね」
………おい、この組織本当に大丈夫か?
────さらっとなんか怖いこと言ったぞ。
「────ここから上に上がりますよ」
まったく悪びれずK子さんは階段を登る。
………多分あなた達がやってるのは犯罪だ。
───でも面倒だから黙っておく。
いくつか動く歩道を乗り継いで、階段を登る。
そして階段の突き当たりの扉をくぐると………
────外の光が眩しい。
室内のようだが………ここはどこだ?
「あら、K子ちゃんいらっしゃい!」
目の前に小脇にトートバッグを抱えたお婆ちゃんが現れた。
「ニコちゃんなら今、品出し頼んだとこ!いつも仕事中に呼び出してごめんなさいねー!あら、この子もニコちゃんとK子ちゃんとこの社員さん?」
俺はこの人を知っている…………
────豆腐屋のおばばだ!
この豆腐屋の並びに昔駄菓子屋が有って、その駄菓子屋のおばばの所に、このおばばがよくお茶を飲みに来ていた。他にもクリーニング店のおばばや、どこの馬の骨ともわからないおばばなどもいたが、小学生の頃の俺には特に関係がなかったから、特におばば達の思い出はない。………ただ知ってただけ。
────それよりも、登場人物がおばばばっかりで、俺の話が伝わっているか心配だ。
────あ、伝える内容もなかったな。
因みに、どうでも良い情報だが、15年前も豆腐屋のおばばは今と変わらずおばばだった。
────とりあえず軽く会釈する。
「ゆっくりしていってね!私これから敬老会の配りものに行ってくるから!」
おばばは颯爽と自転車に乗って行ってしまった。
「相変わらずお元気ねー」
K子さんがおばばを見送って戻ってきた。
────それより、おばばがなんか面白い事を言ってたな。
「────遅かったね!」
奥から豆腐やこんにゃくが入ったコンテナを持った金髪碧眼外国人がやってきた。
────やっぱおっさんは豆腐屋の外国人だったんだな。
───ここではあの不自然なカツラもサングラスも外してるんだな。
最初からおっさんがこの格好だったら、変質者扱いしないでやっても良かったのに………という事で挨拶しなきゃな!
「────よう!ニコちゃん!」
………一瞬固まるおっさん。
────反応おもしれぇ!
「ニコちゃん、さっきのカツラはどこ行ったのかなー?」
「────ニコちゃん、役職なんだっけ?司令官?───それとも大王様だっけ?」
………エスカレートする俺。
───そんで、またおっさんが泣いた。
…………反省。
はい、あとがきです。
また暴走してしまって敵の正体はこのお話でも
全く出てきませんでした。
全然ヒーローじゃない所がちょっと私のツボにはまっております。
勝手に話が暴走していきます。
次はきっと敵の正体が!
約束はしませんけども。