第14話 警報音と下着と私の件
突然警報音が室内に鳴り響き、赤いパトランプが点滅する。
────その場にいた全員に緊張が走る。
「え?なに??敵??」
事情がわからない俺はキョロキョロするばかり。
K子さんが座席に滑り込み、ヘッドホンを片耳に当て、片手でキーを叩く。
マナ・B君はすぐに、このフロアにも有った滑り棒で下の階に降りていった。
おっさんは腕組みして前面のモニターを凝視している。
俺はやることがないのでマナ・Bが降りていった滑り棒の所を覗き込む。
────あ、すぐ下の階が終点なのね。
さっきの滑り棒みたいに何十メートルも生身で降りるとか言うんじゃなくて安心した。
「指令、警報解除します。第一指令室からの呼び出しでした」
「そうか、わかった。私がこれから向かう」
おっさんは踵を返してエレベーターへ向かう。
「K子君、ブルーに私服を渡してやってくれ。ブルーは着替えたら第一指令室まで来るように」
そう言うとおっさんはエレベーターに乗り込んだ。
「ブルー、これに急いで着替えて。それからこっちに更衣室があるから」
K子さんが紙袋を投げて寄越す。
更衣室は隣に有るらしい。
「着替え終わったら教えてね」
そう言うとK子さんは更衣室を出ていった。
「やっと着替えられるか~。この病衣ずっと着てるとなんかスースーするから嫌だったんだよね」
───あまりの嬉しさにちょっと独り言が出る。
こう言うガウンのタイプ、ほんと風通しがよくて下半身スースーするからさ、違和感がずっとあったんだよ。
スカートとか履くとこんな感じなんかもな。
そんなこと考えながら紙袋から服を取り出した。
「あ、あいつら────!!」
紙袋の中身を見て俺は更衣室を飛び出した。
「あら、早かったのね、私の用意した服気に入らなかった?」
「───なんだよ、これ??こんなの着れるわけないじゃんか!」
「失礼ね!あなたに似合うと思って買ってきて上げたのに!」
K子さんがちょっと怒ってるのがわかる。
「あのな!俺は男子だぞ!なんでこれが似合うと思うんだよ!?」
俺は紙袋から女性物の下着とスカートを出してK子さんに突きつけた。
───それを見てみるみる赤くなるK子さん。
「………れ…………の」
か細い声でなにか言うK子さん。
「え?なに!?」
───怒りで赤くなる俺。
「それ………わたしの……間違いました………」
「え?」
「私の着替えなの………」
「え─────ご、ごめんなさい!!」
────動揺して赤面する俺。
袋に戻そうとするも、手が震えて紙袋にうまくスカートが入らない。
………こう言うのに免疫ないのよ、俺。
まだまだ敵が出てきません!
でもそろそろ敵の正体がわかるはずですんで!
僕が暴走しなければ、次の次のお話くらいには……