序
※ 作中に登場するアニメ等のキャラクターは実在のアニメ等とは関係ない作中作のオリジナルキャラクターです。
※ 作中には歴史上の人物をモチーフとしたキャラクターも登場しますが、実在の人物とは一切関係ありません。
※ この作品は、拙作《英霊召喚 なんかTS武将とかの美少女キャラが召喚できちゃったんですが? 【打ち切り版】》のリメイク作品です。内容に重複する部分があります。
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「――こうした薩長を中心とした藩閥政治に不満を持った土佐藩士を中心に自由民権論が広がったわけです。板垣退助や後藤象二郎という名前は皆さんも聞いたことがあるんじゃないでしょうか?」
「板垣死すとも自由は死せずってやつですか?」
「はい、そうです。その言葉は板垣の残したとされる言葉の中でも有名ですね。まぁ、その言葉自体には諸説あるんですが……」
俺は、歴史の勉強ってやつが嫌いだ。
いや……他の科目だったら好きってワケでもないが、嫌いな中でも特に嫌いだ。
だってそうだろう?
過去を学ぶことは今とは何の関係もない。
過去を学んだって未来に何を活かせというのか?
まぁ、他にも小学生レベルの算数以外は社会に出て使わない数学とか、作者の気持ちを知ったところで何の得もない現代文も嫌いなのは間違いないが……やっぱり歴史が一番嫌いだ。
戦国時代はちょっと面白いとは思うけど、誰だよ板垣とか後藤って、人間が死んでも概念が死なないなんて当たり前だろう。
そもそも概念が死ぬってどんな状況だよ。
この髭面のおっさんが、歴史上の英雄とか冗談みたいな話だよな。
「そうした自由民権運動の気運が高まっていくと――おや?」
「え?」
「な、なにこれぇ!?」
「お、おい! おい! なんだよこれっ!?」
教室が突然パニックになった。
正気を保っている人間は俺を含めて誰一人いない。
あ…ありのまま今起こったことを話すぜ!
お前絶対年齢詐称して定年誤魔化してるだろってぐらい老けた老教諭がとうとうと自由民権運動がどうたらと語っている最中、突然教室の床が発光した。
な…何を言ってるかのかわからねーと思うが、俺も何が起きてるのかわからないんだ。
大掃除の時にワックスと間違えて夜光塗料でもぶちまけたのか?
いや、暗くなったわけでもないのに夜光塗料が光るわけないな。
そもそも、どう考えたって光の強さがおかしい……なんか、この光、規則性があるっぽいぞ?
光ってない場所もあって、教室を中心に何重にもなった輪と変な記号を描くように床が光っている。
そんなことを考えている間に刻々と事態は変化していき、パニックはより酷くなった。
何故かって?
床が光っていただけのはずが、その光が徐々に上へと登り始めたのだ。
床に近いところから順に自分の身体が消えていく。
その状況でパニックにならない人間なんているはずがない。
――なんだよこれ……
――何が起きてるんだ?
――誰か助けて……
そんな土湖鹿野高校1年4組の面々の思いなど知りもせず、運命は彼らを飲み込んだ。
光が収まった時、学校の教室に残されたのは腰の曲がった老教諭1人だけであったという。