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88星座解説【study note】

作者:

01 Andromeda アンドロメダ

北天、秋の代表的な星座。トレミーの48星座のひとつ。肉眼で見える最も遠い(約250万光年)天体のひとつであるアンドロメダ銀河(M31)があまりにも有名。αアルフェラッツ、βミラク(最輝星)、γアルマクと3つの2等星がある明るめの星座。元になった神話のアンドロメダ王女はエチオピアの王ケフェウス(ケーペウス)とカシオペヤ(カッシオペイア)の娘で勇者ペルセウスと結婚する。



02 Antlia ポンプ

南天の目立たない星座。ほ座とうみへび座の間辺りで、初春の南の低空に見える。さそり座と同じくらいの赤緯なので日本での観測は容易。ラカーユによって1756年に設定された。

最も明るいα星は4等星で暗い。モチーフは実験用真空ポンプ。



03 Apus ふうちょう

3番目に天の南極に近い星座で、日本での一般観測は不可能。モチーフはニューギニアの極楽鳥で、プランシウスが1597年に設定したのが最初。インドのみつばち座と記されていたこともある。最も明るいα星は4等星で暗い。



04 Aquarius みずがめ♒

黄道十二星座・トレミーの48星座で秋を代表する星座のひとつ。βサダルスウド、αサダルメリク、δスカトの3つの3等星がある。恒星はそこまで目立たないが、星の密集度が非常に高いことで知られるM2球状星団、土星状星雲、らせん星雲、 みずがめ座η流星群、TRAPPIST-1(ハビタブルゾーン惑星を持つ恒星系)など、有名な天体が多い。ギリシャ神話の美少年 ガニュメデスの持つ酒器がモチーフ。



05 Aquila わし

トレミーの48星座のひとつで夏空を代表する星座。夏の大三角形を形成する白い1等星αアルタイルが有名。2等星はないが、3等星が5つあるまあまあ明るめの星座。天の川の中に位置するので散開星団や球状星団をいくつか含むが、意外にもメシエ天体はゼロ。ギリシャ神話ではガニュメデスをさらったゼウスの化身、東アジアの神話では七夕の牽牛星として有名。

【メモ】

アルタイルとアクルックス星系はどちらが視等級が小さいのか?ソースによってまちまち。特にアクルックスは最も南の1等星で日本での観測が困難な地域が多いため理解が進んでいなく、情報が乏しい。英語圏ソースではアクルックスの方が明るく見えるという情報の方が新しめ。どちらにせよわずかな差ではあるが。



06 Ara さいだん

トレミーの48星座だが星座全体の日本での観測は困難な地域が多い。さそり座の南。3等星が4つある。天の川に接するためいくつかの散開星団や球状星団を含む。ケンタウルスが狼を捧げるための祭壇として描かれる。



07 Aries おひつじ♈

黄道十二星座・トレミーの48星座で秋から冬の星座。2等星αハマル、3等星βシェラタンがある。天の川から遠いため銀河をいくつか含むが、暗いものばかり。ギリシャ神話ではアルゴ船が冒険の果てに求めた金羊毛の羊とされ、金羊毛の蟠竜はりゅう座とされる。占星術では黄道0°の基点となるが、実際の0°=春分点は地球の歳差運動のため常に移動し現在はうお座に位置する。



08 Auriga ぎょしゃ

トレミーの48星座で北天の冬の代表的な明るめの星座。最も北の1等星、αカペラが有名。歪んだ五角形を描く事から中国では五車と呼ばれた。元々山羊と御者は別の星座であったがトレミーによって一つの星座にまとめられたため、ふたつに関係は無いみたい。 天の川の遠い部分を含むため、いくつかの散開星団がある。



09 Bootes うしかい

トレミーの48星座で北天の春の代表的な星座。オレンジ色の1等星αアークトゥルスは夜空で4番目に明るい恒星で、視等級がマイナスになる恒星のひとつ。おとめ座のスピカと夫婦星とされる。麦星とも呼ばれる。春の大三角形の一角でもある。銀河北極圏のため、肉眼で見えた唯一のガンマ線バーストや四つ葉のクローバークェーサー、うしかい座ボイド(直径約2.5億光年の超空洞領域)など深宇宙領域の天体や天文現象が有名。



10 Caelum ちょうこくぐ

ラカーユによって1750年に設定された南天の小さな星座。最も明るいα星は4等星で暗い。最南端が赤緯-48°くらいなので、東日本では星座全体を見れない地域が少しある。セイファート銀河や暗い惑星状星雲が存在する。



11 Camelopardalis きりん

3番目に天の北極に近い星座で観測は容易だが、明るい星が無いため目立たない。1612年頃プランシウスによって設定された、最も北に位置する非トレミー星座。日本では殆どの領域が周極だが、強いていえば冬が観測しやすい。最も明るいβ星は4等星で暗い。

夜空の暗い領域なので、遠方の天体(銀河)がいくつか見つかっている。らくだ座と呼ばれた事もある。



12 Cancer かに♋

黄道十二星座・トレミーの48星座で春の星座。最も明るいβ星は4等星で暗い。恒星は目立たないが、星座の中央部にあるM44プレセぺ星団(散開星団)、珍しい古い(50億歳くらい)散開星団であるM67が有名。プレセぺはラテン語で飼葉桶の意味で、英語圏ではbeehive cluster(蜂の巣星団)と呼ばれる。合成視等級は3.7等で、十分裸眼で観測可能なため紀元前より観測記録がある。距離は約580光年でアンタレスと同じくらい、非常に地球に近い散開星団。しし座、ふたご座、こいぬ座と明るい星座に囲まれてるためかに座は裸眼では光に埋もれて見えるとか書かれてる。かわいそう。

巨蟹宮は夏至点を示し、夏至に太陽高度が90°になる北回帰線は英語でTropic of cancerという。実際の夏至点は現在はふたご座とおうし座の境に位置する。



13 Canes venatici りょうけん

北天の春の小さな星座で、ヘベリウスによって1687年に設定された。α‬星の3等星コル・カロリ、M51子持ち銀河が有名。北側の犬がアステリオン、南側の犬がカラという名前らしい。コル・カロリはチャールズ王の心臓という意味で、連星系である事が小さな望遠鏡でも確認できる。主星は回転変光星。春の大三角形に加えられて、春のダイヤモンドとされる事がある。

子持ち銀河はフェイスオンの見事な明るく見える銀河で初めて渦巻構造が確認された銀河とされる。



14 Canis major おおいぬ

トレミーの48星座で、南天の冬を代表する明るい星座。夜空で最も明るい恒星であるα‬シリウスがあまりにも有名。冬の大三角形・冬のダイヤモンドを形成する。2等星はεアダーラ、δウェズン、βミルザム、ηアルドラの4つ。シリウス以外は遠方の超巨星クラス。シリウスは地球に非常に近い恒星で固有名を50以上も持っていたり、シリウス暦を作られていたり、判星である白色矮星シリウスBの存在も有名だったり、とにかく愛されていて観測史が古い。その他明るめの散開星団M41、銀河系に最も近いと議論されているおおいぬ座矮小銀河がある。

【メモ】2020/1/25の情報、シリウスは地球に近いため大きな固有運動を持ち次第に南下していっている。約66000年後には天の南極から1.6°にまで近づき南極星になると予想されているらしい。おそらく現在のはと座ととも座の間くらい?



15 Canis minor こいぬ

トレミーの48星座で、冬の代表的な星座。黄色い1等星α‬プロキオンが有名。冬の大三角形・冬のダイヤモンドを形成する。小さな星座のため、プロキオンと3等星βゴメイサの他に目立つ天体は無い。プロキオンはシリウスに物理的に最も近い恒星で、故に地球からも非常に近い恒星の1つ。名前も『犬に先立つもの』の意味で、シリウスより前に昇って来る事を意味するなどシリウスと関連付けされる事が多い。



16 Capricornus やぎ♑

黄道十二星座・トレミーの48星座で秋の星座。δデネブ・アルゲディ、βダビーの2つの3等星がある。密集度の高い美しい球状星団M30がある。1846年に海王星が発見されたのはやぎ座の領域。英語では、冬至点をやぎ座の名(The Tropic of Capricorn)で呼ぶが、現代の冬至点はいて座にある。バビロニア時代には存在し、観測史が非常に古い、最古級の星座の1つである。(それだけ冬至が人類にとって重要な至点だったとも言える)



17 Carina りゅうこつ

南天を代表する明るい星座。ラカーユによって1763年に設定された。1930年に現代の88星座が制定された際、トレミーの48星座からは唯一アルゴ座だけがボツになりラカーユの設定したものを元にしたりゅうこつ・ほ・とも座が採用された。なので新しい星座なのに神話がある珍しい星座。星座は解体されたがアルゴ座のバイエル符号は未だに残っているため、りゅうこつ座にはγ星やδ星などが存在しない。逆にほ座ととも座にはα‬星、β星などが存在しない。

夜空で2番目に明るい白い1等星α‬カノープスがあまりにも有名。有名だけど赤緯が低いので北半球で観測が困難な地域が多いためか、見えたら幸運、見えたら長寿など、縁起のいい星として扱われる。カノープスの名はスパルタの王メネラーオスの船の水先案内人の名前で単語としては古代ギリシャ語。表面温度7000Kくらいで、A型とF型の境界くらいなのでソースによって揺れる。肉眼では白く見えるが既に主系列を終えてRGB段階に入っているとされる(輝き盛りを終えて老星になりかけてる的な意味)。2等星βミアプラキドゥスは最も南の2等星で日本での一般観測は不可能。故に星座全体を日本で見る事は一般的には出来ない。

書くこと多いなこの星座

2等星はβ、εアヴィオール、ιアスピディスケの3つ。アヴィオールとアスピディスケ、ほ座のδクー・シー、κマルケブの4星でニセ十字を形成する。すべて2等星で明るさや形が整っているので見つけやすいアステリズムの1つ。

NGC3372イータカリーナ星雲があまりにも有名。中心星のη星は天の川銀河でも最大光度の大質量超巨星のひとつであるLBV。"Great Eruption"1843年の急激増光ではカノープスよりも明るくなり一時夜空で2番目に明るい恒星になった。その際の爆発残骸として人形星雲(Homunculus nebula)という双極性星雲(惑星状星雲)が残っている。7500光年も離れてるのに現在でも4等星なんだからヤバすぎワロタ星。イータカリーナ星雲は全天で最も明るく大きく見える輝線星雲の1つで、いくつかのO型星を含むHⅡ領域。鍵穴星雲やミスティック・マウンテンなどのドラマチックな姿を見せる、宇宙を感じる壁紙に最適な星雲。

IC2602散開星団は南天のプレアデスとも呼ばれ、合成視等級は1.9等で非常に明るい星団。β星などとダイヤモンドクロスというアステリズムを形成する。

NGC2516散開星団(南の蜂の巣星団)も3.8等でプレセぺとほぼ変わらないくらいでなかなか明るい。

長いのでアルゴ船神話は次のとも座で書きましょう。



18 Cassiopeia カシオペヤ

北天の秋の代表的な星座でトレミーの48星座の1つ。2等星、3等星が3つずつあり特徴的なW字を描くことから見つけやすい有名な星座の1つ。2等星の名前はα‬シェダル、βカフ、γツィー。カフはほぼ赤経0°に位置するため恒星時の指針として用いられる。

SN1572超新星ティコの星が有名。天の川銀河系内で起こったⅠa型超新星爆発で、最大光度は金星に迫る-4等にまで至った。現在でも薄いガス殻からなる超新星残骸が広がりながら残っている。

NGC7635バブル星雲や散開星団が存在する。

神話では美しさを見せびらかしたため椅子にはりつけられる刑にされたエチオピアの女王カッシオペイアの姿。アンドロメダの母でケフェウスの妻。



19 Centaurus ケンタウルス

トレミーの48星座で、南天を代表する明るくて大きな星座。星座の南端部は日本のほとんどの地域で見る事が出来ない。天の川銀河の明るい領域に浸かっており、肉眼で見える恒星数が最も多い星座の1つ。2つの1等星を有する3つの星座のうちの1つ。最輝星α‬リギル・ケンタウルスは地球から最も近い恒星プロキシマ・ケンタウリ(赤色矮星)を含む恒星系。距離は約4光年と極端に近いが、太陽と同程度か少し明るい程度の主系列星のため、より遠いシリウスやカノープスよりも暗い。固有名はα‬Aがリギル・ケンタウルス、α‬Bがトリマン、α‬Cがプロキシマ・ケンタウリ。βハダルは南十字星よりも明るくα‬の黄色と対照的に青く華やかな星のはずなのに、イマイチ人気が無い。地面を意味するとされ、その通り北半球では空高く昇る事は無い。

2等星が4つもあり、固有名はθメンケント、γムリファイン、εバーダン、ηは固有名無し。おおぐま座さそり座と並んで、オリオン座に次ぎ2番目に2.5等以上の星の数が多い。(6個)

全天で最も明るい球状星団であるω星団が有名。星の密集度が高く、見た目の面積も大きい為南天では肉眼観測が容易で、その為恒星と間違えられてバイエル符号を振られているほどである。しかしながら赤緯が低いためメシエ天体には数えられていない。矮小銀河の核部分だったとされる説もあるが、はっきりと分かってはいない。

既知で最も低温の領域であるとされるブーメラン星雲(原始惑星状星雲)も有名。美しい虹色の蝶ネクタイのような姿で写真に撮られる。宇宙背景放射よりも低温な唯一の場所らしく、中心部から高速で吹く風によって膨張され温度が下がるのが原因らしい。

ギリシャ神話でケイローンのように賢者とされたケンタウロス・ポロスがモデルとなっている。



20 Cepheus ケフェウス

トレミーの48星座で、北天の秋の星座。2番目に天の北極に近い。唯一の2等星α‬アルデラミンが明るい。非常に大規模でとても赤いμ星ガーネット・スターが有名。平均して4等星ほどだが双眼鏡などで変光を容易に観察できるSRC型変光星(ベテルギウスと同じタイプ)。δ星は天文学上重要なケフェイド型変光星の典型でケフェイド不安定帯に属する脈動変光星。周期光度関係により天体の距離を測定できる宇宙の灯台。ケフェイド変光星の中でも地球に近い星であり最も距離が正確に求まっているため(244pc)周期光度関係の基準とされる。青い花状の輝線星雲LBN487アイリス星雲、NGC40蝶ネクタイ星雲(惑星状星雲)など美しい星雲も見られる。エチオピアのケーペウス王の姿。



21 Cetus くじら

トレミーの48星座で大きな秋の星座。2等星である最も明るい星βディフダ(デネブ・カイトスとも)よりも、全天で最も有名な変光星の1つであるοミラの方が有名。ミラ型脈動変光星の典型で、極大期にはディフダと同程度の明るさになるが極小期には10等にまで落ち、それを約330日周期で繰り返す。1596年にファブリツィウスによって変光星である事が確認された、最初に発見された変光星とも言える。くじらの頭、3等星のα‬メンカルも、ミラとディフダも赤色巨星で、赤い星の目立つ星座。その他τ星は地球から17番目に近い恒星でオズマ計画の電波発信ターゲットにされた。

銀河南極に近く、遠方銀河がいくつか見つかっている。



22 Chamaeleon カメレオン

天の南極に3番目に近い星座の1つで、日本からは全く見えない星座。プランシウスが1597年に設定した。最も明るいα星は4等星で暗い。小さな星座のため目立つ天体はない。NGC3195惑星状星雲は低倍率の望遠鏡でも観測できる最も南にある惑星状星雲。はえ座に向かって舌を伸ばすカメレオンの姿で描かれる。かわいい。



23 Circinus コンパス

南天の小さな星座で日本では全体を見る事は出来ない。ラカーユによって1756年に設定された製図用コンパスの姿。最も明るいα‬星は3等星で、リギル・ケンタウルスのすぐ南なので見つけやすいかもしれないが、赤緯-64°と低いため沖縄県くらいでしか見えない。ラカーユ星座のご多分にもれず目立つ天体がない。



24 Columba はと

南天の冬の星座で1592年にプランシウスによって設定された。おおいぬ座の南西で、日本全域で観測は可能。α‬ファクト、βワズンの2つの3等星がある。肉眼では見えないが明るめの球状星団NGC1851がある。ノアの方舟神話のハトとされる説と、シュムプレーガデスの岩に挑むアルゴ船を導いたハトとされる説とがある。



25 Coma Berenices かみのけ

北天の春の星座で、元々は星座でなく星群だったが、16世紀にメルカトルやティコによって星座として広められた。エジプトの女王ベレニケ二世の髪の毛の美しさを讃えて設定されたと言われる。最も明るいβ星は4等星で暗いが、かみのけ座で特筆すべきは恒星ではなく銀河である。広範囲に広がる散開星団Mel111を除くと主な天体は銀河ばかり。銀河北極に位置するため遠方の銀河が多く観察できる。1000個以上の銀河からなるかみのけ座銀河団を含むかみのけ座超銀河団は初めて発見された宇宙の大規模構造である。暗黒帯の目立つM64黒眼銀河、超巨大楕円銀河NGC4889などが含まれる。



26 Corona Australis みなみのかんむり

トレミーの48星座で、いて座の南側にある小さな夏の星座。最も明るいα‬星は4等星で暗いが、同じような明るさの星が狭い範囲で弧状に連なっている様子は割と見つけやすい気がしている。

天の川銀河の中心部から遠くないため、小さな星座ではあるがいくつかの星団が見つかっている。



27 Corona Borealis かんむり

トレミーの48星座で北天の春の小さめの星座。2等星α‬アルフェッカが明るい。

ヘルクレス座・かんむり座グレートウォールは銀河フィラメントの1つで長さは100億光年に達し、現在知られている中で最大の宇宙の大規模構造であり観測可能な宇宙の約10%ほどの大きさとされる。

神話では酒神ディオニュソスがミーノースの王女アリアドネーに贈った冠とされる。



28 Corvus からす

トレミーの48星座で南天の春の小さめの星座。スピカの南西方向で3等星4つで描く歪んだ十字架はまあまあ目立つ。NGC4038/4039アンテナ銀河が有名。触角銀河とも呼ばれ、2つの銀河が衝突中で長い潮汐の尾が伸びているのが特徴的。神話ではアポローンの遣いの白いカラスの姿とされる。



29 Crater コップ

トレミーの48星座で春の星座。最も明るいδ‬星は4等星で暗い。コップ座2という天の川銀河の衛星銀河(矮小銀河)や、おとめ座超銀河団に属する銀河がいくつか含まれる。うみへびの背に乗るように描かれる、アポローンのワインの盃とされる。



30 Crux みなみじゅうじ

全天で最も小さい星座だが、南天を象徴するような非常に有名で人気な明るい星座。独立した星座として設定したのはプランシウス(1598年)だが、プトレマイオスもみなみじゅうじの明るい星は認識しており、ケンタウルス座に含めていた。(ということはトレミー星座ではケンタウルス座には4つの1等星があるのか。贅沢!)ケンタウルス座に三方を包囲されており、あと一方ははえ座で、最も隣接する星座が少ない星座でもある。最輝星α‬アクルックスは最も南に位置する1等星だがプトレマイオスの時代はギリシャなどヨーロッパでも見る事が出来ていた。現在は地球の歳差運動のためより南に移動しており観測が出来なくなっている。日本でも沖縄くらいでしか星座全体を見る事は出来ない。2つの1等星を含む3つの星座のうちの1つ。ケンタウルスの2つの1等星もすぐ近くなので、全天で最も1等星が密集している領域と言える。アクルックス、βミモザも含めて明るい星はさそりーケンタウルスアソシエーションに属していて広大な範囲に少数の青白い明るい星が散らばって存在している。天の川の特に濃い領域にまたがる為非常に美しい。

書くこと多いなこの星座(2回目)

1等星が2つあるが、十字を構成する恒星は2等星γガクルックス(赤色巨星)と3等星δイマイが含まれるため、明るさも色もバラバラ。その上大きさも小さい為アルゴ座の中のニセ十字と間違える説がよく言われるが、実際ニセ十字と特徴が全然違うのでそれを知ってれば間違えそうも無いけどなあ。ともかくその描きやすい星座の形や明るい星が愛されていて、オーストラリアやブラジルなどの国旗にも描かれていて南半球のアイデンティティのような存在となっている。

α‬アクルックスはアルタイルと大体同じくらい、非常に明るい青白い1等星だがあまりに南で北半球での観測が困難なためか1等星で唯一伝統的な固有名が無い。みなみじゅうじ座α‬星を表すアクルックスが現在正式な固有名となっている。このような記号的な名付けをされる星としては最も明るい星になる。

恒星並かそれ以上に有名なのが石炭袋と呼ばれる全天で最も目立つ広大な暗黒星雲である。アクルックスの東方向でケンタウルス座とはえ座に跨って見え、天の川を背景にしてそれの10%ほどの明るさがある。南半球では有史以前より知られていて、15世紀くらいになるとピンソンやヴェスプッチなどの探検家に観測される。「黒いカノープス」や「黒いマゼラン雲」などと呼ばれた。

NGC4755宝石箱と呼ばれる散開星団も有名で、赤色超巨星を中心に青白い若い星が取り囲んでいる姿が美しい。ラカーユによって発見された。

現在は天の南極付近には南極星として使える星が存在しないため、みなみじゅうじがサザン・ポインターとして使われる。神話は無いが、象徴となったり観光資源になったり天文学的にも有用だったりと、最も愛されている星座のひとつであると言える。



31 Cygnus はくちょう

トレミーの48星座で北天の夏を代表する明るい星座。夏空の代名詞と言っても過言では無い、天の川に橋を架ける北十字の姿があまりにも有名。白い1等星α‬デネブは夏の大三角形を構成する。γサドル、εギェナーの2等星2つ、δファワリス、βアルビレオの3等星2つにデネブを加えて十字を描く。アルビレオは二重星である事が有名で、明るいオレンジ色のβAと青い暗めのβBの色の対比が美しく、望遠鏡で容易に分離して観察できるため北天の宝石とも呼ばれ人気が高い。最新の研究では実際の連星ではなく見掛け上の重星である可能性が高いとされた。

デネブは1等星で最も地球からの距離が遠く、1400〜3200光年とソースによってかなり幅がある。絶対等級も振れ幅が大きく、-6等から-8等のソースもある。遠すぎ、そして明るすぎて実態がよく分かってない星の1つ。銀河系内でも最大級の明るさを持っている恒星で半径3万光年の範囲で裸眼観察できるらしい。もうよく分からないけど強い。

更に強いのがはくちょう座OB2-12という恒星で太陽の100倍以上の質量を持つ青色超巨星で太陽の200万倍以上の光度を誇る。どうして1等星を有する明るい星座にばかりモンスターがいるんでしょうね。

強力なX線源であるブラックホール候補はくちょう座X-1、地球から近く固有運動が大きい為年周視差の検出に初成功した事で知られる61番星も有名。

天の川の中にどっぷり浸かるため多くの星団・星雲が存在する。NGC7000北アメリカ星雲、IC5067~5070ペリカン星雲、NGC6992-5,6960網状星雲、NGC6888三日月星雲などは愛称もあり美しい写真を撮られている。

ギリシャ神話ではゼウスの化身、東アジアの神話では天の川に橋を架けるカササギとされている。



32 Delphinus いるか

トレミーの48星座で夏から秋の星座。最も明るいβ‬星は4等星で暗い。密集して菱形を描く4つの4等星はヨブの棺や菱星と呼ばれた。天の川の近くなので、球状星団をいくつか含む。



33 Dorado かじき

南天の星座。3等星が1つあるが結構どうでもよくて、星座の南側からテーブルさん座にかけて跨る大マゼラン雲が有名。日本では一般的に全体を見る事は出来ない星座、つまり南部に位置する大マゼラン雲を見る事は出来ない。星座設定は紆余曲折あるが名付けはプランシウスっぽい。Doradoは元々シイラを指す。バルチウスの作った南天星表ではメカジキが描かれていたため、日本語訳がごっちゃになったっぽい。

大マゼラン雲は裸眼で最も明るく見える天の川以外の銀河で、見た目で満月の約20倍の大きさでぼんやりと明るい白い雲状に見える。差し渡しは約1.5万光年の矮小銀河で、天の川銀河の伴銀河かつ局部銀河群構成員のNo.4。かつて棒渦巻銀河だったものが天の川銀河の相互作用を受けて形が歪められ、不規則銀河とされる事もある。活発なスターバースト領域NGC2070タランチュラ星雲、既知で最も重い星の1つであるR136a1、LBVであるかじき座S星、ニュートリノ検出に成功した超新星SN1987Aなどが含まれる。



34 Draco りゅう

トレミーの48星座で北天の春から夏の星座。3番目に天の北極に近い大きな星座。最輝星で2等星のγエルタニンと、紀元前2000年頃に北極星だった4等星α‬トゥバンが知られている。肉眼で見えて天の北極から1°以内に収まる星はポラリスとトゥバンだけらしい。

有名な天体は三大流星群の1つしぶんぎ座流星群で、かつてラランドがしぶんぎ座(壁面四分儀座)を設定していた地点を放射点とする流星群。しぶんぎ座はボツになったが、流星群の名前としてのみ残った。年始に見られる。

その他複雑な構造が魅力的な造形を描く惑星状星雲NGC6543キャッツアイ星雲も有名。



35 Equuleus こうま

トレミーの48星座で北天の秋の小さな星座。最も明るいα‬‬星は4等星で暗い。誰が作ったかも分からず、伝統的な神話も伝わっておらず、目立つ天体も無いのに古くから存在するという、結構謎な星座。ペガスス座とみずがめ座の隣で黄道に近いので時期になれば観測は容易。



36 Eridanus エリダヌス

トレミーの48星座で南天の大きな星座。秋から冬にかけて見られるが、南端部は鹿児島以南くらいでしか見れない青い1等星α‬アケルナルが輝く。アケルナルは自転が非常に早い為最もつぶれている星の1つと知られている。名前は「川の果て」という意味で、より北の3等星θアカマルと同じ意味。ヒッパルコスやプトレマイオスの時代ではアカマルがエリダヌス川の終点だった。

4等星εラーンは地球から近い恒星の1つで、オズマ計画の電波発信ターゲットにされた。地球外生命体の文明の証拠は無かったようだが、惑星が見つかったり、しばしばSFに用いられたりする。それ関連なのか、やたら見つかっている惑星系に色んな国が固有名をつけるイベントがあったようだ。惑星状星雲や銀河も見つかっている。神話では、パエトーンが天の馬車を操りきれず落ちた川だとされる。



37 Fornax ろ

南天の目立たない星座でラカーユが1756年に設定した。東側を取り巻くようにエリダヌス川が走っている。秋に見る事が出来る。最も明るいα‬‬星は4等星で暗い。ろ座銀河団、矮小銀河、強力な電波源ろ座A、300億光年彼方の極めて遠方の銀河など、深宇宙領域の天体がよく見つかっている。また2003年にハッブル・ウルトラ・ディープフィールドが行われたのもこの星座で、銀河系内で最も遠い星なども観測された。



38 Gemini ふたご♊

黄道十二星座・トレミーの48星座で冬の代表的な明るい星座。黄色い1等星βポルックスと白い2等星α‬カストルの双子星の並びはあまりにも有名。ポルックスは冬のダイヤモンドを構成し、カラフルに冬空を賑やかす星の1つ。おうし座との境界に夏至点が存在する。4等星δワサトはほぼ黄道上に位置する星で、その近くで1930年に冥王星が見つかった。γアルヘナも2等星で明るい。ポルックスは惑星が見つかっていること、カストルは6重星であることが特徴。

有名な天体は三大流星群の1つであるふたご座流星群。カストル付近を放射点として12月初旬頃に出現する。地球近傍小惑星ファエトンを母天体とする。

M35散開星団も星が多く見応えがあり人気。



39 Grus つる

南天の秋の星座で、まあまあ明るい。1597年にプランシウスが設定した。日本では鹿児島以南でしか星座全体は見れない。2つの2等星、α‬アルナイルとβチアキは青と赤、隣のほうおう座の2等星アンカアはオレンジ色で、似た明るさで違う色の3星が並ぶ様が美しい。

南の鳥の星座が集まる地帯。



40 Hercules ヘルクレス

トレミーの48星座で北天の夏の大きな星座。3等星が多いが、東隣にベガがいるせいか輝星の密度が低いためかあまり目立たない星座。球状星団があることで有名。M13は星の密集度が高い北天で1番明るい球状星団。M92も明るく密集度が高い。神話での暴れっぷりがすごい。もうちょい明るい星座に設定してあげた方が良かったんじゃない?



41 Horologium とけい

南天の星座。1756年に設定、ラカーユ星座のご多分にもれない感じの星座。日本での観測は難しく、最も明るいα‬‬星は4等星で暗い。NGC1512は円盤状でほんとに時計の文字盤に出来そうなフェイスオンの棒渦巻銀河。衛星銀河NGC1510と相互作用で潮汐の尾を乱している。



42 Hydra うみへび

トレミーの48星座で現代の星座では最大の大きさ。アルゴ座の方が大きかった。南天、春の星座。接する星座の数が14で最も多い。みなみじゅうじの7倍!ちなみに大きさは19倍。広大だが、最も明るい2等星α‬アルファルド以外の星はあまり目立たない。

広いから色んな天体が存在する。M83南の回転花火銀河は最も整って華やかな姿の渦巻銀河の1つ。フェイスオンで弱い棒構造が見え、スターバーストによる明るい領域が全体に見える様がまさに回転花火。NGC3242木星状星雲はまさに惑星のように見られた惑星状星雲。明るめの散開星団M48、電波源うみへび座A、うみへび座銀河団など。遠方銀河も近傍の惑星状星雲も見れる星座はうみへび座だけ!(確認はしてない)



43 Hydrus みずへび

南天の星座。1597プランシウス。α‬星は3等星であまり目立たない。天の南極に近く、日本では観測が難しい。5000年前から2000年前にかけて天の南極はこの星座内に位置していたため3等星のα‬星、β星は南極星だった事がある。



44 Indus インディアン

南天の星座。1597プランシウス。(定型文になってきた)α‬星は3等星であまり目立たず、天の南極に近く日本では観測が難しい。2015年にASASSN-15lhという観測史上最大の極新星爆発があったみたい。ピーク時太陽の570億倍の明るさに至ったとかこれもうわかんねえな



45 Lacerta とかげ

折り返し!北天の星座だが非トレミーで1687年にヘベリウスによって設定された。秋の星座。アンドロメダとはくちょうの間で、最も明るいα‬‬星は4等星で暗い。活動銀河核を持った活動銀河の一種であるとかげ座BLが有名で、超高速運動と大きな可視変光性を持つブレーザーと考えられている。



46 Leo しし♌

黄道十二星座・トレミーの48星座で春の代表的な星座。青白い1等星α‬レグルス、2等星βデネボラが有名。デネボラとスピカとアークトゥルスで春の大三角形を描く。レグルスは1等星の中で最も暗く、最も黄道に近い。そのため航海での位置計測の基準星の1つになっていたり、月や惑星によるレグルス食が見られたりする。2等星γアルギエバも明るい。明るい銀河がたくさんあり、メシエ天体数が5つと多い方。

星を結ぶ星座線とモチーフのイメージが合致している星座の1つで、古代バビロニア時代よりライオンの姿と認識されていて、王権の象徴とされ特にレグルスは「王の星」「ロイヤルスター」などと呼ばれる事もありなんかとてもリッチ。神話としてはヘラクレスと戦ったネメアーの獅子とされる。主人公の星座感ある。



47 Leo minor こじし

北天の春の星座。1687ヘベリウス。しし座とおおぐま座の間の星の無い領域を埋めるように設定されたため、目立つ天体も神話も無い。また、α‬星が存在しない4つの星座のうちの1つ。バイエル符号の振り忘れによるもので、最輝星にバイエル符号が無い唯一の星座。最も明るい46番星は4等星で暗い。



48 Lepus うさぎ

トレミーの48星座の1つでオリオンの南方に位置する南天の冬の星座。3等星が4つあり、まあまあ目立つ。非常に赤いミラ型変光星R星クリムゾン・スター、おおいぬ座矮小銀河由来とされる球状星団M79が知られている。しばしばオリオンの猟犬(おおいぬ座)に追いかけられるうさぎと説明される。おおかみ座Lupusと綴りが似ているので間違えないようにしよう。



49 Libra てんびん♎

黄道十二星座・トレミーの48星座で夏の星座。黄道十二星座としては最も新しいもので、元々隣のさそり座のはさみ部分とされていた事があり、3等星のβ星α‬星はそれぞれズベン・エス・カマリ(北の爪)、ズベン・エル・ゲヌビ(南の爪)と、さそり由来の固有名が付けられている。黄道十二星座は4000~5000年くらい歴史があるものが多いが、てんびん座は独立星座としては2000年くらいの歴史しかないようだ(それでもラカーユやプランシウス星座などより遥かに古い)。

ズベン・エス・カマリは分類的には青色の星だが、珍しい、裸眼で緑色に見える星として知られている。何故緑色に見えるのかは分かっていない。目立つ天体は無いが、最近(2018年)の研究で宇宙の年齢138億年に匹敵するほど古い恒星HD 140283(通称メトシェラ)が話題になってきている。



50 Lupus おおかみ

トレミーの48星座で南天の夏の星座で、日本では全体を見られる地域は九州以南に限られる。てんびん座の南側。2等星α、3等星が6つあり明るめだが固有名がひとつも付いていない、認知度の低い星座。天の川に浸かっておりたくさんの星雲や星団が見られる。

はっきりとした神話は分からず、プトレマイオスは特定の動物を差さず「野獣座」としていた。



51 Lynx やまねこ

北天の春の星座で1687ヘベリウス。3等星が1つあるが他は暗い星ばかりで目立たない星座。こじし座と同じ系統でぎょしゃ座とおおぐま座の間の星の無い領域を埋めるように設定されたため、神話が無い。NGC2419球状星団は天の川銀河系内でも遠い星団で、アンドロメダ銀河から見れば明るく見えると言われている。



52 Lyra こと

トレミーの48星座で北天の夏を代表する星座。非常に明るい青白い1等星にして織姫星として知られるα‬ベガがあまりにも有名で、夏の大三角形を構成する。ベガが目印になるので3等星と4等星が平行四辺形を作っている姿は比較的見つけやすい。ベガは塵を纏っている事が確認されていて、惑星があるのではと期待されている。夜空で5番目に明るい星で、特に夏の空では最も明るく、また日本ではほぼ天頂を通るためその点でも目立つ。1万2000年後には天の北極から5°の所まで近づき北極星となる。同じ頃に天の南極ではカノープスが最も極に近づき(指標とはなるが南極星にはならない)、両極に白い1等星が座すことになる。見てみたい光景の1つですね。

M57環状星雲は最も有名な惑星状星雲と言える。リング状の整った形をしており、中心星である白色矮星の姿もはっきりしていて、小口径の望遠鏡でも観察できることから人気の高いメシエ天体のひとつ。その他少しまばらな球状星団M56も見られる。



53 Mensa テーブルさん

南天の星座。1756ラカーユ。2番目に天の南極に近く日本から全く見る事が出来ない星座のひとつ。最輝星が最も暗い星座でα‬星は5等星。大マゼラン雲の1部がかかっているが、大部分はかじき座に位置するため特筆すべき天体はない。ケープタウンのテーブルマウンテンがモデルとされ、大マゼラン雲はテーブルマウンテンの頂上にかかる雲と例えられる。



54 Microscopium けんびきょう

南天の星座。1756ラカーユ。みなみのうお座の一部を切り取って設定された。軽気球座とされた事もあった。最も明るいγ星は5等星で暗い。いくつかの銀河が見つかっている。



55 Monoceros いっかくじゅう

冬の星座で冬の大三角形に囲まれた暗い領域。1613プランシウス。最も明るいβ星は4等星で暗い。冬の天の川の中に浸かっておりたくさんの星団や星雲が見られる。M50散開星団、NGC2237-2239、2246ばら星雲、NGC 2264コーン星雲などが有名。星形成領域を含む輝線星雲が多いため若い星が多く生まれている。



56 Musca はえ

南天の星座。1597プランシウス。日本では観測が難しい。みつばち座とされていた事もある。α‬星、β星の3等星が2つあり、みなみじゅうじの更に南を探せば見つけやすいかも知れない。



57 Norma じょうぎ

南天の夏の星座。1756ラカーユ。さいだん座とおおかみ座の間を埋めるタイプの星座のため明るい星は無く

最も明るいγ星は4等星で暗い。α‬星の無い4つの星座のひとつで、ラカーユの設定したじょうぎ座α‬星とβ星は区画整理によりさそり座に奪われた。かわいそう。ユークリッドの定規座とされた事もある。天の川に浸かっているため明るい散開星団NGC6087が存在する。



58 Octans はちぶんぎ

南天の星座。現在天の南極が存在する。1756ラカーユ。最も明るいν星は4等星で暗い。α‬星は5等星で、最も暗いα‬。同じく5等星のσ星は肉眼で見える星としては現在最も天の南極に近くポラリス・アウストラリスと呼ばれる事もあるが暗い星のため天測航法の目標星としては有用ではない。天の南極を知るためにはみなみじゅうじ座が使われ、この星座が暗い星座のため現在南極星は存在しないとされる事の方が多い。土星にとっての天の南極が存在する星座でもあり、δ星が土星の南極星に近い。



59 Ophiuchus へびつかい

黄道上に位置する唯一の非黄道十二星座、トレミーの48星座。天の赤道と黄道に跨る夏の星座。α‬ラス・アルハゲ、ηサビクの2つの2等星が明るい。3等星も7個ありまあまあ明るい星座。バーナード星は地球から2番目に近い恒星で高速で北方に移動しているため全天で最も大きい固有運動を持つ。赤色矮星で太陽の20%ほどの規模の星で暗いため、肉眼で見る事は不可能。2018年に惑星が見つかり、プロキシマ・ケンタウリbに次いで地球から2番目に近い惑星系となっている。超新星SN1604ケプラーの星が非常に有名。ティコの星からわずか32年で起こったⅠa型超新星爆発で、2020年現在確認されている天の川銀河系内で起こった最後の超新星爆発でもある。ピーク時には-3等級になり夜空で金星に次いで明るい天体となった。シェル型の超新星残骸が残っている。

メシエ天体が多い星座でもあり、7つある全てが球状星団。M10が最も明るく見え、密集度も高い。頑張れば裸眼でも見られる。球状星団は銀河中心を取り巻くハロー部に多い天体で、中心に向かう程数が多くなる傾向にある。球状星団が多いということは、へびつかい座が銀河中心を取り巻くハロー部に位置していると言う事である。多分。散開星団や星雲も含む。

黄道十二星座は誕生日の割り振りで知られるような均等ではなく、おとめ座の領域を太陽が通過するには1ヶ月半かかるのに、さそり座の領域は4~7日程で通過してしまう。実際に太陽が通過する日時を割り振ったサイデリアル方式ではへびつかい座が含まれるためしばしば13星座占いという考え方が出てくる。実際伝統的な黄道十二星座には含めないが、十二星座を取り扱う作品などでは影の存在のような形でよく登場する。

神話ではケンタウロスの賢者ケイローンに育てられ医術の腕を高めるあまり死者を蘇らせ、ゼウスの不興を買い殺されてしまった名医アスクレピオスの姿。杖に蛇の絡みつくアスクレピオスの杖のモチーフは医学の象徴として有名で、WHOのシンボルにもなっている。



60 Orion オリオン

トレミーの48星座で、南天の冬の明るい星座。星座そのものの代名詞と言っても過言ではない、名前も星も形も神話も星雲も有名な、人類に最も愛された星座と言える。2つの1等星を有する3つの星座のうちの1つで、2.5等以上の明るい星が最も多い星座でもある(7個)。最輝星はβリゲルで、デネブが遠方過ぎて不確かだが1等星で最も絶対等級の低い(明るい)恒星とされ、冬のダイヤモンドを構成する。質量が重いため進化が非常に早い青色超巨星で、生まれてより800万年程だが既に水素を使い切って膨張しつつある。ベテルギウスが850万歳程でもうヤバい状態と考えると、より重く寿命の短いリゲルの天下もあとほんのわずかで、最後はⅡ型超新星爆発を起こし中性子星になると考えられる。α‬ベテルギウスは変光星で極大期を除きリゲルより暗いが、いつ超新星爆発を起こすか分からない、星の一生の末期であるという状態であまりにも有名な恒星である。冬の大三角形を構成する。2019年末より極端に暗くなっていっており、2020年1月にはついに2等星落ちした事が確認された。変光のいくつかのサイクルの極小期が重なった事による減光とされており、星の収縮に伴いまた次第に光を取り戻していくと考えられている。人類史上、恒常的に1等星とされる星が2等星にまで落ちる事態は初めてなんじゃないかな?脈動しているため不確かだが太陽の1000倍程度の直径を有する最も大きな1等星で、太陽を除けば見かけの大きさが最も大きい恒星でもある。

書くこと多いよなこの星座(知ってた)

2等星の数も5個とおおぐま座に次ぎ2番目に多く、全て固有名が正式に定められている。明るい順にγベラトリックス、εアルニラム、ζアルニタク、κサイフ、δミンタカ。全てが有名な鼓型を描くのに使われる。特にアルニタク、アルニラム、ミンタカ(東順)の3星は通称オリオンの三ツ星と呼ばれほぼ同じ明るさ・色で等間隔に並んでいる姿はあまりにも有名で方言が凄まじく多く、某ビールのロゴなどでも知られる有名なアステリズムの1つ。ベテルギウス以外のこれらの輝星はオリオンアソシエーションに属していて年齢や固有運動、物理的性質が似通っている。オリオン座付近の巨大な分子雲から生まれた事が理由である。重なっている重星も含めて全て青い星、重く温度が高く非常に若い、極めて明るい星達である。

三ツ星の南方に広がる輝線星雲M42,43オリオン大星雲もあまりにも有名。地球から約1300光年と星雲にしては非常に近く、見た目にも大きく見え肉眼でも観測できる明るい星雲の1つである。若い星が誕生しつつある星形成領域で、中心部には4重星トラペジウムを含む散開星団が存在する。年齢は30万歳程度で、天文学的にはとんでもなく若い。

アルニタクの南側に位置する暗黒星雲、馬頭星雲も有名。写真に赤く写る輝線星雲を背景に、塵の多い暗黒星雲が重なる事で馬の頭のようなシルエットを浮かび上がらせている。肉眼で見る事は出来ないが、近くにアルニタクや輝線星雲NGC2024、反射星雲NGC2023などが密集し見応えのある景色を作り出しているのでよく写真に撮られる。他にも巨大な超新星残骸バーナードループ、明るい反射星雲でウルトラマンの出身地とされるM78が存在する。

その視認のしやすさから古くから観測されている、原型となったものは黄道十二星座並に古い星座である。ギリシャ神話でポセイドンの息子の優れた猟師だったが強さを驕ったためさそりに刺し殺された、という話も有名で、プラネタリウムではさそり座が天に登り始めるとビビって逃げるように地平線に沈んでいくとよく説明される。中国でも、オリオン座(参)とさそり座(商)が天の対極である事から不仲や疎遠な人間関係を「参商之隔」というらしい。面白いね。

最後!我々太陽系が属している天の川銀河の領域をオリオン腕と呼ぶ。銀河系の中心から見てオリオン座がある方向なのでそう名付けられた。天の川の外縁に向かった方向のため、オリオン座を初めとする冬の星座にかかる天の川は夏に比べ淡い。オリオン大星雲、プレセぺ星団、プレアデス星団、環状星雲、亜鈴状星雲、ふくろう星雲などの有名で明るい天体、および1等星すべて(おそらく)もこのオリオン腕に所属する(一般的に明るいとは近いという事である)



61 Pavo くじゃく

南天の星座。1597プランシウス。2等星α‬ピーコックと球状星団NGC6752が明るいが日本では観測が難しい。



62 Pegasus ペガスス

トレミーの48星座。秋を代表する明るめで大きな星座。εエニフ、βシェアト、α‬マルカブの3つの2等星、γアルゲニブ、ηマタル、ζホマンの3つの3等星がある。比較的固有名のついた星が多い。マルカブ、シェアト、アルゲニブとアンドロメダ座のアルフェラッツでペガススの四辺形を構成する。秋空には明るい星が少ないため目立つ。

あまりにも有名なペガスス座51番星は1995年に太陽以外の恒星を廻る惑星が初めて見つかった星として知られる。ホット・ジュピターに分類されるペガスス座51番星bを発見したマイヨールとケローは2019年にノーベル物理学賞を受賞し再び脚光を浴びた。

M15球状星団、ステファンの5つ子銀河、アインシュタインの十字架(クェーサー)なども知られる。



63 Perseus ペルセウス

トレミーの48星座。北天の秋の星座。2つの2等星α‬ミルファク、βアルゴルが明るいが、恒星よりも多分流星群の方が有名である。ペルセウス座流星群は三大流星群の1つで、年間最大級の活動を見せる夏の流星群。流れる速度が早く明るい流星や火球、流星痕が出現しやすく、日本ではお盆や夏休みの時期に重なるため最も観測しやすい流星群と言われる。母天体スウィフト・タットル彗星は周期133年の短周期彗星で地球に回帰してくる時期には流星群も活発になる。次の回帰は2126年と予想されている。

アルゴルは有名な食変光星で、連星が互いを隠したり並んだりする事によって光度変化するタイプの変光星で、アルゴル型変光星とも呼ばれその典型である。その特異性とメドゥーサの目の位置にあたり悪鬼を意味するなど個性が強く、より明るいミルファクよりも有名。地球から非常に近い散開星団M34、惑星状星雲M76小亜鈴状星雲、h+χ二重星団(紀元前から観測記録の残る明るい散開星団なのに何故かメシエ天体ではない)、輝線星雲NGC1499カリフォルニア星雲など、バラエティに富み賑やかな星座。



64 Phoenix ほうおう

南天の星座。1597プランシウス。アケルナルの北西方向。オレンジ色の2等星α‬アンカアが明るいが、星座全体を見られる地域は鹿児島以南に限られる。小規模だが12月5日にほうおう座流星群がある。



65 Pictor がか

南天の星座。カノープスのすぐ西側の目立たない星座。カノープスを目印にすれば探せるかも知れないが、1番明るい3等星α‬星が沖縄くらいでしか昇らないためやっぱり難しいかも。太陽系からほど近い赤色矮星カプタイン星、不規則銀河NGC1705がある。



66 Pisces うお♓

黄道十二星座・トレミーの48星座で秋の星座。1番明るいηAlphergは4等星で暗い。黄道十二星座で最輝星が最も暗い星座。現在春分点がこの星座の領域に存在し、7°ほど北にあるω星が近い。地球からほど近い白色矮星ヴァン・マーネン星、暗いが美しい渦巻銀河M74がある。ちょっとM74について語らせてください。M74はメシエ天体で最も暗い天体とも、英語でPhantom Galaxy(影の銀河)とも呼ばれる不遇で目立たない銀河だが、フェイスオンで非常に整った完璧な渦巻銀河の形状をしている美しい銀河。周囲から潮汐の影響を受けておらず崩れのない円形をしている所や、バルジ部が小さく(そのため暗い)2本の明瞭な渦状腕が発達している所も均整で美しい。あまり星形成が活発でないため、写真では暗闇に青いラメを散りばめたように写る。南の回転花火銀河のように星形成の活発な領域が赤く明るいのも綺麗だけど、M74のクールな色合いは本当に美しい。本当にオススメ。天の川銀河以外では1番好きな銀河です。

その他にも見つかっている天体は銀河ばかり。

神話では女神アフロディーテとその子エロースが魚の姿を取り怪物テュポーンから逃げる姿、双魚を繋ぐリボンは親子愛に例えられる。



67 Piscis Austrinus みなみのうお

トレミーの48星座。南天、秋の代表的な星座。秋空で最も明るい青白い1等星α‬フォーマルハウトが有名。フォーマルハウトだけ突出して明るく、次に明るい恒星は4等星というなんか尖った星座。フォーマルハウトは地球に結構近い恒星で、シリウスと似たような規模の恒星。主星は塵の円盤を持っており、2008年に可視光直接観測によって太陽系外惑星が見つかっている。プトレマイオスはみずがめ座とみなみのうお座の境界にフォーマルハウトを置いておりどちらにも含めていたため、しばしばみずがめ座には1等星がある、という記述も見受けられる。現在は境界線近くですらないが、星座絵ではガニュメデスが水瓶で水を注ぐ先が魚の(フォーマルハウト)と、繋がった絵で描かれる事が多く、セットの印象が根付いている。



68 Puppis とも

南天の星座。南北に長く、北部はシリウスと同じくらいで日本どこでも見られるが南部はカノープスと同じくらいで東日本では観測しづらい。1756年、ラカーユによりトレミーの48星座であったアルゴ座から区分された3つの星座の1つ。アルゴ船の船尾部分を表す。最も明るいζナオスは唯一の2等星。非常に重く温度が高いので特に青く見える青色超巨星。300万歳程度と非常に若い。レアなO型星としては地球から最も近い部類で、特に明るく見えるものの1つ。とも座にはα‬、β、γ、δ、εまでのバイエル符号が存在しない(全天唯一)。詳しくはりゅうこつ座の項を。りゅうこつ座、ほ座はより南方のためか明るい割に固有名の付いた恒星が少ないが、とも座は2等星、3等星全てに固有名が付いている。3等星はπアーディ、ρトゥレイス、τアルリーラ、νカイマナ、σハーディ、ξアスミディスケの6星。ハーディは1万1500年後くらいに天の南極に最も近付き南極星となるが、その頃カノープスも天の南極から10°くらいに近付いていてかつくそ明るいためハーディが南極星として認識される可能性は低いらしい。仕方ないね。

天の川に浸かっているため、散開星団がとても多い。明るい星団が隣合っているM46,47、最も南のメシエ天体M93散開星団、それらより明るくメシエには観測出来なかったNGC2451散開星団、星の密集度が高い球状星団のようなNGC2477散開星団、M46にたまたま重なっているNGC2438惑星状星雲など、見応えがある。

アルゴ座はトレミーの48星座で紀元前より歴史のある古い巨大な星座で、現在最大のうみへび座より3割程度大きく南天の4割程度を占めていた。しぶんぎ座と並び有名なボツ星座である。紆余曲折あり、ラカーユがアルゴ船を「船体」「船尾」「帆」に区分したものがそれぞれ現在のりゅうこつ座、とも座、ほ座の元になった。フランス人のラカーユの書いた3つの言葉が1763年にラテン語訳された際Argûs in carina 、Argûs in puppi、Argûs in velisとなりこれがほぼ現在の星座名になっている。なおラカーユはらしんばん座はアルゴ座の領域には含めず、別の星座としこちらも現在採用されている。ラカーユ星座はほとんどが南天の暗く特徴の無い星座だが、このアルゴ座関連があってか星座設定者としてはプトレマイオスの次に有名な気がする。(というかプランシウスの知名度低すぎ)アルゴ座を分割したのは1922年IAUによってである。やっぱり長くなったので続きは最後のほ座で書きます。



69 Pyxis らしんばん

南天の星座。うみへび座ととも座の間あたりで南天低いが日本広域で見られる。1756ラカーユ。プトレマイオスはアルゴ座に定めていた領域だった。マスト座(帆柱座?)、測定策座とされた事もあった。いずれにしても船に関係する道具で、広くアルゴ船の1部だと認識されていた事が知れる。最も明るいα‬星は4等星で暗い。散開星団がいくつか見つかっているが、いずれも暗い。



70 Reticulum レチクル

南天の星座。日本では観測が困難。1756ラカーユ。3等星があるが、周囲(とけい座、かじき座、みずへび座)も含めて目立たない領域が続く。銀河がいくつか見つかっている。



71 Sagitta や

トレミーの48星座で北天、夏の小さな星座。アルタイルの北方。明るい星は無いが、多くの文明で矢と認識され様々な逸話があったらしい。神話でも、アポロンの矢、ヘラクレスの矢、エロースの恋の矢などに例えられた。明るめの散開星団M71、ブラックウィドウパルサーとかいうヤバげなパルサーなどが存在する。



72 Sagittarius いて♐

黄道十二星座・トレミーの48星座。夏の有名な星座で天の川の最も濃い中心部がこの星座内に存在する(γアルナスル付近)。2等星は2つあり、εカウス・アウストラリス、σヌンキは明るいけど背景が明るすぎて探しづらいという贅沢な悩みみたいな珍しい状況の星。3等星もいっぱいある明るい星座。なのに、α‬星ルクバトは4等星でうお座やかに座並に暗い。やたら南で天の川の濃い部分から外れ、暗い星なのにカウスやヌンキを差し置いて明るく見えると記録し近くにβ(これも4等星)まで書いていた…バイエルやティコは一体何を見たのだろうか?ミステリーな星である。

有名な恒星は他にピストル星がある。天の川銀河系最大級の明るさを持つLBVでピストルの形に似た星雲の中にあるためそう呼ばれる。りゅうこつ座η星よりも明るいとされるが遠く、また銀河の中心方向のため暗黒星雲など障害物が多く裸眼視は不可能。非常に重く不安定なため度々爆発を起こし周囲に星雲を作っている。太陽の160万倍くらいの明るさがあると推定されている。最も光度の大きい恒星の座は2004年に発見されたLBV1806-20に譲る事になったがこちらもいて座内にある。書くこと多いね(4回目)

天の川の中にたくさんの星雲や星団が見え、メシエ天体の数が15と圧倒的No.1。M8干潟星雲、M17オメガ星雲、M18散開星団、M20三裂星雲、M21散開星団、M22球状星団、M23散開星団、M24散開星団、M25散開星団、M28球状星団、M54球状星団、M55球状星団、M69球状星団、M70球状星団、M75球状星団。球状星団が多いのはへびつかい座と同じ理由。大体が6~7等級くらいで肉眼で見るのは難しいが写真に撮りやすく、双眼鏡で楽しめるくらいの明るさ。干潟星雲はオリオン大星雲ほど近くは無いため明るさは劣るが、背景に天の川の濃い中心部、前景に帯状の暗黒星雲と散開星団NGC6530と贅沢なレイヤーが重なって見え、見応えのある写真が撮られる。ボック・グロビュールと呼ばれる密度の濃い暗黒星雲が所々に見られ、その中では原始星が生まれようとしている。オメガ星雲も明るい輝線星雲で、雲状の部分を色々な物に例えられた。ケンタウルス座のω星団はバイエル符号としての小文字のオメガだが、こちらは星雲の形が大文字のΩ形に例えられ名付けられた。三裂星雲は実際星雲が分割されている訳ではなく、干潟星雲と同じく前景の暗黒星雲によって三裂に見えるタイプの、形のわかりやすい星雲である。たくさんの若いO型星で構成される星団を抱えており、その強力な放射などにより電離された南側は赤っぽい輝線星雲、照らし出された北側は青っぽい反射星雲となっている。

近年の研究で最も注目を浴びているのが銀河系の中心部の電波源領域いて座A、及びその中でも明るいコンパクトな電波源で大質量ブラックホールの存在を語られているいて座A*である。天の川の中心方向には星間物質が多く可視光観測が難しいため近年まで正体は知られていなかった。電波や固有運動、周囲の恒星の運動から大質量ブラックホールがある可能性が高いと報告されたのは2002年、本当にごく最近である。現在、電波干渉法を用いた地球サイズの仮想電波望遠鏡でいて座A*の姿を画像として捉える計画が進んでいる。質量は太陽の400万倍くらいとされ、銀河中心の大質量ブラックホールとしては比較的小さいサイズで放射なども少ないため、天の川銀河は活動銀河ではないとされている。近傍でピーク1億Kに達する爆発現象が検出されたり、恒星やガス雲が中心部に非常に近付いたあと何事も無く公転していくなど、まだまだ謎が多いというか分かっていることが少ない。研究が更に進むのが楽しみな天体である。

神話ではケンタウロス族の賢者・ケイローンの姿として有名。弓の名手アルテミスから狩猟を学んだとして弓を引く姿が印象的。粗暴で野蛮な怪物ケンタウロスとしては異例の存在で、アスクレピオスに医術をヘラクレスやカストルなどに武術や馬術を教えたり、アルゴ船船長イーアーソンやアキレウスもわしが育てた。十二星座の中でも神話が優遇されているので主人公の星座感ある。(2回目)

現在冬至点がある。南斗六星のこと書いてない!本当に書くこと多いなこの星座!



73 Scorpius さそり♏

黄道十二星座・トレミーの48星座。夏を代表的する非常に明るく有名な星座。赤い1等星α‬アンタレスがあまりにも有名。オリオン座に次ぎ2番目に2.5等以上の恒星が多い星座でもある。(6個・ケンタウルス、おおぐまと同率)また、3等以上とすれば1位になる。1等星1個、2等星5個、3等星9個。なんだこの星座。

アンタレスは赤い印象が強い恒星である。1等星では最も低密度の巨大な赤色超巨星で、一時期ベテルギウスと同じく超新星爆発間近かと騒がれた事があった。まあそれは間違ってはいないけど、恒星の進化は一般的には人間の寿命単位で激変するような時間軸ではないので安心されたし。みなみじゅうじ座の輝星などと同じさそりーケンタウルスOBアソシエーションに属しており、1200万歳くらいと若いが、そのアソシエーションの中で最も重い大規模な星であるため突出して進化が早く、赤色超巨星になっている。また黄道南3°くらいの位置にあり白道に近く、月や稀に惑星によってアンタレス食が起きる。惑星による隠蔽が起きる恒星としては最も明るいのかな?黄道に近いため火星に間違われる事がありその為火星に対抗するものーアンチアレースーアンタレスと名付けられたとされる。その他コル・スコルピなど色々な言語でさそりの心臓を意味する名称で呼ばれている。月や火星や木星などの明るい惑星としばしば並び、明るく色も視認しやすいため「今月の星空ガイド」みたいな類のものに名前が載りやすい。

2等星はλシャウラ、θサルガス、εララワグ(ウェイ)、δジュバ、κギルタブ。輝星は全てさそりの身体の特徴的なS字を描くのに使われる。恒星の固有名はほとんどがアラビア語かギリシャ語に由来するが、サルガスとギルタブはシュメール語を語源とする珍しい星。固有名を持つ星自体は多いのだが、未だに呼称が統一されていないものや、古くから輝星として知られていた割には知名度が低いものが多い。

天の川銀河の中心はいて座γ星のあたりで、さそり座にもほど近い。その為多くの星団を含む。メシエ天体は4つで散開星団M6バタフライ星雲、散開星団M7トレミー星団はどちらも裸眼視出来るほど明るい。トレミー星団は特に古くから観測されている星団で、2つとも天の川の最も濃い部分に重なり更に濃く見せている、煌びやかな星団である。M4球状星団も明るく、頑張れば裸眼視出来る。アンタレスの近くにある事で有名。全体が黄色っぽく見えるほど赤色巨星が多く、およそ130億年前に形成されたとされる古い星団で、星団内にパルサーや白色矮星(どちらも恒星の一生の終わりの姿)が発見されている。M80球状星団もアンタレスを目印の探すことが出来る(アンタレスとβアクラブの中間くらい)。裸眼視は難しいが双眼鏡で見られる。星団内に青色はぐれ星や新星が見つかっていて、密度が高いために恒星の衝突が起きていると考えられている。双極性星雲NGC6302バタフライ星雲、輝線星雲NGC6357彼岸花星雲(英語ではThe War and Peace Nebula)なども愛称が付けられていて写真で華やかな姿を見ることが出来る。

神話ではオリオンやパエトーンに喧嘩を売って勝っている強い毒さそりとしても有名。中国では東方青龍に例えられ、二十八宿のうちの三宿が現在のさそり座の位置に設定されていた。アンタレスは心宿。やっぱり心臓である。海辺の国では釣り針に例えられがち。形が分かりやすい星座の筆頭である。



74 Sculptor ちょうこくしつ

南天の星座。1756ラカーユ。くじら座の南方、フォーマルハウトの東方で秋の星座。最も明るいα星は4等星で暗い。ラカーユは「彫刻家のスタジオ座」としていたが、名称は後に簡略化された。銀河南極が存在し、多くの銀河が見つかっている。局部銀河群であるNGC55棒渦巻銀河、特徴的な形をしたESO350-40車輪銀河など。



75 Scutum たて

南天の星座。いて座の北方で夏の小さな星座。1684ヘベリウス。「ソビエスキの楯座」だったものが簡略化された。天の川銀河のメイン渦状腕のひとつたて-ケンタウルス腕は銀河の中心からみてたて座やケンタウルス座方面の為名付けられている。もう1つのメイン渦状腕ペルセウス腕は濃い部分があるのは我々から見て遠い側(銀河の向こう側)なので見えず、たて-ケンタウルス腕は我々から銀河の中心を覆い隠している腕とも言える。昔はたて-いて腕だったような気がする(確かではない)。最も明るいα星は4等星で暗い。散開星団M11野鴨星団、M26散開星団がある。



76 Serpens へび

トレミーの48星座で北天、夏の星座。唯一の分断されている星座。頭部はSerpens Caput、尾部はSerpens Caudaで蛇の胴体はへびつかい座の中にありアスクレピオスに掴まれている。IAUによる星図でもSerpens Caput、Serpens Caudaの名称が書かれているが、ひとつの星座である。最も明るい3等星αウヌクアルハイはオレンジ色の赤色巨星のため蛇の心臓と例えられることもある。全体的にあまり目立たない。明るめの球状星団M5(頭部)、有名な散開星団+輝線星雲M16わし星雲(尾部)がある。1995年にハッブル宇宙望遠鏡によってわし星雲の中心部に見える細長い暗黒星雲の拡大写真が撮影され、「創造の柱」と名付けられた。こちらの方がわし星雲自体よりも有名かも知れない。



77 Sextans ろくぶんぎ

天の赤道上にある目立たない春の星座。1687ヘベリウス。レグルスのすぐ南方。最も明るいα星は4等星で暗い。NGC3115エッジオンのレンズ状銀河以外に目立った天体も無い。



78 Taurus おうし♉

黄道十二星座・トレミーの48星座。有名な天体が多い、冬の代表的な明るい星座。3等星以上の明るい星は6つと多い方とはいえ突出してはいないのだが、バイエル符号・フラムスティード番号が振られた恒星が132とやけに多い。きちんと調べてはいないが多分ダントツ1位。(おおぐま座やおとめ座やオリオン座など広大で明るい星座でも100個に満たない)おそらくプレアデス星団やヒアデス星団の星の1つ1つにも番号が振られていることが理由だとは思う。人類にとって最も重要な家畜の一つである牛に例えられている事からも分かるように非常に歴史が古い星座。ほぼ確定で5000年、もしかしたら19000年の歴史があるかも知れない。天文考古学になって来た。別項に分けた方が良さそう、12星座の歴史について。青銅器時代中期(5000年前くらい?)にマークされていた4つの至点、おうし座「春分のマーク」、しし座「夏至のマーク」、さそり座「秋分のマーク」、やぎ座「冬至のマーク」これがほぼ確定で最古の星座とされる。約3000年前のMUL.APINという粘土板(石版?)に、現在の12星座とモチーフの違いはあれど黄道上の星は網羅されていた。上記4つの星座は現在と変わらない。2400年前くらいには黄道星座が12のサインに分けられ、バビロニアの民らのカレンダーとなった。これが12星座の根底になっている。3000年前、バビロニアのカルデア人によるものより古い時代ははっきりしない。フランス・ラスコーの洞窟壁画に描かれた牛、オリオンのベルト、プレアデスとされるものを星座だとすると、19000年前になるが懐疑的である。

オレンジ色の1等星αアルデバランが有名。年齢は64億歳程度と他の1等星らと比べると桁外れに長寿な恒星で、輝星では珍しく太陽より年上の恒星である。白道に近く、頻繁に月によって隠蔽される。惑星かも知れない低質量の星の公転が確認されている。名前は「後に続くもの」を意味し、プレアデス星団の後に天に登ってくることを意味している。日本語でもすばるのあとぼし、とまったく同じ意味の言葉で呼ばれたこともあった。プレアデス星団とセットでの神話も伝わっていたり、プレアデスを目印にすればアルデバランはすぐに見つけられるとか、とにかくプレアデス星団と仲のいい(?)恒星である。

さて何度も名前の出ている散開星団M45プレアデス星団は全天で最も有名な星団で、ダントツで1番明るいメシエ天体である。おうし座の項でアルデバランよりも先に名前が出るし、有史以前はそれだけで1つの星座とされていた程有名で観測史の古い人気な天体である。もちろん裸眼視でき、暗い空で6-7個の星を数える事が出来、都市の夜空でも大きく白く滲んだように見られる。明るいのは地球に非常に近い為で、最も近い星団の一つである。ギリシャ神話のプレアデス7姉妹の姿として有名だが、星団としてのプレアデスという名前の発生の方が早く、それを説明するために「プレイオネーの娘達」という神話を作った、とされている。日本語でのすばるという呼称も広く知られていて自動車や望遠鏡の名前、会社名や人名にもよく用いられる。清少納言の枕草子「星はすばる」も。織姫、彦星並に有名な星の和名である。

ヒアデス星団は有名だがメシエカタログにもNGCにも数えらていない。アルデバランの周囲で、おうしの顔部分のV字型を形成している。(アルデバランはたまたま重なっただけで、星団のメンバーではない)地球から153光年と非常に近い星団のためバラけて見え、裸眼視出来る星数はプレアデス星団より多い。双眼鏡でもアルデバランの周囲に明るい星がたくさん散らばって見え、非常に華やか。ギリシャ神話ではプレアデスの異母姉妹のニュンペーの姉妹とされる。

おうし座のもう1つのメシエ天体M1かに星雲も有名である。メシエ天体唯一の超新星残骸で、1054年明月記に超新星爆発の記録が残っている。天の川銀河系内、ペルセウス腕内で起こったⅡ型超新星爆発でピーク時-6等と金星よりも明るく日中でも見え、2年近くの間夜空に見えていたとされる。中心部にかにパルサーと呼ばれる中性子星があり、よく研究されている。

おうし座T星は前主系列星として知られる。

ギリシャ神話ではエウローペーをさらうためにゼウスが化けた白い牡牛とされる。



79 Telescopium ぼうえんきょう

南天の星座。いて座の南方。1752ラカーユ。星座全体を見られるのは九州以南に限られる。ギリギリ3等星のα‬星がある以外は全て4等星で暗い。いくつか変光星、球状星団、銀河が見つかっているが、目立たない。



80 Tringulum さんかく

トレミーの48星座で北天、秋の小さな星座。β、α‬と3等星が2つあるが恒星よりもM33さんかく座銀河の方が有名。局部銀河群を構成する主要な銀河で、アンドロメダ銀河とともに肉眼で見える最も遠い天体とされる。実際は淡く、かなり条件と視力が良くないと見えない。フェイスオンで均等な渦巻をしているため風車銀河と呼ばれる事もあるが、そちらはM101の名称とされる事の方が多い。最初に発見されたクェーサーも存在する。



81 Triangulum Australe みなみのさんかく

南天の小さな星座。1589プランシウス。じょうぎ座の南方。日本では観測が難しい。2等星α‬アトリア、2つの3等星β、γが三角形を作るためさんかく座より明るい。バイエル符号を振ったのはラカーユである。散開星団、惑星状星雲も見つかっているが、目立たない。



82 Tucana きょしちょう

南天の星座。1598プランシウス。ほうおう座の南方。日本では観測が難しい。近くにほうおう、つる、くじゃくがいる南天の鳥の楽園。最も明るいα‬星は3等星であまり目立たない。小マゼラン雲がこの星座内にある。日本では観測出来ない明るい不規則矮小銀河。20°東にある大マゼラン雲と比較して小星雲、小雲座などと呼ばれる事もあった。



83 Ursa major おおぐま

トレミーの48星座。北天、春の大きな明るい星座。北側の明るい星を繋いだアステリズムが北斗七星としてあまりにも有名。北天の象徴のような星座である。2.5等以上の恒星が2番目に多い星座であり、6個ある2等星の全てが北斗七星に含まれる。一般的にバイエル符号は明るい星からα‬、β…と付けていくが、おおぐま座は例外の1つで、最も天の北極に近いドゥーベから、北斗七星の並び順でバイエル符号が振られていっている。α‬ドゥーベ、βメラク、γフェクダ、δメグレズ(北斗七星唯一の3等星)、εアリオト(最輝星)、ζミザール、ηアルカイド(ベネトナーシュ)。色、明るさが比較的揃っている事も特徴である。メグレズ以外はほとんど同じ明るさ、ドゥーベ、アルカイド以外は白色。おおぐま座運動星団に属していて、同じ分子雲から生まれほぼ同じ年齢でほぼ同じ位置にいる事が理由である。地球から最も近い星団とされているが、あまりに近過ぎるため広範囲に広がり過ぎて、プレアデスなどのような散開星団状に見える事は無い。メグレズより明るい3等星がおおぐま座内に4つあるので、明るい順にするとバイエル符号はぐちゃぐちゃになる。先達の星空の観察者達はミザールの重星、死兆星としても有名なアルコルを昔から認識していたくらいなのだから、メグレズが明らかに暗い事も分かっていたはずである。この星座では星の明るさよりも星の並びを重視していたのだろう。ドゥーベとメラクの距離を5倍ほど伸ばすと大体天の北極に行き当たり、ノーザン・ポインターとしても有用である。北天では一年中沈まない星(周極星)が多く、非常に目立つ事から様々な文明で認識され逸話を語られた。東アジア最古の天文記録であるキトラ古墳壁画にも描かれている。1400年ほど前。

天の川から遠く、たくさんの銀河が見られるためメシエ天体は7と多い。M40二重星、惑星状星雲M97ふくろう星雲以外は銀河。銀河が回転している事が初めて証明されたM81ボーデの銀河、エッジオンのスターバースト銀河M82葉巻銀河、フェイスオンの渦巻が美しいM101回転花火銀河(英語では風車銀河)などは愛称も付けられ人気である。深宇宙領域の探査がよくされている。重力レンズ効果によって分裂して見えるツインクェーサー、既知で最も遠い銀河GN-z11(距離320億光年)、そして1995年にハッブル宇宙望遠鏡によって初の深宇宙探査ハッブル・ディープ・フィールドが行われた。3000個以上の深宇宙の銀河の姿を写した画像を元に多くの論文が書かれ宇宙初期の出来事を研究する宇宙論分野で最も重要な画像の1つとなった。

神話ではヘラによって熊の姿に変えられてしまった悲運のカリストーの逸話がよく知られている。



84 Ursa minor こぐま

トレミーの48星座。北半球では季節を問わず観測する事が出来る。天の北極が存在し、最も明るいα‬ポラリスは北極星としてあまりにも有名。現在天の北極より1°以内と非常に近い位置にあり2等星で十分に明るいためポールスターである事が世界的に認識されている。西暦2100年頃まで天の北極に更に近づいていき、その後は天の北極はケフェウス座の中に入って行き現在のポラリスから離れていく。ルネサンス期にポラリスという名称が知られるようになったが、その時は動く星だと認識されていた。現在は本当に僅かにしか動かない。紀元前のピテアスによる記述では天の北極に星は無いとされていたり、βコカブの方が北極に近い時代はポラリスは特別に認識されてはいなかったり、星座の歴史に比べるとポラリスの認識の歴史は浅い。地球の歳差運動により極は移り変わるという事は広く知られていたようである。ポラリスは既知で地球に最も近いケフェイド型変光星であり、標準光源としてもよく研究されている。

ポラリスとコカブと3等星4等星をつないだ、北斗七星より小さなひしゃく「Little Dipper」がアステリズムとして知られている。銀河もいくつか見つかっている。



85 Vela ほ

南天の明るめの星座。星座全体を見られるのは日本では那覇以南に限られる。1752ラカーユ。アルゴ座分割星座の最後である。2等星が4つあり、そのうち2つがりゅうこつ座の2等星達とニセ十字を形成する。2等星は明るい順にγスハイル・アル・ムーリフ(レゴール)、δアルセフィナー(クー・シー)(ニセ十字)、λスハイル、κマルケブ(ニセ十字)。ムーリフは裸眼で最も明るく見える最も近いウォルフ・ライエ星として知られている。推定300~500万歳、極端に短寿命な恒星である。

非常に広い範囲にガム星雲が広がっている。暗く視認は出来ない。長らく約100万年前の超新星爆発の残骸とされていたが、最近では星形成領域になっている事が明らかになって来ている。他には裸眼視出来る明るい散開星団IC2391、惑星状星雲NGC3132南のリング星雲などが存在する。

アルゴ船神話はアルゴナウタイとも呼ばれ、多くの著名な英雄を乗せ黄金の羊毛を求めコルキスの海を旅した神船として知られている。起源は紀元前1000年頃のエジプトだとされている。アルゴの名は船を作った船大工アルゴスから来ている。いて座のモデルのケイローンに育てられたイーアーソンが船長で、船にはアスクレピオス、カストルとポルックス、ケフェウス、ヘラクレスなどの星座の登場人物、アルゴス(船大工)、テセウス(ミノタウロス倒した人)、オルフェウス(竪琴の名手)などのギリシャ神話の人物も乗った。物語は色々な説があるが、黄道十二星座の示唆も含まれるとされる説もあったり、星座との関連があまりにも深い。関連星座はおひつじ座、へびつかい座、ふたご座、ケフェウス座、いて座、ヘラクレス座、こと座、チャールズの樫の木座(ボツ星座)、はと座、しし座、おうし座など。興味深いのは星座絵に描かれるアルゴ船は奥に向かって地球から遠ざかるように船頭を向けているという点である。地球から見た星座の世界だけでは飽き足らず、深宇宙に向けて冒険しようとしている、というのは考えすぎだろうか?



86 Virgo おとめ♍

黄道十二星座・トレミーの48星座。うみへび座に次ぐ2番目に大きな春の代表的な星座である。秋分点が存在する。最も明るい青い1等星α‬スピカがあまりにも有名。アークトゥルスと夫婦星とされ、真珠星とも呼ばれる。アークトゥルス、デネボラと春の大三角形を構成する。中国では角宿とされ、青龍(さそり座)のツノとされた。二十八宿の起点、つまり至点で秋分点を表している。現在は歳差運動により秋分点はスピカよりずれβザヴィヤヴァに近い。その歳差運動の検出の為に古来より観察され、ヒッパルコスによって確認(約2100年前)されたりスピカの方を向いた神殿建設(約5200年前)がされたりしている。恒星はスピカを除いては3等星が5つで広範囲のためそこまで目立たない。

おとめ座は銀河が強い。メシエ天体は11個でいて座に次ぐ2位で、そのすべてが銀河である。メシエ天体銀河のほとんどが含まれる、かみのけ座との境界にかけて見られるおとめ座銀河団があまりにも有名である。1300個以上の銀河からなり、天の川銀河を含む局部銀河群もおとめ座銀河団に包括される。最も有名なのはM87楕円銀河で、中心部にある太陽の65億倍の質量を持つ超大質量ブラックホールの撮像が2019年に公開され脚光を浴びた。見た目が特徴的なエッジオンの渦巻銀河M104ソンブレロ銀河はおとめ座銀河団には含まれない。パルサーPRS B1257+12通称「リッチ」はペガスス座51番星の惑星の発見よりも早い1992年、太陽系外惑星が史上初発見されている。後は視等級が最も低い(明るい)クェーサーや、暗黒銀河とされるほぼ光らない銀河などもある。

神話では人間に失望し天に昇った正義の女神アストライアとする説と、冥界神ハーデースに連れ去られたペルセポネーとする説、豊穣の女神デメテルとする説、聖母マリアと同一視する説などがある。神の化身とかではなくそのものずばり神の姿をした星座はおとめ座とやぎ座(牧神パーン)、ふたご座のポルックスくらいである。



87 Volans とびうお

南天の星座。天の南極に近く日本では観測が難しい。1597プランシウス。最も明るいγ星は4等星で暗い。カノープスとミアプラキドゥスを繋ぐりゅうこつ座の星座線がとびうお座の中を堂々と横断している(IAU公式の星図がそうなってる)。AM0644-741レンズ状銀河はリンジー・シャプレー・リングとも呼ばれ面白い形状をしている。



88 Vulpecula こぎつね

北天、夏の星座。夏の大三角形に囲まれた位置にある。17世紀ヘベリウス。こぎつねとガチョウ座だったものが簡略化されこぎつね座になった。最も明るいα‬星は4等星で暗い。惑星状星雲M27亜鈴状星雲が有名。最初に発見された明るい惑星状星雲である。最初に発見されたパルサーも存在する。


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