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1000 BLADES-サウザンド=ブレイズ-  作者: 丁玖ふお
第3章 秘めし小火と級友の絆編
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57.キンバーライト家と自習



スコルドとリッドが校長室を後にする中



レイヴンが校長室に一人残ったのは校長たちに



ある提案をするためだった。



果たしてその内容とは?



そして、レイヴンの狙いとは一体何なのか─────!?





 





「俺と、ちょっとした賭けをしないか?」



 レイヴンが、まるで悪巧みをしているような不気味な笑みを浮かべている。



「賭けじゃと〜?」


「もし、"交流試合"で俺のクラスが勝ったら、この前話した"例の件"を前向きに検討して欲しいんだが、どうかな?」


「"例の件"とは、確かお主のクラスに"初級魔道士"の資格を与えて欲しい、と言った内容じゃったかのぉ」


「あぁ、そうだ。本来なら、三年生に昇級すれば貰えるんだが、出来ればその前に欲しい」


「フンッ!…………ちなみに、勝てなかった場合は、どうするんじゃ?」


「そん時は、アンタたちの言うことを何でも聞いてやるさ」


「…………いいじゃろう。もし、本当に一組に勝つことできた暁には、前向きに検討することを約束しよう。教頭も、それでよいかのぉ?」


「はい。どうせ、結果は目に見えておりますからな」



 自らが持ち込んだ賭けに、校長と教頭の二人を巻き込むことができたレイヴンは、さきほどと同じような不気味な笑みを浮かべ、入り口にある大きな扉の方へと向かっていった。



「そんじゃ、約束忘れないでくれよな〜」



 そして、そのまま振り返ることもなく目の前の大きな扉を片方の手で難なく開けると、左手をヒラヒラと振りながら校長室を後にするのだった。





 校長室を出た先の誰もいない静かな廊下に、如何にも眠そうな欠伸と、一人分の足音が木霊している。


 しばらく廊下を歩いていると、両脇に窓がない薄暗い日陰に差し掛かったのだが、その日陰の中にキャメル色の長い髪を持つ一人の男子生徒が、隅にある白い柱に寄り掛かっているのだった。


 おそらく、レイヴンがここを通るのを待っていたのだろう。彼の姿が見えると、寄り掛かっていた柱から離れ、ゆっくりと近づいてきたのだ。



「よう、キンバーライト家の次男坊。まだ一組の教室に戻ってなかったのか」


「…………なぜ、"交流試合"の提案を断らなかったんですか?」


「こっちにも、色々考えがあるんだよ」


「これは、きっと罠です。ハイスヴァルム先生のことだ、絶対貴方のクラスに勝つための秘策を用意している筈です」


「まぁ、なんとかなるさ。それより、お前さんは他人の心配をしてる場合じゃないんじゃないか?」


「…………わかっています。キンバーライト家の人間として、手は抜くつもりはありません」


「ならいいさ。じゃ、"交流試合"当日を楽しみにしてるぜ」



 そう言うとレイヴンは、目の前に立つリッドの横を通り抜け、薄暗い日陰の先にある日の光が差し込む碧色の廊下の方へと、気怠そうに歩いていくのだった。



「…………運命とは残酷だ。せっかく仲良くなれそうだった友を、倒さなくてはいけないのだから」



 リッドはそう呟くと陽の当たらない暗い影の中で、ただ立ち尽くしていたのだった。










「…………と言うわけで、近々"交流試合"があるから、お前ら頼んだぞ」



 七組のメンバーが全員登校して行われた朝のHR。

 そこで、これから行われるであろう"交流試合"について経緯を、大まかな部分を殆ど省略して説明されるファイたち。


「えっと、何がと言うわけなの?」


「…………つまり、ウィンがあのヒーティスってやつをぶっ飛ばしたから、いきなり"交流試合"なんてやるこ羽目になったと?」


「えーっ、言っとくけどアタシのせいじゃないからね〜。あのヒーティスってやつが、最初にちょっかい出してきたんだから〜」


「………………めんどくさい」


「まぁ、お前らなら大丈夫だろう。とりあえず、俺の授業は全部自習にしておくから、"交流試合"に備えて作戦とか練ってくれや」


「え、それは先生が教えてくれないんですか?」


「たまには俺に頼らずに乗り越えることも大事だぜ。んじゃ、そー言うことで〜」



 レイヴンは、ファイたちに必要最低限の情報だけ伝え終えると、一時限目の授業を知らせる予鈴と共に教室を出ていってしまったのだった。



「…………行っちゃった」


「まぁ、先生を頼れないのは残念ですが、今は僕たちが出来ることをするべきです」


「そうだね♪よーし、絶対一組なんかに負けないんだから!!」


「………………ふぁああ〜〜〜〜」




 その日の放課後に、校長の使い魔である白い蜘蛛によって、"交流試合"についての連絡が一組と七組の両クラスに届いたのだった。



 "交流試合"の開催は、今週末の金曜日の放課後である。



 その次の日から、ファイたち七組の特訓の日々が続いた。

 本来であれば、レイヴンの授業が行われる筈の時間帯は全て自習となっているのをフルに活用し、時には教室で一組に勝つための作戦を立てたり、時には演習場で魔法の特訓をして過ごしていったのだった。





 そして、あっという間に"交流試合"当日である、金曜日の放課後を迎えたのである。





「お前ら、準備はできてるな?」



 現在、七組のクラスでは一日の授業が全て終わり、担任のレイヴンによって帰りのHRの真っ最中であった。



「うん!」


「バッチリだよ♪」


「愚問ですね」


「………………ふぁあああ〜〜〜」


「…………クラン、お前なぁ」



 これから優秀な生徒が多い一組との"交流試合"が控えているのにも関わらず、いつも通り眠そうにしているクラン。

 そんな彼女を見たレイヴンも、やれやれと呆れるしかなかったのだった。



「じゃあ、向かうとするか!実習棟地下一階、"特別演習場"に!!」







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