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#5 種明かし

 ことの顛末を紫乃と瞳に連絡すると、祝福の言葉と爆笑をもらった。そして、今回の大掛かりなお膳立てについてを明かしてくれた。

 紫乃と瞳が気をきかせて調べ、晶汰の住まいが《マジカルジェムズ》の上にあると突き止めたこと。

 探りを入れるために、晶汰の兄である店長に話を聞きに行ったこと。

 二人が両想いであるのに気付いて、店長も協力してくれることになったこと。

 聞いてしまえば、なるほど話がうまく繋がるわけだと理解した。


 ――まぁ、想定外のことももちろんあったわけだけど……。




「――ということだったらしいの」


 クリスマスの午後は二人っきりで。陸上部の活動は午前で終了していたため、そのままの流れでデートになったのだ。だけど、行く場所が浮かばなくて、《マジカルジェムズ》の近くのファミレスでお茶をしている。親友たちからの種明かしを晶汰にしていたところだ。


「う……それって、僕が勘違いさえしていなけりゃ、鋼さん――じゃない、美紅を泣かせないで済んだんじゃないか……」


 ものすごく落ち込んでいる。

 それもそのはず。美紅が晶汰に告白しやすくするためにと気をきかせ、店長が晶汰に告げ口したのが発端である。

 晶汰は自分が告白の相手だなんて微塵も考えなかった。そして、美紅が誰かに告白しているのを見たくないからという理由で晶汰が帰宅してしまうだなんて、想像した人間は関係者の中にはいなかった。


 ――だから、ちょっとだけ話がややこしいことになってしまったわけで。


「もう気にしないでよ、晶汰くん。ヤキモキ焼いてくれたってわかって嬉しかったし」

「これから先は、泣かせないって誓うよ」

「うん……ありがとう」


 どこか照れくさい。鼓動がトクンと跳ねて、もじもじしてしまう。


「――あ、訂正する」

「何を?」

「次に美紅を泣かせるのは、嬉し涙にする。全国大会で好成績を残して、美紅のおかげでそこまで行けたって言いたいし」


 告げてにこっと微笑む彼からは、しょんぼりした雰囲気は消えていた。


「じゃあ、全力でサポートしないとね。ルビーは勝利をもたらす石らしいから、少しは役に立てるかも」


 《マジカルジェムズ》で手に入れたヘアピンに触れながら笑顔を作る。彼に勝利がもたらされますようにと願うのも忘れない。


「うん。期待してる」


 二人で笑い合って、今日の予定を練っていく。それだけでも楽しいのだけど、二人で進むこれからはもっと楽しいのだろう。


 ――お願い、ルビー。晶汰くんとともにすごす日々がうまくいくように力を貸して。


 ヘアピンのルビーは、三人が応援して選んでくれた石だ。末永く見守ってもらえるように頑張ろう――美紅は心の中でそう誓ったのだった。



《終わり》

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