冒険の始まりです!
「おつかれー」
闇の中からまぶしい光が差し込んで徐々に目が慣れてくる。
「ねえ、あれやばいよね。チョー強いよね。やばいよね! ねえーゆきー!!」
たった今戦闘が終わって疲れてるというのにゆきはいつにもましてさわがしい。
「ねえ、どうなの?ねえ、ねえ、ねえ、ねえ、ねーえ!」
言葉を返す気力もない。あかりの質問攻めを全部無視してさっきのことを考える。
さっきの奴はいったい何だったんだ?こっちのシールドをすり抜けてきたし姿も見えないし………。
「……い。 お……………い おーーーーい おーい ユッキー」
「はあ」
世界で私のことを「ユッキー」なんてまぬけな名前で呼ぶ人など一人しかいない。
「部長、その名前で呼ばれるのはずかしいんでやめてっていつも言ってるじゃないですかー」
私は寝そべりながら目の前に立っているであろう部長 さくらにそう言った。
「もう、さっちゃんでいいっていつもいってるでしょ!」
「えー、なら部長で」
「ぶうーー」
「それより部長、ちゃんと部活らしく目の前の問題に立ち向かいましょうよー」
「もう、しょうがないなーユッキーは」
「・・・・・・・」
「では報告を始めます。本日放課後5:00。東の迷いの森にて調査開始。ここから・・・・・・・」
ここはレイスフィール公国 魔法学園サバイバルアドベンチャークラブ。
簡単に言うと冒険部だ。部員は3人。部長のさくら、あかり安全なため、そして私だ。
この部活は普通とは違う点がいくつかある。
一つ目にして最大の理由は未知なる敵との対決だ。
レイスフィール公国は3つの森に囲まれている。
東の迷いの森、西の魔獣の森、南の闇の森。
3つにはそれぞれ特徴がありそれによって対策を変えなくてはならない。
まず迷いの迷いの森。ここは入るたびに道が変わり地図の意味をなさない。
さらにコンパスが狂い方向が分からなくなくなるので行方不明者が毎日のようにでる。
次に魔獣の森。名前の通り魔獣が呻き戦い狂う。魔獣は戦闘力が高く機動性も高いので強い。
食物連鎖の中で負け戻ってこない人も多い。
最後に闇の森。この森に入って戻ってきた人は数少なく、証言があいまいなので森のことはほとんどわかっていない。
この三つの中では迷いの森が比較的に安全なので新人はよく迷いの森に冒険に行く。
しかしそれでもなお冒険から帰ってこないものは多い。
このことから未成年冒険者は安全のため人形と呼ばれる遠隔操作できる人型の機械を使って森を散策している。
おかげで未成年の死亡者は格段に減ったが人形は人間の肉体より格段に脆いのですぐに死んでしまう。
このことから未成年でも生身で森に入って帰ってこない人も少なからずいる。
「・・・・・・・以上で報告を終わります」




