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裏表のある勇者と旅してます  作者: 玉川露二


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会いたくなったら会いにきて

「えー、もうエリリンたち行っちゃうの」


ミレルがつまんなそうな顔をする。


サードがそろそろここを出るかと言っているのを聞いて、そのままミレルにそろそろ出発するかもしれないって今伝えたところ。

でももう行っちゃうのって言うけど、ミレルの家には思った以上に長居してしまっているのよね。


サードが外に頻繁に出かけていて出発をほのめかすことを言わなかったのが一番だけど、ヤリャナのいる病院からまた慰問に来ていただけませんかって何度か依頼が入ったりもしたし。


まあ、その間私が熱を上げてしまったせいもあるけどね。

それというのもビルファが、


「姉さん、僕もこのシビルハンスキーが欲しい」


と言いだした所から始まった。


ミレルはプリンとパフェの二匹をとても可愛がっていたけれどビルファの願いをすぐ聞き入れて、


「じゃあビルファが声をかけて先に振り向いた子を譲ってあげよう」


との話し合いが行われ、その結果プリンがビルファの元に残ることになった。

それからビルファは大きい町にミレルやケッリルと朝早くに出かけてシビルハンスキーを飼うための講習やテストを受け、夜に帰宅する日が続いた。

ミレルはテストにすごく苦戦して泣きごとを繰り返していたけれどビルファは全てをサラッと一発合格して、あっさりシビルハンスキーの飼い主の資格を手にしたのよね。


そんなビルファが講習を受けている最中に私は熱を上げた。その原因はケッリル。


「シビルハンスキーをここで飼うのはケッリル大丈夫なの?」


と聞くとケッリルは、


「ビルファには随分寂しい思いに辛い思いをさせた。その事も過去のこととビルファは気にしてないかもしれないが、これからはあの子のわがままをできる限り聞いてあげたいんだ」


ケッリルはそう言いながらどこか寂しそうに微笑んで、


「それでも一番わがままを言いたい年齢の時に私はそばに居てやれなかったな…。もうあの子ほど心が成長してしまっては周囲の雰囲気を見て強く物をねだることはないだろうね」


ケッリルの寂しそうな微笑みにノックアウトしかけたけど、強く心を保って私は言い返した。


「そんなことないわ。だってビルファはケッリルをしばらく独占するってミレルに言っていたし、ミレルにもシビルハンスキーが欲しいと言ったのよ?ちゃんとビルファだって自分の希望を…わがままを言ってる。だからケッリル、あなたはそのわがままを聞き逃さなければいいだけよ」


ケッリルはそれを聞いて軽く頷きながら微笑むと、


「ありがとう。…エリー君には初めて会った時からあれこれ叱咤(しった)されてばかりだ」


そう言いながらケッリルは私に身を寄せ、


「これからどんなことがあっても、君にはそのままの君でいて欲しいな」


と冗談混じりの口調で頭から頬を撫でられて…あのあと腰が砕けてしばらく立ち上がれなかったうえに熱が出た。


心配してたまにアレンやガウリスは様子を見に来てくれたけれど、サードは寝込む私の元に一度も顔を見せずどこかに出かけていた。


どうせまた女の人でも漁りに出かけているんだわ、ふんだ、別にサードがお見舞いして優しく心配するなんてことこっちだって期待してないわよ、ふーんだ。サードなんて仲間より女の人と遊ぶの優先だものね、分かってたわよふーんだ。


そうやって熱にうなされながらやさぐれて、ビルファがシビルハンスキーの資格を手に入れて私の熱もようやく引いたころ、出かけていたはずのサードがふらりと紙を一枚持って戻ってきて、水を持って私の具合をみに来ていたケッリルにその紙をピッと投げ渡した。


「あんたの新しい就職先を見つけて来てやったぜ。これがその契約書だ」


部屋には私とケッリルしかいなかったから裏の表情でサードはごく普通の会話みたいに言っていたけれど、ケッリルは「えっ」と返していたわ。


そりゃそうよ、誰だっていきなりそんなこと言われたら驚くわよ。それでもサードはとことん日常会話みたいに淡々と、


「あんたはあんたのその武術をこの国の兵士に教える先生って立場にしといた。そのうち国の兵士のお偉いさんがここにその武術を教わりに来るだろうから、あんたは俺らに教えたみてえにいいように教えとけ。それだけで国から給料が入る」


「い、いやいやちょっと待ってくれ」


ケッリルも慌てたように口を挟むとサードは何か問題でもあるかとばかりの顔で返した。


「不満か?」


「不満…というより何でいきなりそんな…」


サードは鼻で笑って、


「アレンも言ってたがなケッリル、あんたほど強い奴が椅子に座って紙をいじってるだけなんて勿体ねえ」


何とも言えない表情で黙りこむままのケッリルに続けてサードは、


「だから国の兵士に近寄って勇者御一行に武術を教えたすげえ男がいて、その男が戻ってきたって言い続けてどうにかここまでこぎつけたんだぜ?俺は国の奴らと関わらねえのにこうやって色々と面倒なことしたんだからやらねえなんて言うなよ」


「…あのね…」


ケッリルは何か言いたげな顔で口を開いたけどサードは無視してとにかく話を続ける。


「待遇も十分にいいぜ。ケッリルはこの村にいりゃあいい。そうすりゃ代表の兵士が教わりに来る。たまに国の内部まで行くこともあるだろうが、二、三日で戻って来れるから家族と過ごす時間も十分とれるだろ。

給料も一ヶ月でこれぐらいで急に契約も変えられないように国王にも話をつけて、その息子どもにも署名させたから代替わりしてもこの契約は変わらない。それにあくまでも兵士に武術を教えるだけだ、仮に戦争だののいざこざがあってもあんたは家族優先、国の戦いは放っとけばいい。細かい所はこの契約の内容をよく読んどけ。

黒魔術士に騙された時みてえにさっさと署名するんじゃねえぞ、内容をよく確認してから署名しろ、不満な待遇があるなら俺が対処してやる」


「…」


ケッリルは呆気にとられながらもソッと契約書に目を通し始めたけど、段々と情けなく顔を歪めながら最後まで読まず顔を上げて、


「私はここまでいい待遇の契約を結べるほど強くない…」


泣き言を言い出すケッリルに対しサードはピシャリと、


「だったら俺ともう一回本気で戦ってみるか?それでてめえが俺を動けないほどにしたら俺はよっぽど弱いって言ってるも当然だからなてめえ。…クソが、ざけんなよぶっ殺すぞこの野郎、いいから最後まで契約書読んでやるって言いやがれぶっ殺すぞ」


言ってて腹が立ってきたのか悪態をつき始めたサードにケッリルは脅え、そのまま最後まで契約書を読んで…。

まぁ、やるかやらないかについては大分悩んでいたけれど、サードの持ってきた仕事内容だったら家族と大体一緒にいられるし、何があっても家族優先にできるし、お金も随分もらえるからかなり待遇がいい。この辺でこれ以上の良条件はまず無いだろうってことで不安そうな顔ながらも署名していたわ。


そんなこんなでケッリルの就職先が内定したこと、私の体調も良くなったことでサードもそろそろ出るかって言い出したんだと思う。

それにしても女の人を漁りに出かけていると思っていたサードがまさかケッリルのために動いていたとは思わなかった。ほんの少しだけ心の中でサードに謝っておいた。


そうして出立する日は明日と決めて、最後のあいさつをしにヤリャナの元へと訪れた。


ヤリャナだけど…心がまだ落ち着かないみたいで、口を開いても攻撃的な口調になったり、急に泣き出したりとまだまだ不安そうにしている。まぁケッリルが言うにはヤリャナは元々男勝りな激しい性格だから、口が悪く攻撃的なのは前と同じ、いつも通りって話だけど。


…だとしたらヤリャナがケッリルに「てめえこの野郎」って口汚く罵っているようなあれは、心が弱る前からのデフォルトの口調だったってことかしら…。


「ビルファも母さんとこ行かね?」


アレンが声をかけるけどビルファは首を横に振った。


「僕はここでプリンとパフェと一緒に待ってるよ。お母さんによろしくね」


病院への慰問、ヤリャナのお見舞いにはミレルとケッリル、それにビルファも毎回一緒。でもビルファだけは一度も病室には行こうとしないで外で待つばかり。


「…うん、分かった」


アレンは何か言いたげだったけど、それ以上何も言えないのか中に入っていく。いつもだったら私もヤリャナの元に向かうけれど…。


「今日は私もここで待っているわね」


中に入っていく皆に後ろからそう伝えて私もビルファと一緒に外で皆が戻るのを待つことにして、病院の入口近くのベンチに積もる雪を払ってから腰かける。

ビルファと一緒にプリンとパフェを触って可愛がっていると、病院の中から待ってましたとばかりにあふれんばかりの笑顔の子供、それに大人もいそいそと訪れて二匹にくっついたり撫でたりと幸せそうに触れあっている。


最初は巨大で顔の怖いプリンとパフェに病院の関係者も入院患者も来院する人も「ヒッ」と遠巻きにしていたけれど、ミレルとビルファの言うことをよく聞く姿、それもすごく人懐っこいのを見てからはこうやって寄ってくるようになったのよね。


むしろある日ケッリルは院長に呼び留められて「いつも連れてくるあの二匹のことですけど…」って難しい顔で話を切り出されて、一体何を言われるのかって警戒していたら、


「うちの入院患者さんの中でもあのワンコたちが来るのを楽しみにしてる人が増えているんですよ。どうやら癒されるみたいでね、あそこの子なんて入院が長くて笑顔を見せることなんてここしばらくなかったのに、あんなにニコニコして他の子とも話すようになって…できるなら毎日でも来てほしいくらいです」


動物…それもモンスターを連れてくるなって言われると思ったとケッリルは心からホッとしていたわ。


そうやってプリンとパフェは皆と楽しそうに雪の上で追いかけっこを始めて、そんな様子をニコニコ見守るビルファをチラと見る。


「…ねえ、一回くらいヤリャナのお見舞いに行ってみない?」


「ん-ん。まだ会う時じゃない。僕がお母さんと会うのはお母さんが僕と会おうと思った時だから」


そこで一旦口を閉じたけれど、何か私が言いたげな表情をしていたのか、軽く微笑みながら肩をすくめる。


「僕だって本当はお母さんに会いたいよ。…でもね、本当は会うのが少し怖いんだ。嫌がられて泣かれてお前なんて見たくないなんて言われたら流石に僕だってショックだからね」


ビルファは走ってきたパフェの鼻先をよしよしと撫でると、パフェはまた向こうに走り戻っていく。


「夢の中でレーシカが言っていたんだ。お母さんは子供のころ大型犬を飼っていたから犬が好きだって。だから姉さんに無理を言って一匹譲ってもらったんだよ。…これから僕はプリンを連れて毎日ここまで来る。

ここの入り口はお母さんの病室からも見える位置だし、大きくて人懐っこい犬が毎日来るのを見たら少しは興味が引かれるかもしれない。そうしたら外に出てきて、プリンを通して僕に会ってくれるんじゃないかなって思っているんだ」


ビルファはそう言いながら私を見た。


「お母さんは命がけで僕を産んでくれたんだから愛されてるとは思ってる。でも実際にお母さんに愛された記憶がほとんど無いに等しいから今も昔と同じように愛されてるかちょっと分からないんだ。

…お母さんとはこれから関係を新しく築いていけばいいってお父さんに言ったけど、お母さんにその気が無いならどうしようもないしね。どうあっても僕と関わりたくないなら…もし僕がいるから家に戻りたくないなら、僕は冒険者にでもなって家から出て行ったほうがいいのかもしれない」


「…」


…その言葉に胸がチクッと痛む。だって、こんな成人前の子供がヤリャナのために自分は家から出るってことを考えているだなんて…。

むしろそんなことケッリルもミレルも望んでいるわけない。どうして?どうしてビルファはこんなにも淡々と自分一人が引けば丸く収まるって思っているの?本当にビルファはそれでいいわけ…?


「ねえビルファ」


ビルファは人を目で落としそうな雰囲気で「ん?」と微笑みながら私を見る。

その微笑みを見てもっと心が痛んだ。どこか達観していてレーシカにとても似ているけれど、それでもビルファは人間。基本的に明るくても少なからず傷ついているし、不安だって抱えている。それでもその顔は微笑んでいる。


どこか…表向きの顔で心の中を誰にも悟らせないサードに近いものを今感じた。


「ビルファは本当にそれでいいの?あなたがいなくなったらミレルとケッリルが悲しむって考えないの?ヤリャナを労わるのは大事よ、でもミレルやケッリルにとってあなたも大事な家族なのよ。二人の気持ちを考えてよ、ヤリャナのために出て行くだなんてこと、二人が喜ぶと思う?」


「…」


ビルファは口をつぐみ、少し考えこんでからフフ、と笑った。


「参った、何も言い返せない」


ビルファは楽しそうに、


「エリーさんは痛い所をつくなぁ。僕だって笑い合って家族でテーブルを囲みたいよ。でもその一人に顔すら見られたくないって思われていたら空々しい雰囲気で皆が気を使いながらテーブルを囲むことになるだろう?それは嫌なんだ。

…だからお母さんに受け入れられるかどうかなんだよね。少しでもお母さんが僕と仲良くしたいと思ってくれるなら、僕だって家にいるよ」


あくまでもビルファがどうするかはヤリャナ次第ってこと。


今まで悲観的で後ろ向きな人たちはたくさん見てきた。サムラだって最初は自分は明日にも寿命で死ぬかもと常に考えていたし、イクスタだって助けてくれないだろ?どうせ無理だろ?って冷めた目をしていた。


でもビルファはそれとは違う。

まるで高い位置から周囲を見渡して、その上で前向きに現状がよくならと身を引こうとしている。それもその原動力はヤリャナへの最大の思いやり。でも…だからって、そんな考えはやっぱり悲しいし納得できない。


「もっとわがままになってよ、あなた成人前の子供なのよ?ケッリルだってビルファにはもっとわがままを言って欲しいと思っているんだからそんな周りのことを見て弁えたりしないで…」


「それは僕にわがままな大人になれってことかな?駄目だなぁお父さんそれはいけないよ」


わざとらしいビルファの口調に、悲しい気持ちのまま苦笑しながら本当は分かってるでしょうにと言葉を続ける。


「ケッリルは甘えて欲しいのよ。甘やかしたいの、今まで近くに居られなかっただけその分」


ビルファは心から嬉しそうにニコ、と笑った。


「僕はその気持ちだけで十分愛されてるって分かってるから満足なんだけどね☆」


「でもちょっとくらい甘えてあげないとケッリルが()ねちゃうかもしれないわよ」


するとビルファはプッと吹きだして大笑いしだした。


「なんだそれ、僕じゃなくてお父さんが拗ねるから僕が気を使わないといけないのかい?どっちが年上か分からないね!」


その言い方で私もおかしくなってしまって、思わずつられて笑ってしまう。


すると斜め上からカラカラ、と窓が開く音がしたから斜め上に目を向けた。そこで視線の先に居る人を確認し私はハッと笑いをおさめて、ビルファの肩をポンポンと叩いてあっちを見て、と指を動かすと、私の指の動きと一緒にビルファも斜め上に視線を向ける。


そこには…窓から顔を出してこちらを見ているヤリャナの姿があった。ビルファとヤリャナ、二人の目が合ったのか、お互いに身が硬直する。


ヤリャナは金縛りにあったかのようにその場を動かず、ビルファも同じように身動きもせずジッと見つめ合っている。


見ている私にも二人の気まずそうな雰囲気が伝わってきて…ものすごく長い時間その状態でいるような気がした。でも実際は数秒程度のことだったと思う。


先に動いて…視線を外したのはヤリャナ。

気まずそうな青い顔で、震えながら視線を自分の手の甲に視線を落とした。


ビルファはまだ体が硬直していたけれど、恐る恐るとベンチから立ち上がってヤリャナと向き合うように見上げる。


「…お母さん」


ビルファが小声で呟いたけれど、シビルハンスキーの二匹と戯れる子供たちの歓声にかき消される。

私も立ち上がってビルファの肩を後ろから支えると、ビルファは今にも見捨てられそうな不安げな顔でヤリャナを見ていた。


そっと自分の手の甲からビルファに視線を戻したヤリャナは、ビルファのそんな表情を見た瞬間、酷く傷ついた顔をすると、自身の頭を押さえ顔を覆って泣き出した。


「ごめんね」


ヤリャナの声が上から降ってくる。


「こんなに弱い母さんでごめんね、不安しかあげられなくてごめんね、暴力をふるってごめんね…」


ヤリャナは窓辺に突っ伏して感情のままに泣きわめいて、ケッリルが後ろからヤリャナの肩を抱いてあやすように叩いている。


ビルファはそんな謝り続けるヤリャナの姿を見て不安そうな表情はゆるゆると消えた。そして静かに微笑みヤリャナを見上げる。


「お母さん」


しっかり通る声だったけど、ヤリャナは子供みたいに泣き叫んでいて全然気付かない。


「お母さん!」


大きめの声にヤリャナはしゃくりあげながら顔をビルファに向けた。ビルファは元々の調子で微笑みながら、まるでヤリャナに向かって踊りに誘うように手を伸ばす。


「お母さん。今すぐにじゃなくていい。そのうち気が乗ったら外に出て僕とプリンと一緒に遊んでくれないかな?お母さんがそれを望んでくれるなら、僕はここでずっと待ってるから」


ヤリャナはそれを聞くとウッと口を抑え、嗚咽(おえつ)をあげ泣きながらその場に崩れ落ちていった。

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