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裏表のある勇者と旅してます  作者: 玉川露二


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力をわけて

とりあえず私は制御魔法を覚えていないと体に大いに作用して危険だっていうことをひたすた強調して伝えた。

ヤーレイが最初から制御魔法を教えてくれていたら私だって人に教えるのに苦労しなかったかもしれないけど…今更そう思ったってね。


とりあえずお父様には、


「あまり頭で考えないけどちょっと魔法の核のこととか考えながらやってやるって感じでガッと発動してヒュッと全体的に抑えてバーッと針の穴から魔法を全力で出すみたいな」


くらいの感覚論で通じたけれど、これをどうサムラに分かりやすく教えていくか…。


「最初は魔法の核を感じることから…」


アレンはそう言いながら目を閉じて、難しそうな顔でムー…と集中する。


制御魔法がまだ覚えられないアレンだけど、毎日魔法の核を探る練習をするようにってロッテに渡された指南書に書かれていたから素直に実践し続けていたら、魔法の核の存在は簡単に分かるようになったみたい。


その話を嬉しそうにされた時、手脚の核ってどんな風に感じるの?って聞いたら、


「ムワーンムモモって感じ」


って返された。


…今思い出しても意味が分からな過ぎてジワジワ笑いが湧き上がってくる…。ダメ、アレンは真面目にやっているんだから、今ムワーンムモモって感じなんだって思って笑っちゃ失礼だわ。


「魔法の核…?」


サムラは悩みこんで自分の体に思いを馳せているような顔つきをしているけれど、全体的に意味が分かってなさそうね。


「核は物体とかじゃなくてエネルギーの塊みたいなものなので目には見えないのよ」


前にアレンに説明したのと同じように教えると、サムラはなるほど、って頷いた。


けど核が一つか二つなら集中しやすいだろうけど、こんなあちこちに核があるとしたらサムラはどの核に集中すればいいのかしら…。それでいて私が教えやすい箇所…。


悩んでいると、ふっとレンナが目に入る。


そういえば…。


レンナに向かって手招きすると、レンナは「はい?」って言いながら近づいてきた。


「世の中には精霊の力を借りる精霊魔法があるんだけど…。良かったらサムラに力を貸してあげられないかしら。だとすればお腹の核に集中すればいいから」


ついでにお腹の核なら私が教えやすい。


でも精霊魔法って憧れる人は多いけれど、実際に使ってる人なんてろくにいないのよね。使う人もエルフとかそういう種族が多いし…。


…力を貸してあげてって言ったけど「はい、いいですよ」とかすぐに言ってもらえるものなのかしら、やっぱり無理…?


「はい、いいですよ」


レンナはあっさりと頷く。


「いいの!?」


かなりあっさり頷かれたから驚くと、レンナは私のびっくりした姿におかしそうにして、


「私たち精霊は人を見て我々の能力を与えてもいいかどうかを決めるんです。悪い心持の人には与えたくありませんし、力を与えたあと性格が豹変し自身の人生や周りの人を狂わせそうな人にも与えられません」


レンナはそのままサムラに目を向けて、


「サムラさんになら私たち精霊の能力を与えても大丈夫そうです。これはいわば精霊の友となったことを示す証でもありますので、力を与えた後は好きな時に能力を使うことができますよ」


アレンは興奮の顔つきで、


「やったな!精霊魔法なんてめちゃくちゃレアだぜ!」


ってサムラの背中をバシッと叩いて、サムラはウッと言いながら前につんのめる。


「それでもまずはその制御魔法とやらを覚えてもらわないと…能力を分けた後で倒れられても困りますから」


そうとなればしっかりと教えなきゃ…!


とにかく私はロッテから教わったこと、私がロッテから渡された指南書の注意書きをサムラに説明する。すると隣で話を聞いていたレンナが、


「もしかしてこういう事ですか?それだったらこう…」


ってかなり分かりやすく説明を付け足してくれて…それからどれくらいの時間がたったのか。


アレンが不意に顔つきを変えて私を見た。


「…俺…何か制御魔法の感覚分かってきたかもしんない…!なんか、ガッってなってヒュッってなって、バーンみたいな!」


ムワーンムモモの次はガッってなってヒュッってなって、バーン?


正直アレンの言っていることはよく分らないけれど、感覚は掴めたみたい。


するとレンナはアレンを見ながら頷いて、


「ここは魔力に囲まれた国ですから、魔法を使う感覚が鋭くなって発動しやすいみたいですよ。この国に来て魔法を使う力が開花した方も過去に何人もいたそうです」


「ああ…」


だから階段を登る時に魔法を発動しようとしただけで勢いよく進んで壁に激突してしまったのね、あの時…。


するとアレンも「だからか!」ってはしゃいだ。


「地上より核の存在ってのが凄く分かりやすいんだよ!そんでガッってなってヒュッってなって、バーンみたいな!」


「分かった分かった」


大喜びでその場でジャンプを繰り返し、その反動で少しずつ浮上していくアレンをポンポン叩いておりるよう促す。


「…だとしたらこれが魔法の核でしょうか…お腹に何か感じるくらいの感覚なんですけど」


サムラは確信が持てなそうね。でも何か感じるってことは分かってるも同然だわ。


「サムラ自信を持って。本当に何も分からない人は何か感じるも何もないのよ」


「そーそー。俺だって練習始めたばっかりのころ、本当に魔法の核が手脚にあんのかさっぱり分かんなかったもん。少し前にもしかしてこれかなってようやく分かったんだし」


私たちの言葉を聞いてサムラは、それじゃあこれか…っていう顔でお腹を押さえている。


それを見たレンナは後ろからサムラの両肩に手を乗せる。


「ではまず力を与えるのではなく、サムラさんの体をただ通り抜けるように力を軽く流します。私たちは湖の精霊、なので水に関する能力があります。そのまま魔法の核に集中して…」


レンナに肩に手を乗せられ後ろから声をかけらたサムラは、あうう…と恥ずかしそうにしている。でも首を横に振って真面目な顔になると集中した。


「目の前が渦を巻くようなイメージをしてください。それでも全身から力は放出せず、体の中心から細く力強く魔法を出すイメージで…それができれば制御魔法が出来たということ…なんですよね?」


レンナがそう言いながら確認するように私を見てきて、うんうん頷く。


ロッテから教わったのを考えるとそれで制御魔法を使う工程は合っているし、今アレンもそれで制御魔法の感覚を掴んだ。


とりあえずレンナの力は通り抜けるだけだからサムラの体の負担にならないはずだし、あとは制御魔法のコツを覚えられれば…。


色々考えていると、ゴンッと周りの水…空気?が大きく動いて渦を巻いた。あまりの勢いに私もアレンもサムラもレンナも渦に巻き込まれそうになる。


慌ててレンナがサムラから手を離すと、渦巻いた水の動きは止まった。


え…もしかして今のサムラ?


驚きながらも、ハッとしてサムラを見る。

いきなりこんなことして、サムラの体は大丈夫なの!?


見るとサムラは…驚いた顔でお腹に手を当てたまま固まっていて、慌てて、


「サムラ、体は大丈夫?」


って近寄る。サムラは目を見開いたままうんうん頷いて、


「びっくりしました…」


私たちだってびっくりよ。


するとアレンは腕をわさわさと動かしながら、


「ガッってなってヒュッってなって、バーンみたいになった?」


サムラは自分の考えを必死に伝えるように腕をわたわたと動かしながら、


「何かこう、ワアッと盛り上がりそうなのを頑張って押さえ込んでここから出て行ってください、って一部から流し出すような…そんな感覚のものが制御魔法なんですか?」


「それだよそれぇ!すっげぇ、こんな短時間で制御魔法覚えちまうなんて!天才かよ!」


アレンはサムラを持ち上げてクルクルと回っている。


「…すごい…」


こんな短時間で、しかも一回の練習で制御魔法を使いこなしてしまうなんて…。ここが魔法で囲まれた国だから?それともサムラに全ての核が揃っているから?それともアレンが言ったようにサムラは天才なの?

けどサムラが制御魔法を覚えたなら後はもう早いわ。


「レンナ。今ならサムラに力を分けても大丈夫だと思う。お願いできるかしら」


「分かりました。ではサムラさん、手を取ってもいいですか?」


「手?」


レンナは手を差し出して、サムラもおずおずと手を伸ばして、手を繋ぐ。


「それだけでいいんだ」


へえ~とアレンが呟くと、


「ええ。力を与えるのは結構簡単なんです」


サムラと手をつないだままレンナは私に視線を移して、手を伸ばしてくる。


「エリーさんもいかがですか?」


「えっ、私も?いいの?」


「もし余計でないのならですけど」


レンナの言葉に首を横にふりながら、


「ううん、そんなわけないわ。嬉しい」


私はレンナと手を繋いだ。


でも私は水があれば自由に動かせるし水の精霊の力を分けてもらっても今までとあまり変わらないかもしれないけどね。それでも精霊魔法って何かカッコいいって思ってたから、正式に力を分けてもらって使えるならすごく良いと思う。


するとアレンがうずうずしながら私たちを見ている。


「…俺は?無理?」


▼アレン が 羨ましそうな 顔つきで こちらを見ている!


するとレンナは困った顔で首を傾げた。


「アレンさんは合わないと思います」

「…そっかぁ…」


残念そうな顔つきで肩を落とすアレンにレンナは「あ…違うんです」って慌てて首を横に振って続ける。


「アレンさんはどう見ても水の属性ではなさそうだから合わないって意味で言ったんです。もし力を分けてもらうとしたら風か火の属性を持つ精霊の方がアレンさんの性に合っているでしょうから」


アレンはその言葉に軽く首を傾げた。


「何それ、俺普通の人間だけどそんな属性とかあるもんなの?」


レンナはサムラと私と手を繋いだまま頷く。


「人の占いで属性やエレメンタルという言葉があるらしいんです。人も自然の一部ですからその方が得意な属性と苦手な属性があると」


「…占い…雑誌とかにある今月のラッキーアイテムみたいなの?」


レンナは言い方を間違えた、という顔で、


「以前ここに訪れた人間の占い師の言葉によれば、魔力があろうがなかろうが生まれた日付や時間、生まれた土地、それに名前などを計算に当てはめて割り出した結果から属性…分類に分けられるものなのだそうですよ。

あの占い師の言うエレメンタルや属性という考えに当てはめるとアレンさんは水ではなく火か風かなと。向いていない属性に寄り添っても力は発揮できませんから」


アレンは分かってるのか分ってないのかという顔をしながらも「ふーん」ととりあえず納得したみたい。


「じゃあエリーとサムラは水の属性ってことか…」


「サムラさんはどちらかと言えば土とか風の属性が強そうですけど、水も大丈夫そうです。エリーさんは水だけではなく全般的に通じてる感じです、やっぱり人ではないので特殊な感じですね」


その言葉にサムラがジッと私を見てくる。


「…エリーさん、この前から人じゃないって精霊の皆さんに言われてますけど…人間種じゃないんですか?」


「えーとまあ、かなり珍しい種族くらいしか私にもよく分からないけど…。でもほとんど人間みたいなものだから気にしないで」


そっか、ってサムラはあっさり納得してそれ以上は何も聞いてこない。

素直よね、サムラって。


するとアレンは気になったのかレンナに質問する。


「じゃあガウリスは?サードは?」


「ガウリスさんは完全に聖ですね。神と同一の存在に見えます。でもサードさんは…」


レンナは少し口ごもる。


…何となく言いたいことは分かるわ。魔なんでしょう、サードの属性に近いのは魔なんでしょう…?


頷きながらレンナの言葉を待っていると、悩んでいるようにレンナは、


「…なんでしょうね…。何となくですが…聖…魔…火…が強いかなと…」


「…聖…!?サードが!?」


予想外の言葉に聞き返すとレンナはうーん…と唸りながらサムラと私の手をモニモニ握っている。


「聖なる存在を拝んでいたなどで庇護を受けているんでしょうか。魔法が使えるなどの影響はないですけど、それでも聖なるものが一番感じられるんです。強く守られている、そんな感覚ですね。常に運が良いとか、悪運が強いとか、危険な状況でもすぐ突破できるとかそんな影響がありそうな…」


何で分かるの、と私とアレンは驚いたように目を合わせた。


そう、サードはやたらと悪運が強い。それも危険な状況にやたら強い。


…もしかしてフェニー教会孤児院の影響?

サードは宗教は否定的だけれど、教会なんだからミサもあったはずだし、祈りましょうって機会ももちろんあったはず。それにこっちの世界に来る前だって宗教施設に厄介になっていたみたいだし…。


…それよりサードってそんなに長い間宗教施設にいたはずなのに、何であんなに宗教に否定的なの…?


少し呆れているとレンナは、


「あ、ちなみにもう力は分け与えましたので、これから先は自由に水に関する力を使えますよ」


って手を離す。


「えっ、いつの間に?」


手を繋いでいただけで何の感覚もしなかったけど…。


「手を繋いだ瞬間にもう終わっていたんですけどね。大人になるとあまり他の方と手を繋ぐ機会もないので少し長めに繋いでました。ごめんなさいね」


えへ、と照れくさそうにレンナは言う。


…何この可愛い人。


キュンとしているとレンナはうーん、と考えるように指先を頬に当てて、


「それにしてもサードさんは不思議な人です。聖のものと魔のものに向いてるなんて…。普通相反するもので交わることは無いはずなんですけど」


「性格悪いからよ」


ボソリと言うと、ものすごい衝撃が後ろから襲ってきて、私たち全員が砂地の上に倒れて転がる。


「何!?サード!?」


悪態をついたからサードが襲い掛かってきたと思って慌てて起き上がると、フッと影がした。


見上げる。


もちろんサードじゃない。


巨大な黒い影が頭上を通過していく…。え、ちょっと待ってあれって…。


「モンスター!?」

自分の属性知りたい方はちょっと調べたらそういう診断系のサイトがドラドラ出てきます。まあそんなのやんなくても好きな色とか落ち着く場所とかで分かるっぽいですけどね。

私はきっと水。青が好き。水辺が好き。前に一人で少し山奥のお気に入り川辺スポットに座ってボーっとしていたら、自殺するんじゃないかと心配されたのか離れた所から人に見守られていました。ハハハ、こやつめ。

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