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裏表のある勇者と旅してます  作者: 玉川露二


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魔族のダンジョン探し

結局ミレイダは若い見た目から年配男性の見た目に戻った次の日。

まだ行っていない町の端の方に行ってみることになったから、ミレイダを含め全員で歩いている。


そうやって通りすがりに害獣型モンスターが居ればたまに倒したりしているうちに隣町に続く道がある山にさしかかる。


「っへー。つまりガウリス、あんたは元々人間だったが神に直接ドラゴンの姿に変えられたってわけか。だからモンスター辞典にも載ってない新種のリューってドラゴンだって?っへー、そりゃすごいこったな。人間にバレたら大騒ぎになるぜ」


ミレイダは道中ガウリスにどんな種のドラゴンなのか聞いて、ガウリスは話しても大丈夫かとサードに確認を取った上で自分が龍になった経緯を話した。


どうやらミレイダも神様の手で人間からドラゴンになっただなんて話は全く聞いたことがないみたいで、そんなこともあるんだなぁ、ってものすごく驚いている。


「…私の世界ではわりとある話でしたが…こちらには神から罰を受けて異形のものになるなんて話はないのでしょうか…」


ってサードは不思議そうにしているけれど、そういう話は私も聞いたことないのよね。どうやらサードのいた世界ではよくある話みたいだけれど。

思えばガウリスを龍に変えたリンデルス神もサードの居た世界から来た神様みたいだし、そういう世界ごとによくある話とか色々違うのかも。


それでガウリスは続ける。


「それで以前、勝手に龍の姿に変化してしまったことがあるのです。ですから勝手にそうなってしまう条件などがあるのかドラゴンの方に聞いてみたくて…」


「っはぁ~なるほど、元々人間だからそういう変化の調整が上手くできねえってやつか。それはそれで大変そうだな」


それでもミレイダはあごをなでながら少し唸って、


「でも俺は好き勝手に体を変えられるからなぁ。ドラゴンの姿に戻りたいときもパッと元に戻れるし、勝手にドラゴンになったことも今まで一度もねえから上手いアドバイスは送れねえなぁ。せっかく神様の経由で俺を探してもらって悪いけどよ」


どうやらミレイダも何で勝手に龍になってしまうのかの原因はよくわからないみたいで、ガウリスはそうですか…と少し残念そうな顔になる。


「そのリューってのはそもそも人間に変化できる種なのか?俺らゲオルギオスは力が強いからそりゃあ色々好き勝手にできるけどよ、大体は他の姿に変化できないドラゴンが多いんだぜ」


「聞いた話なのですが、人間の姿から龍になるのは大体が女性らしいのです。そして龍になった女性は自身の意志で人間に戻ることもでき、半身が蛇で半身が人間という姿になることもあるそうで」


サードから聞いた話をそのまま伝えるとミレイダは、あーなるほど、と頷きながらもふふん、と笑った。


「野郎と女の子じゃ色々と違うからだな」


「…性別の問題ですか?」


「そりゃそうだ、女の子って何か感じないか?俺ら男には分からねえ底知れない力ってのが。考えてみろよ、呪術を扱うやつには女の子が圧倒的に多いだろ?

それは訳分かんねえモンと繋がりやすいからじゃねえかって思わねえか?そうやって繋がれるほどの何かが女の子にはあるって男もどこかで分かってるんじゃねえか?男どもはそれを恐れて女の子を手元に縛り付けたがる、一方で追い払いたくなる、畏怖の念を抱く、そして憧れて求める」


ミレイダは続けて、


「そんなんだから男はよく分からねえモンには寄りそうばかり。だが女の子はそんなよく分からねえモンになったり戻ったりコロコロ変わる。だからリューに変化しても人間側とモンスター側、どっちにも行き来しやすい。そんなところじゃねえかね?

それまで従順で大人しくて機嫌よくニコニコしてた女の子に軽口叩いたら態度が豹変して激怒することも多いからなぁ。女の子のそいう所もよく分からねえモンだろ?ほんっと、あれ何なんだろうなぁ」


その言葉にサードはチラと私を見てからミレイダを見て、


「分かります、数年前まで大人しかった女性が急激に人に噛みつく性格になってしまって私も困惑することが…」


「ちょっとそれ誰のこと言ってる?」


明らかに私を見てから言ったわね?

…っていうかそれってサードの性格が悪いせいだからね、ふざけないで…!


イライラしてプイとそっぽ向く。


「あーあ、エリーちゃん怒っちゃった」

「いつもああやって怒るんですよ」


「えー、でも怒ってる女の子の顔見るとゾクゾクするから俺は好きだけどねぇ。勇者様も実は好きなんじゃないの?」


「そんな性癖は持ち合わせてません」

「じゃあどんな性癖持ってるの」


「…」

サードは黙り込んでミレイダに微笑んだ。


「ご想像にお任せします」


するとミレイダはニヤニヤッと下世話な顔になるとサードに急激に絡みだした。


「いいじゃねえの、教えろよ、勇者様が一体どんな性癖持ってんのか教えろよ」


「俺も気になるー。そんな話あんまサードから聞かないしー」


ミレイダに合わせてアレンもサードに絡みだす。


そんなミレイダとアレンから少し距離をとって私とガウリスは並んで歩きだした。あんな会話に巻き込まれたくないし。


「…何で男の人ってあんな話好きなのかしら」


呟いたけど、隣にいるガウリスも男だってことをハッと思い出して慌てて、


「別にガウリスのこと言ってるわけじゃないからね」


と断りを入れておいた。ガウリスは苦笑しながら、


「私はあのような話は苦手ですが楽しそうならいいのではないですか?」


…確かに楽しそうにミレイダとアレンがサードをからかうかのように周りを飛び跳ねつつ、


「隠すなよ、どんな性癖持ってんだよ!」

「いいじゃん、隠すなよー」


と聞いて回っているわ。サードは無言で歩き続けているけれど。


多分ミレイダが居なかったらお腹に拳がねじ込まれて静かにさせられてる所よ、アレン。

…でも思えばサードは裏の顔は全然ミレイダに見せようとしないわね。


…ああ。エローラたちと同じく、ミレイダは長生きでお喋りそうだから下手にそういう顔を見せたら後々言いふらされるって思っているのね。なるほどね…。


そう思いつつ歩いていると、妙にボワッとした空気の壁に当たったような感覚が前半身に感じた。


「ん?」


立ち止まって前に横にと頭を動かす。

壁なんてないし、今立っている場所も今までと同じ山の中の一本道。


でも確かに今、体が分厚い空気の壁を突き抜けたような感覚がしたわ。何だったの今の…。


立ち止まったまま振り返っているとガウリスも歩みを止めて振り返ってきた。


「どうかしましたか?」

「ええと…ちょっと待って」


二、三歩バックしてから前に進むと、さっきと同じところでボワッとした空気の壁を突き抜けているような感覚がする。


気のせいじゃない、確かにここで変な感触を感じるわ。


「ねえガウリス、何かここにない?」


周りに手を動かすと、動かすたびにボワボワとした空気の圧が手にかかる。やっぱりここ何かおかしいわ。


そんな私を見てガウリスは私の隣に並んで手を動かすけれど、


「いえ…何もありませんが…」


と言いながら私と同じように手を上にあげて軽く動かしている。


「そうなの?でもおかしいのよ、ここら辺が何か空気がおかしい…」


そう言いながら私はここがおかしいの、と手を上下左右に動かしてこっからここまでがおかしいってことを動きで説明する。


私とガウリスが立ち止まっているのに気づいたのかサードが振り向いて声をかけてきた。


「どうかしましたか?」


するとミレイダに見えない位置だからか軽く馬鹿にするような笑いを浮かべて、


「新手の踊りですか?」


と引き戻ってくる。


ガウリスは上を見あげながら片手を伸ばして左右に動かしていて、私はこっからここまでがおかしいって体を左右に動かして手も大きく動かしていたから…傍から見れば妙な踊りに見えないこともないことに気づく。


私はサードを睨みながら、


「違う!なんだかこの辺の空気が変なの!」


と返した。


「空気?」


サードは私たちの近くによりながら変な顔をして、辺りに顔を動かして鼻を動かしている。


「変な臭いがするとかじゃなくてこう…空気の壁があるみたいな…進めるんだけど、動くと圧迫感があるっていうか…なんて言えばいいのかしら…」


どう伝えれば分かりやすいかしらと言葉を探して、あっ、と思いつく。


「そう!お風呂の中で急に手を動かすと圧迫感があってズモモモってゆっくり動くじゃない?あんな感じ!」


「…」


サードはそれを聞くと何も言わず黙って私を見てきた。

良い例えをだと思ったけど分かりづらかったかしら。


「ほら空気とちがってお風呂とか水の中で手を動かすと圧迫感でズモモモって…」


「いえその部分は分かっていますので」


だったらさっきの間は何よ、とムッとなったけど、サードはまだ黙って考え込むようにして辺りをキョロキョロしている。サードはアレンとミレイダに目を向けた。


「二人はここを通って何か違和感を感じましたか?」


「いや?」

「別に」


ミレイダとアレンは首を横に振る。


「ガウリスは」


ガウリスもいいえ、と首を横に振る。サードはその言葉を聞いて私を見た。


「エリーは魔法の耐性は随分あります。ということは、ここに並大抵の者には感じられない何かしらの魔法が密かにかけられている可能性があるとは考えられませんか?」


「エリーぐらい魔法の耐性が強くないと気づかないような魔法ってことか?」


アレンがそう聞くとサードは恐らくは、と頷いてあちこちを見渡してふっと何かに気づいたように地面に視線を落とした。


「…これは…」


サードがしゃがんで指を近づけるところを見ると、道の一部に線が横切っている。その線を目で辿っていくと道端の茂みに続いていて、その茂みは線と同じ幅でしおれて腐っている…。


「これは…イビルモデルの通った跡じゃねえの?坊ちゃんとあちこちの畑見張ってる時同じもんがよくあったぜ。そんで線の先の野菜は腐ってやがんだ。イビルモデル自体は見つかんなかったがよ」


これがイビルモデルの通った跡…と見ていると、茂みの向こうから小さい何かがその線の上をスーッと飛んできた。


でも私たちの姿を見ると驚いた顔をしてすぐさま引き返していく。サードは聖剣を引き抜いてその逃げていく小さい何かにぶん投げた。


茂みの向こうから「ギャッ」と声が聞こえて、サードが茂みをかき分け見る。そして聖剣を引き抜いて鞘に納めた。


「…これがイビルモデルというモンスターでしょうか?」


「どれ?」


アレンが身を乗り出して茂みの向こうを見て、


「うわー体と頭が泣き別れしてるぅー、やだぁー」


と言いながら顔を逸らした。


「どんな姿なの?」


聞くと、


「前にミレルたちと一緒に見た妖精とか精霊と同じ大きさなんだけど、子供が泥で作る黒い人形みたいで首と胴体が…」


「そこはいい」


サードはずっと遠くまで視線を巡らせて、反対側の茂みの向こうにもずっと視線を巡らせる。


「…もしや麦畑と同じようにイビルモデルを巡らせてこの辺りの草などを枯らし、ここに魔法陣を作り上げているのでは?」


と言いながら道を横切っているその線を指で示す。


「恐らくこれは魔法陣の一番外側の円。この円の内側に入ってしまったのでエリーはその魔法の違和感を感じ取ったのでは?

しかしこのような山の中ですし、黙っていれば雑草などが生えてきて魔法陣が自然の力によって破壊される。だからそれを阻止するためにイビルモデルにこの線上を走らせている…」


そうなのかしら。


私はもう一度線の外側に出て、線の向こう側へと進む。確かにこの線を乗り越えようとするとボワッとした感覚がする。


「そうみたい。この線を越えようとするとボワッとするわ」


「けどこれ何の魔法陣なんだ?これが外側の円の一部だとしたらかなりでかいんじゃねえの?」


アレンがそう言いながらその線を見るとガウリスが、


「それにエリーさんは気づいたとはいえ誰にも気づかれないような魔法陣をここに描いたとなると…」


「何かここに隠したい物があるのでは?」


サードの言葉で私もピンときたから続ける。


「ここに魔族が隠れ潜んでるかもしれないのね」


それまで連続でポンポン発言していた皆が誰も「うん」「きっとそうだ」って言葉を返してこない。


私は慌てて、


「え、違うの?」


と皆に聞き返して見回した。


「…そうかもしれませんが、魔法にはさほど詳しくないので、はいともいいえともハッキリ言えませんよ。アレン、地図を」


サードはそう言いながらアレン指図して、アレンは地図を開く。


「今はどの辺ですか?」

「ここら辺かな」


アレンが指さすからミレイダとガウリスも覗き込む。ついでに私も一緒に覗き込んだ。


今は里からわりと離れた山の中。そしてこの道は隣町に向かうための細い一本道。


「この辺は…特に畑や人家などはないのですね?」


サードが言うとミレイダは、


「だなぁ、もう少し別の所だとこういった山の斜面も利用して果物の栽培もしてるが、ここは里村から離れてっからな」


サードはその枯れた線をスーッと見て、アレンに聞く。


「この線が一つの円だとすると直系何キロほどでしょう?」


そう言われたアレンは頭を上げて、サードの視線の先と地図とを見て、


「まあ大雑把にだけど…直系は二キロぐらいはあると思うぜ」


なるほど、とサードは皆に線の外に出るよう促して、皆が外に出た瞬間、足でガッとその線が描かれている地面を足で削った。


すると目の前に灰色の石みたいなものがブワッと現れる。


「ぎゃああ!」


アレンが驚いて飛びのく。私も驚いて後ろに一歩二歩と下がりながら後ろにひっくり返りそうになって、ガウリスが倒れないように後ろから支えてくれた。


サードが地面を削って急に目の前に現れたもの…それは高い石性の壁、その壁の向こうには高層の建物がそびえたっていた。

ある動画で聞いたのですが、女性は趣味、動物、遊びなどでも癒されるそうですが、男性は基本的に女性でしか癒されないそうです。(全員がそうだとは思わないけど)


陰陽の分類上男性は陽、女性は陰で、陽は与える気、陰は受けとる気なので女性は何でも受け取りますが男性は与える側だから自分の代わりに何か受け取ってくれる人が欲しいんでしょうね。知らんけど。

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