▼ついに無能な国王を城下へ追い出した
「あのさぁ、お金がないからって金貨とか沢山作ったらお金の価値が無くなっちゃうんだよ。だから大量に金貨を作って出回せるとかダメだって」
変装したままのアレンが渋い顔のラツィ大臣に渋い顔をして言うと、ラツィはもっと渋い顔をして言い返す。
「しかしひとまず金貨を作れば、エルボ国の経済の流れも良くなるでしょう」
「うん確かにそう。毎年上限決めて金貨作るならオッケー。けど限りなくお金を作るのはダメだって。お金ってのはあるかないかの部分が価値があるんだから次から次にお金が湧いてきたらお金の価値がなくなって逆に経済が混乱すんの」
更にアレンに言い返されたラツィは少し考えてアレンの言いたいことが理解できたのか「なるほど、分かりました」と頷いた。
するとガット大臣が柔らかい口調でこめかみをかきながら、
「お金の工面はマーリン様の宝石を売れば何とか国政に回せると思いますが…その宝石もまとめて売るとなると買い取ってくれるところがあるかどうか…」
「それならまずこの国周辺のお金持ってる人に欲しい人が居ないか当たってみればいいよ。そうしたら耳ざとい行商人たちが聞きつけて買い求めに来るかもしれないし。
俺らがいる間に来た行商人にならなるべく高く買い取ってもらえるように俺も言っとくし、ジリスが今一つずつ宝石を確認して基本的にどれくらいの値段するか調べてるからさ、俺らがいなくなったらそれを元にして交渉して」
「それはありがたい、我々は宝石の査定などさっぱりですから」
前よりは疲れた顔が抜けているロップ大臣がハハハ、と笑いながら返した。
そう、ジリスもといサードは今、マーリンが買い集めた宝石を一つずつ見てはこれくらいの値段はするだろうと見極めて、値段を紙縒りに書いてくくりつけている。
どこでそういう宝石を鑑定する技術を身につけたんだか…。さっきサードが宝石を査定しているのを見に行ったら、
「わりといいもん揃ってるぜ。陽の光にもそんなに当たってねえし、身につけてたのもほんの一部みてえだから全体的に買った当初のままで質もいい。これなら本当に金貨六百枚くらいはあるかもな」
と言っていた。でもそれ以上そこにいても私は何をするでもないから宝石蔵から立ち去るとアレンが居たからあれこれ雑談していた。
するとラツィ、ガット、ロップの三人の大臣が資金繰りの話をしながら歩いていて、
「それならまず金貨を最大限に作ろう…」
ってラツィ大臣が言った言葉に反応してアレンがさっきの通りお金を作りすぎてはいけないって止めに入ったのよね。
…あ、トーフォル大臣もやってきたわ。
やってきたトーフォルに三人の大臣が声をかける。
「トーフォル、このロドディアスは随分経済のことにお詳しい」
「これからサブリナ様とクローキも交え資金繰りの件を話し合うつもりだったのだが、ロドディアスも招き入れて一緒に話そうと思う」
「サブリナ様を国王にするのに尽力してくださった方なのだからいいだろう」
ロドディアスはアレンが今使っている偽名。
そのうち勇者一行だと明かすつもりかしらと思っていたけれど、どうやらサードは最後の最後まで勇者一行だとは明かさずにいくつもりみたいだから私たち全員が偽名を使っている。
随分と国の中心部まで関わってしまったものね、国とは一切関わらないって決めているのに。
そしてアレンを交えるという話にトーフォルは嫌そうな顔をした。
誰に対しても馴れ馴れしいアレンに対してトーフォルは苦手そうにしている。
「ちなみにざっと支出と収入で考えると今どんな感じ?やっぱ支出多めだよな?今城下町でやってる食べ物も医療も労働賃金もほとんど国が金出してるもんだし」
アレンが聞くとロップ大臣が、
「そうですね、しかしそれは必要な出費…」
「今はそれでいいけど、少しずつ皆自立させていかなきゃダメだぜ、全部国が無料でやってくれるって思ったら今度は国に依存して働かなくなる人も出てくると思うし。そういや思ってたんだけど、この国って学者に研究者は多いみたいだけど、もしかして技術者が少ねぇんじゃね?
だったら国で建築業者を建築の先生みたいな立場で雇って、仕事探してる人を更に雇って建築業者増やすとかどう?建築する技術を覚える人がどんどん増えたら新しい家もどんどん建てられるし、家が増えたらこの国に住む人も増えるかも」
トーフォルはアレンの言葉を聞いてあごをさすって考え込んでいる。
「…果たしてそこまで上手くいくかな?」
「さあ?だけどここまで全部ぶっ壊れたような国なら、新しい事業はたくさん始められるから。俺から見たらこの国はビジネスチャンスがあちこちに転がってる。俺がこの国の人だったら新事業の一つや二つとっくに立ち上げてる」
…貴族のボディーガードという立場の人が言うセリフじゃない。
トーフォルもだから何なんだこいつ、という顔をしながらも腕を組んであれこれと考え込むような顔になって、アレンを見た。
「…つまり、あなたは国民に新規の働く場を提供する考えがいくつかあると」
「十個かそこらは思いついてるかな。宿泊、製造、貿易、運送…。技術者は育てるのに時間かかるからアレだけど、それくらいなら国が出資したら誰でも始められると思う。続くかどうかは本人の力量次第だけど、始めるだけなら」
トーフォルは少し悩むような顔をしつつ、背を正してアレンを見た。
「話し合いに参加いただけますか、ロドディアスどの」
「うん」
…せっかくトーフォルがアレンに敬語になったのに、アレンはいつも通りのまま。トーフォルはやっぱり何なんだこいつ、という顔をしている。
「グランさんもいかが」
ガット大臣に声をかけられたけれど、私は断った。そういうお金とか経済の話、得意じゃないし。
「そう毒にも費用を割かねばな…」
大臣たちがそう言い合いながらアレンを引き連れて去ってく。
そう毒という性病はどうやらこの国に蔓延しているみたい。
とりあえず無料で診療する医師たちにそう毒に当てはまる病気の女性、男性を見かけたら名前などを控えておいて、別の場所に呼び出して事の真相を伝えておくように頼んでいるって。
サードはディアンやマーリンの顔を近くで見ただけで見抜くぐらいそう毒のことを知っているから、
「治す方法はないの?」
と聞いてみたけれど、
「知らねえよ。サドじゃあれにかかった奴は確実に死んでたぜ?むしろ治す方法あんのか?」
って言っていた。サードはもう治らないって嘘をついているだけとも思っていたけれど、そう毒は本当に十年ぐらいで死ぬ怖い病気だった。
それなら魔界の薬草をある分だけ皆に配りましょうと提案したら、
「足りるかよ」
と拒否して、一切皆に分け与えようともしない。サードはもう頼りにならないと見切りをつけて、
「ロッテならそのそう毒っていう病気を治す知識とかないかしら」
とファジズに話を振ってみたら、
「それなら戻ってロッテに聞いてみるわね。返事は気長に待ってて」
とファジズはその場でバラバラと蝙蝠に分裂して大きい猛禽類の姿に変化すると、そのまま力強い羽音を残して飛んで行った。
これは昨日のことだけど、人だけじゃなくて動物にも化けられるんだとあっという間に空を突っ切って消えていったファジズを見送ったわ。
やることがなくてお城の外に出ると、数人の雄叫びみたいな声が聞こえてきて、ビクッと肩が揺れる。
何事!?と声のする方に駆けつけてみると、急に目の前に、
「ぐふっ」
と叫び声をあげた人が足元にゴロゴロと転がってきて、
「ギャッ」
と飛び上がる。
転がってきた人は…質のいい鎧…近衛の格好をしたおじさんだわ。
おじさんが転がってきた方向を見ると、同じ鎧を着た人たちが、
「隊長ー!」
と叫びながら、ガッと同じ方向に憎々しい目を向ける。
「おのれ!格下の者が近衛に対して…!」
見ると憎い目を向けられているのは棒を持ったガウリス、周りには城下町の見回りを主にしていた兵士たちが固唾を飲んで見守っている。
ガウリスはわずかにしかめっ面をして、
「いくら魔法を使えるのを差し引いてもこの国の兵士の統率のなさと武器の扱い方は酷すぎます。これからはサブリナさんのために有事の際に関してもっと機敏に動き守れるようになってもらわねばなりません。ですから基本となる隊列の並び方や武器の扱い方などを教え…」
「いらんわ!我らは代々近衛だぞぉーー!」
近衛たちは魔法を詠唱して槍や剣に魔法をまとわせ、ガウリスに一斉に向かっていく。
ガウリスは二、三歩横に移動し軽く魔法を避け剣を避け槍を避け、
「てい」
と横一列に並んだ近衛たちの横腹を棒でで付いた。
ガウリスのやる気の無さそうな声のわりに横腹を突かれた近衛たちは串刺しにされたみたいな叫び声をあげて近くの木の幹にドシャアッと鈍い音を出して一斉にぶつかり、そのままズルズルと崩れ落ちていく。
「魔法を使えるのなら私の態勢を崩してから近戦に持ち込んだ方がよろしかったですよ。どうして態勢も崩れていない者に対して魔法を使いながら近づくのです?」
もがく近衛たちにガウリスが声をかけているけれど…今それを言うのは少し酷いわよ、ガウリス…。
それでも周りの兵士たちは魔法を使う近衛三人を一突きで軽く倒すガウリスを見て、うおおお!と歓声をあげている。
「すごい!人を三人同時に…!」
「さすが貴族のボディーガード!」
「俺もあれくらい強くなれたら…!」
皆からキラキラした目を向けられているガウリスは近衛たちを助け起こすとその場にいる皆に向き直る。
「理不尽に襲い掛かる脅威から大事なものを守るために力は必要です。しかし理不尽な力に対抗するためには皆さんのまとまりがもっと必要です。そこに代々近衛だった経歴も平民だった過去も関係ありません、ここにいる誰もが守らねばならないものはこの国の方々なのに変わりはないはず。
私は魔法は使えませんが、ここから立ち去るまでに私の知っている限りの隊列の組み方、戦闘法、武器の扱い方を皆さんに教えたい。そしてサブリナさんを、この国の方々を守る力を覚えていただきたい。どうか私にその機会を与えてくださいませんか」
ガウリスの真っすぐな言葉に城下町の見回りをしていた兵士たちが、おおおー!とやる気十分な声をあげている。
近衛たちは…憮然とした苦々しい顔をしているけれど、隊長どころか魔法を使いながらでも一度に三人倒されたのに「嫌だ!断る!」と喚くのはみっともないと思っているのか、ただ黙っていた。
ガウリスはまだ伸びている近衛隊長を起こしに来て、私が居るのに気づいたのか微笑む。
私も微笑んだけど、軽く自虐的に笑った。
「言っておくけどここの兵士がサンシラ国の兵士と同じように動けるって考えない方がいいわよ?」
ガウリスは笑う。
「私は少しきっかけを与えるだけです。あとは本人たちのやる気次第ですよ」
ガウリスはそう言うと隊長を起こして「隊列の組み方をしたいのですが、先頭に立っていただけますか?」って声をかけて、フラフラしている隊長を気づかいながら引き戻っていった。
あとは本人たちのやる気次第、ね…。
そう思いながらガウリスが指導しているのをしばらく見ていたけれど、あっという間にガウリスは兵士に慕われて、あれだけ渋い顔をしていた近衛たちもガウリスの言葉通りにあれこれと動いて…素人目から見てもこの短時間でかなりキビキビと動いているようには見えるわ。
統率の取れた動きを一番前で見た隊長も「こんなにも指示通りに兵士たちが動くのは…!気持ちいい…!」という表情で、かなりやる気が出ているみたい。
ガウリスを押しのけて、
「どけ!私がやる!」
と前に出てガウリスと同じように指示を出し始めた。ガウリスは微笑みながら後ろに下がって、動きが整わなくてオタオタしている兵士に近づいて助言を与えている…。
人からとても信用されて慕われるガウリスだもの、きっと大丈夫ねと兵士たちから離れて歩いていると、サブリナ様とファディアントが裏庭を眺める廊下にいるのを見て、何となく邪魔しちゃいけないと思ってサッと隠れて様子を伺った。
この前のリノシオ蝶の一件でサブリナ様がファディアントへの頑なな態度を改めて受け入れる姿勢を見せると、幼児まで退行していたファディアントの言動は少しずつ元の年齢にまで戻っていって、今ではサブリナ様をお母様と呼ぶこともなく元の偉そうな態度に戻ってしまった。
そうなるとサブリナ様との間によそよそしい空気が流れるようになったけれど、それでもファディアントは気づけばサブリナ様の近くにそっと寄っている。
それでサブリナ様が何も声をかけないと不機嫌になるけれど、サブリナが話しかけるとどこかホッとした顔で前みたいにふんぞり返って偉そうにあれこれ会話をする。
そんな様子を見て「何がしたいのかしら、あれ」と呟くと、近くにいたお父様はおかしそうに笑っていて。
「昔フロウディアがヘソを曲げて私と話さなくなったことがあった。それである時急に機嫌が直って話しかけてきてくれた時には本当にホッとしたものだったなぁ」
「…?」
何が言いたいのという顔をお父様に向けると、お父様は私の頭を撫でながら微笑んで、
「娘と接するのは男親にとって少なからず気を使うものだよ。ファディアント様は今までサブリナ様に話しかけず遠ざけていたから余計にバツが悪いんだろう。あれは娘に構いたいがどう接していいか分からないから娘に構ってほしがっているんだと思うよ」
随分と面倒くさい人ね、と思ったけれど、前みたいに会話が始まりそうになったらさっさと遠ざけるんじゃなくて父親として娘と接しようとしているのだから、そこは良くなったと思うべきなのかしら。私は面倒くさいとしか思えないけど。
それでもサブリナ様はそんな対応は特に面倒くさいとは思わないようで、ぎこちなくファディアントに声をかけて、それでファディアントがふんぞり返って偉そうに話すのを見てわずかに微笑んでいるから、少なからず会話ができるのは嬉しいのかもしれない。
ここ数日で政治の話をファディアントに話すことも増えたし、ファディアントは前みたいに興味がないと聞き流すこともなく、黙ってサブリナ様の横で話を聞いていた。
「…気になっていたんだが、お前は誰からそんなに政治のことについて聞いた?トーフォルか?」
ファディアントはガウリスが降らせた雹でほぼ破壊されている庭園を見ながらサブリナ様に声をかけた。
サブリナ様は首を横に振って、
「あの道化師の方からです。トーフォルらは政治のことで忙しそうで、子供心に声をかけづらかったので」
と答える。
「…道化師?戦争が起きる前に逃げたあの道化師か?」
サブリナ様は頷く。
「はい。道化師として皆から笑われていましたがお父様よりお父様らしく、国王のお父様より国のことを、私の行く先を考えてくれた方でした。何度あの道化師が私の父で国王であればよかったと思ったことか。それほどに優しく聡明な方でした」
ちょ…それ、流石にファディアントが怒るんじゃ…。
ファディアントが怒鳴りそうだったら飛び出そうと見守ったけれど、ファディアントは何を言うでもなく、ただ酷く傷ついた悲しそうな顔でサブリナ様から視線を逸らしていた。
「…お前が道化師を逃がしたのか、戦争が起きるのを知って…」
「いいえ、急に別れを告げられ去ってしまいました。…今はどこで何をしておられるのでしょう。元気で過ごしておられるのでしょうか…。久しぶりにお会いしてこの国を良くするためのアドバイスをしてもらいたいものです」
その発言にファディアントは傷ついた表情を一変させて「私ではアドバイスは無理だとでもいうのか」とばかりにムッとした顔になったけれど、それでも面白く無さそうな顔でサブリナ様からまた目を逸らして、何を言うこともなく黙っている。
…前みたいに怒りに任せて怒鳴り散らしても墓穴を掘るだけと何も言わないのかも。幼児返りから元に戻ったら前より思慮深くなったような気がするのよね。
「ではそろそろ国の資金繰りの話合いが始まりますので、私はこれで」
「…ん」
ファディアントはイライラした声でムッツリと返す。サブリナ様はまあいつものことという感じで私の隠れている方向にむかって…。
あ、どうしよう。二人の会話を聞くつもりはなかったけれど、普通に盗み聞きしていたわ…!
見つかったらいけないとワタワタするけれど、今私がいる所以外で隠れられるような場所はない。
だってほとんど庭園も破壊されてる感じだし、壁だってほとんど崩れているし…!
サブリナ様はどんどんと近づいてきて、あっさり私を見つけてしまった。
サブリナ様は目を見張らせて、私は緊張の顔でサブリナ様を見返す…。
サブリナ様はプッと笑った。
「まるで最初に会った時のようですね」
「…ごめんなさい、盗み聞きするつもりはなかったんです、けどファディアントが怒鳴ったら助けに行こうと…」
「もう大丈夫ですよ、前より浅はかさを感じる言動は減りましたから」
辛辣なことを言いながら途中まで一緒に行きましょうかとサブリナ様が誘うから、私は隣を歩いていく。
「…お父様を明日、お母様とお兄様のいる城下町へと追放する話をしていましたが、聞いていましたか?」
私は首を横に振る。そこは聞いていない。
お城から追放されて一国民として城下町に住み始めた元王妃マーリンと元王子ディアン。
サブリナ様はせめてもの情けであまり壊れていない無人の屋敷を買い取って、買い物の資金用にとマーリンとディアンそれぞれに金貨十枚を与えたうえでそこに住まわせることにしたのよね。
それも買い物をするための市場や仕事を回してくれそうな所、例の瓦礫を持って行けばコイン一枚貰えるなどの情報が描かれたマップも渡してあとは勝手にすればいいとサブリナ様は言っていたけれど、それでもやっぱり心配みたいで兵士たち度々様子を見に行かせているのは知っている。
「お母様とお兄様ですが」
サブリナ様の言葉に目を向ける。
「元王妃と王子がお城から追放され国民同様の生活を送っていると、屋敷を取り囲まれもの珍しい目で見られているそうです。中には石を屋敷に投げ、罵声を浴びせ、家の中まで侵入して暴行を働こうとする者もいるようです。家の中に入った者たちは不法侵入の罪で兵士が捕まえていますが」
やれやれ、とサブリナ様はため息をつく。
「あまりに屋敷周辺の治安が悪くなったので落ち着くまで兵士をあのあたりに居させる予定です。それにお兄様は未だに次期王家継承者である自分が何でこんなことにと嘆いて外に出ず、お母様は金貨を道行く者に見せびらかしては下僕になって身の回りの世話をするよう話を持ち掛けているようですよ。
…どうやら自分たちで働いてお金を手に入れ生活するなんて考えは一切ないようで。病気に完全に侵食される前に改心していただければいいのですが」
難しいと思う。
私の正直な気持ちはその一言だけれど、それでもサブリナ様の手前何も言わない。
けどサブリナ様の表情をチラと見ると、難しいでしょうね、と言っているようなものだった。
そうして次の日。
質素な服に身を包んだファディアントはマーリンとディアンの待つ屋敷まで馬車で送られることになった。
もっとイライラと荒れて、やっぱり嫌だ!と暴れるかと思ったファディアントは思った以上に落ち着いていて、兵士に促されるまま馬車に乗り込もうと歩いていく。
目の前を黙って通り過ぎるファディアントにサブリナ様が声をかけた。
「お父様」
ファディアントが歩みを止めてわずかに振り向く。サブリナ様は言葉を選ぶかのように口ごもって、しばらくファディアントを見て…手をギュッと握って真っすぐファディアントを見上げた。
「…父として、お母様とお兄様のことをよろしくお願いします。私は…お父様もお母様もお兄様も暮らしやすい国を、必ず作りますから」
ファディアントは…何か色々と言いたそうな顔をしてわずかに口を開きかけたけれど、
「…頑張れ」
とだけ言うと背を向けて、さっさと馬車に乗り込んだ。
遠くなっていく馬車を見送るサブリナ様は罪悪感に押しつぶされそうな顔で沈み込んでいて、ガウリスがかがんでその肩を優しく叩く。
サブリナ様は耐えきれなくなったのか泣き出してしまった。
「私は酷い人間です、いずれまた皆でお城で一緒に暮らしましょうとも言えたのに、そのように希望を持たせることが言えませんでした」
泣き続けるサブリナ様にガウリスは慰めるように声をかける。
「帰るところがあると思うとどこか気持ちに甘えが出てしまいます。あえて厳しくする優しさもあります、今はこれで良かったのですよ、サブリナさん」
マーリン
「作者からもらった宝石全部なくなったんだけど(怒)私が城下町に行く羽目になったのも全部あいつのせいよ、あいつなんて馬鹿よ馬鹿、私の家はあいつの家と違って…。…ね~え~作者~宝石欲しい~」
作者
「ほらね~?こうなるから簡単にポンポン高い物あげる人は神と崇めるんじゃなくて悪魔寄りの危ない人だって警戒しないといけなんだよ~。ではこれにてドロン」
マーリン
「あ!このクソ野郎!くたばれこの〇▼*■×!!」(あまりに口汚いので規制されました)




