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裏表のある勇者と旅してます  作者: 玉川露二


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侵入は簡単?本当に?(後半サード目線)

ここはアレンの部屋の中。


「じゃ、行って来らぁ」


日もとっぷり沈んで暗くなった夜、サードが窓枠に足を賭けて出て行こうとする。


サードの格好の変なこと。

例の目だけを出す泥棒のようなストールの巻き方、紺色の上着を前で重ねて腰ひもで締めて、紺色のズボンはふくらはぎ部分をキャハンとかいう布で縛って、足の指先が二股に分かれた変わった形のジカタビという靴を履いて…。


さっき変な格好、と思わず呟いてしまったけど、これはどうやらサードが元居た世界のスパイ…オンミツ独特の服装なんだって。

ついでにずっと泥棒みたいと思っていたストールの巻き方もオンミツ独特の巻き方だったみたい。


泥棒みたいだからやめてと言うとこれは伝統的な巻き方と返されていたけど、()()()()()()()伝統的な巻き方だったわけね。

完全に嘘じゃなかったけど、何だか釈然としない。


それに服の作りも敵地に侵入するにはペラペラしていて心もとないわと言うと、サードはニヤニヤと笑った。


いつの間にか頼んでいたのか、この服は頭から靴までガワファイ国ウィーリにいたあの三人の精霊、エローラたちに作ってもらったものだそう。


「俺らが普段着ている質のいい上等な布と同じもので作られているから、俺の元いた国のもんより質はいいぜ」


そんな言葉と共に、


「しかしオーダーメイドなのにこれ全部タダなんだぜ?最高だな」


と服を広げて自慢げに笑っていて…。エローラたち、なんだかごめんなさい。


「けど本当に大丈夫?」


心配そうにサードを見ると、サードはアレンの部屋の窓を開けて上を覗きみてから軽く首をこちらに向けた。


「人の家に侵入するのは初めてだからな。どうなるか分からねえが行くしかねえだろ」


人の部屋には度々侵入しているじゃないのと思ったけど、黙っておいた。


「しかし、人の途切れねぇリビングに割符を置いておくとは…ラニアも考えるな」


そう、ミョエルは割符を探して至る所を開けて物をひっくり返して探していたら、リビングの棚の上の奥、書状などが色々と置かれている棚の裏側にそれっぽいものを見つけて、取ろうとした所でラニアがやって来て口論になったんだって。


「でもリビングにはいつでも誰かしらファミリーの奴らが入り浸ってるから、リビングから人が途切れんのは生まれてから一度も見たことない。あと親父が謝るまで絶対家に帰らない!ミリアさん、しばらくこっちに泊めて!」


と言いだして、現在このダーツ家には一階にミョエルが居る。


ミョエルのおかげで割符の場所は分かった。でも人が入り浸っているリビングに侵入して取りに行けない…と話していたらサードが、


「ならちょっと様子見でもしてくるか」


と言いながら部屋から出て行って、上の形の服装になって戻って来た。


そんな変な格好のままガウリスに、


「頼んでたのは出来たか?」


と聞くと、ガウリスも一旦出て行って戻ってきて、サードに頼まれて何に使うのか分からないけど鍛冶職人に作らせたという謎の物を全て渡していた。


「ところでこれは本当に何なのですか…?作った方も何に使うのかしきりに聞いておられましたが」


ガウリスも奇妙な物体が気になるのかサードに聞くと、


「侵入する時に必要になるものだ。これはカギ縄っつってな、屋根とかに引っ掛けて登るもの。こっちはクナイ、壁に穴を開ける土を掘る縄を切る人に突き刺す何でもござれの万能のもの。これはスンテツ、これを手首に隠し持った状態で眉間だの喉だの目だの突かれてみろ…いちころだぜ…」


と悪い顔で説明を始めたけどふいに止めて、


「説明してたら長くなるから行く。じゃ、行ってくらぁ」


と窓枠に足をかけた所で冒頭の場面に戻る。


「だけど魔法を使う人もたくさんいるのよ」


特に転移の魔法はかなりの熟練の技がいる高度な魔法。それを使う人もラニアの元にいるからやっぱり危ないとサードに告げるけど、


「なら魔法使う前に倒せばいい話だ」


と聞く耳持たない。


「そりゃあ理屈で言えばそうなるけど…」


私がぐずぐずとした物言いをするとサードは窓枠に完全にあがってこっちを見ながら、


「とりあえず侵入できるかどうか様子を見てくるだけだ。侵入できそうならそのまま行ってくるが、俺も他人の屋敷に侵入したこたぁねえから、失敗するかもしれねえ。

もし何かあって隣の奴らが来たとしても知らぬ存ぜぬで押し通せ。仮に俺が居ないだの突っ込んできたらその辺に飲みに行ってるとでも言っとけ。いいな」


サードはそう言うなり体を乗り出して、さっさと屋根の上へあがって行った。


「…サードどこ掴んで上がっていったんだ?ここ壁しかねえぞ」


アレンが窓から体を乗り出してサードが登っていった壁を見上げているけど、すぐに体を引っ込めてどこか心配そうな顔で私とガウリスに視線を向ける。


サードはどんなピンチの時でもいつも自信あり気に笑っていて、それでいて私たちには思いもつかないことを考えついてしてその場を駆け抜けてきた。


明らかに普通に戦ったら勝てるわけのないランディ卿には外を流れている川の水を使えと言って、ロドディアスと戦ってる時には城の素材の壁や床の石を使えと言って、海賊に襲われた時にはガウリスの逆鱗に触れてガウリスを龍の姿にして海賊を倒して…。

今までの事を思い出して挙げていったらキリがない。


そんな今まで余裕の態度で全てのピンチは切り抜けてきたサードが失敗するかもしれないと言っていた。


サード的には万が一にも、って意味で言ったのかもしれないけど、それだけで…妙に不安になってしまう。


「なんつーか、サードって俺らの心の支えなんだな…いつもサラッと俺らが出来ないことやってのけるからさ、失敗した時の対処の仕方言われると心配になるっていうか…」


私と同じことを考えていたのか、アレンがポツリと呟く。


「まず侵入できるかどうかを確認してから判断するはずです。サードさんは功を焦って間違った判断を下しません」


不安そうなアレンにガウリスが声をかけた。

ガウリスはかすかに笑い、


「なんせファジズさんに口移しで毒を入れられたかもという時も、私の方が大丈夫かと焦るほどサードさんは落ち着いておられましたから。仮に侵入した後もこれ以上は無理と判断したらすぐ戻ってくるでしょう」


そう…よね、サードは勝機が見えない戦いに乗るような男じゃないものね。


それに私たちに心を開いてきているからこそ失敗するかも、という言葉を付け足したのかもしれないし。

だって前のサードだったら絶対に、


「俺がヘマするとでも思ってんのか?ああ?」


って何もかも上から押さえつけるような喧嘩腰で睨みつけながら、自分だけ詳細が分かっていればいいって何も私たちに説明もしないで窓からさっさと出て行っていただろうから。


そんなことを考えながら、


「この前ロッテが言っていたんだけどね…」


とサードが丸くなったとロッテが言っていた話を二人に聞かせて、ようやくサードは私たちに心を開き始めているみたい、という話をする。


「ええ…俺七年も一緒に居たのに心開いてきたのつい最近?ひでぇ」


アレンはショックを受けて、ガウリスはそう言われれば…と頷いた。


「最近はピリピリした雰囲気はありませんね。お会いした時はどこか…一定の範囲内からこちらに入って来るなという威圧感がありましたから」


「でもいつごろからだろ、心開いたの」


「サンシラ国辺りからですか?あの後シノベア高原の辺りでお前たちのことは嫌いではないとおっしゃっていましたし…」


「サンシラ国の冥界で八三郎と会ったから?」


アレンもガウリスもウーン…と悩んでいたけど、アレンはいつも通りの気楽な顔になって、


「ま、それでも心開いてきたってなら俺は嬉しいからいいけどな。サードも子供の頃に母さんに殺されそうになったっていうから、それで人が信じられなくなったのかもしれないし。実の親に殺されそうになるって結構なトラウマだと思うぜ?俺」


それに加えて養子に入った家の養父に襲われかけたのも人間不信に陥った原因でしょうけどね。


でも二人はそのことは知らない。そんな話をわざわざ口に出して話したくもないし、サードを差し置いて私が話すことでもないから。


「…けどサード遅いわね」


侵入するかどうか判断して無理と感じたならそろそろ戻るころよね。もしかして侵入できそうと判断して屋敷に入ったのかしら。


「…多分侵入されたのバレたら、隣の家すげえ騒がしくなるぜ」


* * *


犯罪組織の屋敷だっつーのに、随分楽に侵入できるもんだな。


見張りなのか、ただうろついているだけなのか…庭にいる奴らはいた。だがそんな奴らに俺は見つかりもせず、かぎ縄を使い屋根の上まであっけなく到着してしまった。

アレンの家から出て三分程度って所か。


あまりにも楽に侵入できたせいで逆に罠じゃないかという考えが浮かぶ。


…仮に罠だったらどんなものがある?


そうだな、俺がラニアだったらミョエルに割符をわざと見つけさせ、そして家から追い出す。

どうやらミョエルはダーツ家によく出入りしているようだから、何かあればすぐダーツ家まで行って怒りに任せて自分が怒るまでの経緯をあれこれギーギー喚くことだろう。


そうやって割符のある場所を知った俺らが来るのを待ち構えリビングに来た所を捕まえ、不法侵入だの窃盗罪だの喚いて、そのことをばらされたくなければアレンを寄越せと圧をかける…。


今の所ミョエルも信用ならない。


ミョエルとは夕飯時に初対面を果たしたが、猪みてえな女だという印象だ。

思い込んだら一直線、怒る時には怒る、泣く時には泣く、気に入らないことには真っ向から立ち向かう。

その時の感情に任せる激しい気性の持ち主。


少し話した時点で狡猾な考えの持ち主ではないと思ったが、本人の知らない所であの単純な一直線の性格をラニアにいいように使われてる可能性が高い。


だが偽物の割符がリビングにあったとしても使い道はある。


確かに偽の割符を持ってアレンの家族を迎えに行ったら捕まるだろう。だが世の中海路ではなく陸路という方法もある。


アレンが言うには歩いて二ヶ月ほどあればヴェルッツェ国の中心都市にたどり着ける。

そして偽物の割符を持ってヴェルッツェ国の王家の元に訪れ、忠告とばかりに偽の割符を差し出しこう言ってやればいい。


「シュッツランド国で貿易を営んでいるラニアという方が、このようにヴェルッツェ国公認の割符の偽物を大量に作っていました、これは国を揺るがす犯罪ではないでしょうか?」


…まあこの方法だと多少国の奴らに関わることになるが、忠告したあとは即座に立ち去って二度とヴェルッツェ国に立ち入らなければいい話。


片や世間から評判の勇者、片や犯罪者組織のボス。どちらの言い分を信用するかなど目に見えているようなもの。

そうなればラニアの仕事は表の商売でも裏の稼業でも大打撃を喰らうことだろう。ラニアもシュッツランドでは幅を利かせていようが、隣国ともなれば手は出せねえだろうからな。


まあ仲の悪い両国間でそのようなこと発覚したら、互いへの怒りや嫌悪が再び湧き上がって戦争が始まる可能性もあるがな。

まあそんなことになろうが俺には関係ねえ、どうせそのうち出て行く国だ。


…エリーもアレンもガウリスも俺のこんな考えが分かったらどんな面すっかな、エリーはアレンの故郷なのにと怒りだすことだろう。あいつ自分が関わらねえ所でも変に細けえからな…。


だがここまで楽に侵入できたんだ、案外とリビングにあるという割符も持ち出せるかもしれねえ。


頭を巡らせると屋根の上には煙突が二つある。

アレンが書いたラニアの家の見取り図によれば手前がリビング、奥がラニアの部屋。


その煙突も今は夏だから使用されていない。


手前の煙突の上にある天板をズリズリと動かし、音がしないように屋根の上にそっと置いてからかぎ縄を煙突の(ふち)に引っ掛け、縄をつたいながら中に入って行く。


下はうっすらと明るく、何人もの声が聞こえてくる。どうやら酒を飲んで談笑しているようだ。これは長っ尻になるだろう。

…ん、一人出て行ったな…。…だが入れ替わりで二人入ってきた。また一人入って来て…誰も出て行かない。


なるほど、いつでもリビングに人が必ずいるのは本当のことみたいだ。


もう少し下まで降りてみて、耳を傍立てて何人いるのか声で確認する。


一、二、三、四、五、六…、もう一人入って来た。せめて二人…いや三人になるまで待つか。


だが暖炉の中でずっと足を広げて突っぱねながら待つのはかったるいな。縄を掴んでいる手だって三人に減るまで待っていたらいざって時に強ばって上手く武器が扱えないかもしれねえ。


一旦屋根まで戻るか…。


軽く登っていくとレンガの一部が出っ張っているのに気づく。良い所に足を置くところがあったと足を乗せると、その出っ張りにたまっていたらしい(すす)がパラパラと音を立てて落ちて行った。


しまった。


使ってねえ煙突から煤がまとまって落ちたら明らかにここに誰か居るとバレる。

割符を持ち出すのは失敗だと即座に逃げようとしたが、リビングからドッと笑い声が湧き上がった。


しばらく様子を伺ってみるが、煤が不自然に落ちたのに気づいた者はいない。


安堵して軽くため息をついたが、即座にイライラしてきた。


ラニア、てめえ金持ってんだろケチってねえで掃除しろよ。てめえが煙突の掃除ケチったせいで今俺が危ねえ目に遭ったんじゃねえか。


イライラしながら再び出っ張りに足を乗せ、人数が少なくなるのを待ってどれくらいの時間がたったのか。

耳を傾けていて、話声が二人に減ったのに気づいた。


もう少し壁を伝ってスルスルと降りてまた確認してみるが、やはり二人だ。


話の声の響きからして…一人は暖炉そば、もう一人はもう少し離れてるな。暖炉そばの男と対面しているのか…。


まず下に降りたら顔をろくに見られないよう二人を倒し、ミョエルが発見した場所にある割符を取る。割符を手に入れたらこの縄を伝って即座に屋根に戻り、隣まで逃げる…。

いや、足の裏に煤がついているからあちこち町中を走り回ってかく乱してから地下足袋を脱いでアレンの家に戻った方が良いな。


この後のことを軽く計画を立ててから、パッと縄から手を離し、足音も無く暖炉の床に着地する。


それでも多少音が出て、着地した時に起きた風で煤がブワッとリビングに広がっていく。二人の人間が暖炉に意識を向けているのを感じる。


暖炉を囲っている背の低い鉄の柵を蹴とばしてリビングに滑り出た。


暖炉そばの男が口を開けて手を動かそうとしているのが見え、滑り出るついでに暖炉の内側にあった火箸を手に持ってその男に向かって一直線に投げつけた。


男はすんでのところで火箸を避けて、火箸は後ろの壁に深々と刺さる。男は手をこちらに向ける。その手の平の内にはロッテの屋敷で見たような魔法陣が見えた。


書いているのか?それとも刺青か?


そう考えながらもその男の前まで距離を詰め、手の内に隠し持っていた寸鉄で男が前に突き出している手の平を貫いた。


魔法陣は間違わないように図形と数字と文字を組み合わせれば使えるものだとロッテが言っていた。それならどこかの文字を一つでも潰せば魔法陣は未完成となり発動しないってことだ。


そのまま体を回転させ寸鉄を引き抜きつつ右肘を男の顎に当てて床に沈める。

だが大きい音は立てたくないから一旦空中で服を掴んで、床ギリギリのところで手を離して落とした。


もう一人の男が驚き声をあげそうになっている。


近づき人中に拳を入れ、口周りを押さえ身をかがめる男の手もろともあごに掌底を喰らわせる。男は倒れて行くが一人目の男同様大きい音が立たないよう一旦掴んで床の近くで手を離した。


さてガラスの戸棚。書状が置かれている場所。


顔を動かすと該当する棚はすぐ見つかった。ガラス戸を開けバサバサと書状類を床に落とすと、その後ろに割符がある。


上には細かい紋章が彫られ縁はピンク色、その下の文字は水色。そして半分に割られたうちの左部分。「この船」で途切れているが、そうインクで書かれた文字がある。


エリーとアレンが言っていたのと全く同じものだ。


だが妙に嫌な予感がする。


見る限りリビングのテーブルの上には酒ビンにつまみが散らかっている。

どう考えても見張りをしていたとは考えられず、リビングにいた男たちもただ日常の夜の酒盛りをしていたとしか思えない。

こんな強請(ゆす)りに使える物をろくな見張りも置かないでただ放置なんてするか?俺だったら絶対にしない。


そうなると目の前の無防備に置かれている割符…これが罠にしか見えない。


割符を置いて戻るか。

ここまで来て手ぶらで戻れるか、今を逃したら次は楽に侵入できるか分からねえんだぞ。

だがこれは罠だとしか思えない、触らず戻った方がいい。

罠だった時は罠だった時だ、割符だけ取って戻れ…。


自問自答し、どの案を選択するか思案しようとすると足音が近づいてきているのに気づく。

数は一人だが、見つかると厄介だ。


俺は割符に目を移す。


「…」

罠だった時は罠だった時だ、割符だけ取って戻る。


その案を選択し、躊躇(ちゅうちょ)なく割符を掴む。


と、急に周りがグラッと揺れたかと思うと、次の瞬間にはリビングではない別の部屋に俺はいた。

だが今の感覚はスライムの塔から村はずれに飛んだ時と同じ感覚。


…まさか…!


「おお?どうやら割符を盗みにきたようだな」


声の方向に目を向けると、ラニアが豪勢な机の向こうで随分と立派な椅子に座ってこちらをニヤニヤと見ていた。


…こういう罠だったか。

最初に感じた嫌な予感を信じるべきだった。俺としたことが焦っちまった、クソ、失敗した…。


今俺が手にしているこの割符を掴むとラニアの部屋かラニアの目の前に直行という転移の魔法でもかけられていたに違いない。


だがラニアの部屋や目の前に移動しただけならどうってことねえ。どうであれラニアやその取り巻きより俺の方が強い。

ラニアの両脇には人が四人揃っている。もしかしたら魔導士かもしれねえが、エリーほど力の強い魔導士であれ魔法を使う前に殺…倒しちまえばこっちのもんだ。


倒す方向と逃げる方向、両方を一挙に進めようと動こうとした。


だが、足が動かない。いや、足だけじゃねえ、腕、胴体、首すら動かない。


「…!?」


見るとラニアの隣にいる男がブツブツと何かを唱えている。

あいつ…いつの間に呪文唱えてたんだ?声が小せえんだよ、もっとでけえ声出せよてめえゴラ。


「闇の中にいる特定の人間を動けなくできる黒魔術の魔法さ。雇ってて良かったぜ」


ラニアはそう言いながら立ち上がって俺の頭からつま先までをジロジロと眺め回す。


「にしても珍妙な格好だな?さて、誰に頼まれた?勇者か?それともミリアか?ドミーノか?」


「…」


無言を貫いているとラニアはニヤニヤ笑いを崩さず、


「体は動けないが口はきけるぞ?で、誰だ?誰に頼まれた?」


と言いながら壁に掛けてあるナイフを手に取り、その鞘を抜いて暗闇でも切れ味が良いだろうと分かる刃の側面で俺の頬をピタピタと叩く。


「そうだな、まずは俺の屋敷に乗り込む度胸のあるてめえがどんな面してるのか、拝ませてもらおうか」

Q,サード、手裏剣は作らなかったんですか?手裏剣は、忍者の代名詞の四方六方八方手裏剣…


A,手裏剣より箸みてえな形の木の棒の方が殺傷能力高えし当たるし持ち運びも便利だから要らねえ


Q,ところで作者は家族に向かってゴム製のおもちゃの手裏剣で奇襲をしかけたら外れた上に手裏剣を奪われて逃げる間もなく股に手裏剣を打たれたんですけど、あの時どう対応すれば良かったですか?


A,一度失敗したならすぐ逃げろ。だがお前は足が遅い、逃げ切る体力もない、瞬発力もない、突発的犯行だったろうからどうせ逃げる退路も作っていない。奇襲をやること事体が間違いだった。

それが遊びで助かったな、その手裏剣が本物で毒が塗ってあったらお前…w股…ww今頃使いもんになってねえ…www(途中から知能が小学生男児まで低下)

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