表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

いろはの短編集〜月見草編〜

夢追い人(600文字小説)

作者: いろは

 子供の頃から何でも1番が好きだった。

 勉強やスポーツだけではなく、クラスの出席番号や朝礼等の集合時も先頭が好きだったので、今考えると滑稽こっけいだったなと思う。

 だだ、現実に1番とは1人しか存在しない。様々な分野はあるものの、その道は険しい。世の中はそんなに甘くないのだ。


「さて、バイトに行くか」


 大人になった私は1番になる事を諦め、自分にしか出来ないものを探し求めている。

 それが何なのかは全く分からない。こうして、定職にも就かずにフリーター生活を送っているのはただの口実であり、逃げているだけなのではと不安に駆られる事もしばしば。


「あー、やめやめ!!」


 かぶりを振って後ろ向きの思考を掻き消す。今はまだ見ぬ夢を追い求める事だけに集中しよう。


「行ってきます」


 ……1人暮らしなので当然返事はない。これは私自身を鼓舞する為の儀式。




 ――みよちゃん、行ってらっしゃい。気を付けてね――




「えっ!?」


 背後から突然声が聞こえ、驚いた私は慌てて振り返るが誰も居ない……。


「今の声、聞き覚えがあるような……それもとても懐かしい響き。……でも思い出せないなー。誰だっけ?」


 私は首を傾げながらアパートを出た。




「みよちゃんか……あっ!?」


 そう言えば、幼い頃にその呼び名で何時も可愛がってくれていた人が居た。


「今日、バイトが終わったらお墓参りに行こう」


 今日は普段よりも幾分足取りが軽い。




 ――おばあちゃん、ありがとう。私、頑張るから見守っていてね。

 この小説はフィクションです。

 しかし、今の世の中、夢敗れ、彼女の様に迷い子になっている人は多いのかも知れませんね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 全ては自分の心掛け次第・・。
[一言] 頑張りたい気持ちもそれを後押しする心。 独立して己を磨くということの難しさと無条件の愛。 素敵で素直な主人公に育ったのは、その愛情あってこそなのかもしれませんね。 スピリチュアルなお話ですけ…
[良い点] 弱っている時のお婆ちゃんの記憶は沁みますよね。 [気になる点] あとがきは、ジャンルを純文学としている時点で無用かと思いました。作者自身の話なのかな? と、ぼやかした方が、作品の魅力が増…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ