第1話 俺は異世界で何をする・・?
はじめまして!よろしくお願いします。
地方に産まれて、就職で上京して、今年で26になる普通のサラリーマンだった俺がまさか、剣と魔法の世界で生きていくことになるとは思ってもみなかった。
学生の頃にネット小説やネット小説原作のアニメなんかをちょくちょく読んでいたが、本当にこんなことが、しかも自分の身に起こるとは・・・・
なんで俺、慶寺祥が異世界で生活することになったのかというと、それはよくネット小説の設定にある勇者召喚でも、神様のミスでもなかった。
俺は、普通に仕事を終え、家に帰り、飯を食べ、風呂に入り、そして寝たはずっだたのだが、起きるとそこは自分の部屋ではなく、空と雲の中に浮かぶ小さな神殿のような建造物だけがある浮島だった。いや、厳密に言うと建造物は神殿だけだった。神殿と混乱している俺の間には、映画やアニメでよく見るドラゴンがいた。最初は大きな岩か何かだと思っていたが、これがドラゴンだと認識した瞬間、身震いして、恐怖と伝説の生物をみた興奮でわけがわからなくなった。
「ようやく目が覚めたか」
俺の頭の中に急に声が響いた。しかし、俺の見える範囲にはドラゴンのほかに何もいない。でも、このドラゴンも口を開いてはいない。声の主を探そうとキョロキョロしていると、また声が響いた。
「この空間にお主と我以外には存在しない。我は人語を発することが出来ぬゆえ、念話によって直接、お主の頭に話しかけておるのだ。」
どうやらこのドラゴンが声の主のようである。
「ここはどこですか? 俺、家で寝ていたはずなんですけど」
混乱している頭をどうにか冷静にして少し怖いとは思いつつも現状を把握しようと質問をした。
「ここはお主が居た世界とは別の世界だ」
「つまり異世界ってことですか?」
「そうだ」
「じゃあ、俺、神様のミスか何かで死んでしまったんですか?それか勇者召喚?この世界の危機を救うためとか?」
俺はネット小説でよく見ていた転生もののようなことが自分に起きているんじゃないかと思い質問をした。
「ちがう。お主は選ばれたのだ。わしの子の育て親に」
「・・え?」
なんて言った? わしの子? ドラゴンの子? ソダテオヤ?
このドラゴン曰く
・このドラゴンはドラゴンの神様のような存在で、龍神というらしい
・神としての務めがあるため、子育てを自ら行うことが出来ない
・そのため、古くから子を「選ばれしもの」に預け、世界を旅させることで多くのことを経験させ、1人前となるまで育ててもらうという習わしがあるという
・その「選ばれしもの」こと「ドラゴンの育て親」に選ばれたのが俺ということである
・旅する世界は魔法あり、魔物ありの世界
要約するとこんな感じだった
ちなみに、
・俺に拒否権はないとのこと
・俺の前にいるドラゴンもこの習わしをうけ、育てられたとのこと。その時の育て親は人間ではなく、また別の世界にいるというフェンリルという種族らしい
・1人前に育てることが出来れば、もとの世界に返すとともに願いを叶えてくれるらしい
・できなかった場合ももとの世界に帰れるが、それなりのペナルティを受ける(内容はおしえてくれなかった)らしい
「えーっと、、いくつか質問させていただいてもいいですか?」
「よいぞ」
「龍神さまを育てのはフェンリルとのことでしたが、俺なんかとは戦闘力がちがすぎませんか?ケンカのひとつもしたことないですよ?」
「それもまた、旅をする中で乗り越える困難のひとつ。我が子とともに鍛錬をせよ」
「え。じゃあ何か特別なスキルや能力の補正などはなしですか・・?」
俺は、龍神の話を聞きながら、頭の片隅で異世界に召喚されたのだから、当然、何らかのチートスキルが手に入ると考えていたが、この考えは甘かった。
「ああ。今のお主の状態のまま。旅する世界へと送る。」
「異世界で、文化もちがければ、魔物がいる危険と隣り合わせの世界で、このままいっても生きていく自信がないのですが・・」
「もちろん最低限のことは考えてある。まず、スキルとして「鑑定」、そして、我が子の食料を蓄えるためのアイテムボックスを与えよう。では、そろそろ時間が来たようだ。我が子をよろしく頼むぞ、人間よ。」
「え、ちょっ、待ってください!まだききたいことがたく・・」
一方的に話を終わらされた俺はまぶしい光に視界が覆われ意識が遠のく中で、龍神の言葉が聞こえた
「我が子を一人前に早く育てるには、多くの経験とそして血となり肉となる食事だ。期待しておるぞ」
この言葉を聞き終えると俺の意識は完全に落ちていった。