下界
破ジマリ
水の流れる音 鳥のさえずり 風の微かに流れる音 今の彼には全てが耳障りだった
彼の身体は朝の訪れを拒むかのように重かった
いや、立ち上がる準備は出来ていた
だが彼の身体は頑ななまでにそれを拒んでいた
朝の日差しが痛い
木々の隙間から差し込んでくる
こんなにも不愉快で清々しさのかけらもない朝は初めてだ・・・
だが彼にはそんな己の我が儘を許す余裕は無かった。
『さてと』
彼はそう言うと無理やりやる気のない四肢を引きづるように立ち上がった
彼には頼る者たちはいない
いや、自らその道を選んだのだ
”全てを自分の目で確かめること”
それを臨んだのは自らの決断だった
『そうだね・・・そろそろ動き出さなきゃね・・・』
彼はそう言うと一度大きく深呼吸をし、両手を空に突き上げ少し固まった背を伸ばした。
『でもどうしようか・・・
良く考えてみればこちら側に降りたのは何年ぶりだったかな・・・
それにここはまた凄いところに落ちたものだね・・・』
彼はそう呟き周りを見渡した。
深い森
周りは生い茂る木々
静かな森に響き渡るほどに荒々しく流れ落ちる滝
まるで獰猛な獣のような威圧感をはなっている。
彼はそれらを興味深そうに見つめると少ししたらすぐに動き出した。
『とにかく今は急がないと・・・』
そう言うと少し歩みを速め森を進んでいった。
ーーーー
あれから三時間ほどだろうか。
少しずつだが森に光が差し込んできた気がする。
彼はさらに歩みを速め光の先へ向かった。
ーーーー
ーーーーその先に彼は見たのだったーーーー
この世界の理を。




