四章 序の弾
「我が儘を言うな!
こいつを生かしておけばきっと私たちに復讐してくる。
あんたに私たちは守れない。
だったら好きにさせて欲しいね。
どうせこんなクズ死んだっ……て……?」
一発の乾いた銃声が響き渡った。
鼻につく硝煙の香り。
煙の元はハンターの腕にもつ銃から伸びていた。
ハンターを縛り上げていたはずの縄は断ち切られてブーツの拍車に絡まっている。
「な!?」
「相手の武器はきちんと確認しないとダメだぜ」
ハンターは起き上がると、ブーツの底に開けられた銃の隠し場所を見せびらかした。
「へへへ。やっと自由になった」
ハンターは笑う。
クララはゆっくりと自分の腹部を見遣った。
衝撃のあとに温かい感触が肌を伝っていた。
ぐらりと体が傾ぐ。
「クララッ」
「動くなっ」
クララに近づこうとしたラファエルをハンターは銃で制する。
しかしラファエルはそれを無視してクララの元に駆け寄った。
エマが手に持った銃に力を込める。
ハンターは強い語気で一喝した。
「止めろ!
……お嬢さん、銃を捨てるんだ。
さもないと大事なもう一人のお友だちにも穴が開くぜ」
ハンターの銃口はラファエルを捉え、エマの銃はハンターを狙い、場は完全な膠着状態となった。
「クララ、クララ、大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ……」
クララはか細い声でそう言った。
明らかに虚勢だと分かった。
荒い息を吐いて、懸命に生をつなぎ止めようとしている。
「貴様、儂の商品をっ」
支配人が縛られたまま地団駄を踏んだ。
「円形劇場を出たら許可証も意味ありませんよ。
俺は危険な半獣人どもから善良な市民を守っているだけです」
「こいつらをどうするつもりだ?」
「どうって、殺す以外ないでしょうよ」
「そんなことは許さん」
「じいさん、あんたの許す許さないじゃないんだよ。
どうせサーカスも燃えてなくなっちまったんだ。
いい加減に諦めな」
ハンターは銃を構えたまま支配人を見もせずに笑い声を上げた。
支配人が足下に転がった自分の杖を懸命に足で取り上げようとするのがラファエルに見えた。
エマに気を取られてハンターには見ていない。
ラファエルはこれが膠着を破るきっかけになればと思った。




