四章 彼女たちの行方
■二
エマはハンターから銃をホルスターごと引き抜いて思念を探った。
「大丈夫、まだ誰も犠牲にはなってないわ」
ラファエルはほっと息をつく。
「マリアンヌさんの行方は?」
「待って」
突然現れたラファエルたちに支配人は騒ぎ立てる。
「おい、こんなところで何をしてるんだお前たち。
早く縄を解けっ」
暴れる支配人にラファエルは尋ねる。
「マリアンヌさんをどこに連れ去ったんですか?」
「お前たちまで、一体なんだ!
関係ないだろう!」
「いいわ。
私がやるから。
ちょっと黙らせていて」
エマの言葉を受けてクララが口輪を噛ませる。
「どうだい。
口輪をされた気分は?
なかなか屈辱的だろう?」
「んーっ。
んんーっ!」
エマは支配人のポケットに収まっていた懐中時計をヴィジョンした。
見えたのは顔の見えない全身真っ黒な衣装に身を固めた男だった。
マリアンヌを引き渡し、報酬を得ている。
「売り払ったのね。
黒装束の男はだれ?」
ラファエルが口輪を取り払う。
「このっ、こんな扱いをしおって無礼な!
覚えておれっ」
「いいから誰なんだ?」
「言うかっ!
誰が口にするものか」
「これ以上を知るためには黒装束の男の持ち物が必要だわ」
エマの言葉にクララはやれやれと首を振った。
「やっぱ拷問させときゃ良かった。
で、こっちはどうすんだよ?」
クララは縛りあげて地面に転がっているハンターを足でつついた。
「起こそう。
これ以上悪事を働かないよう説得しなきゃ」
ラファエルの発言にクララはどうやって、という顔をした。
「わからない」
どうすれば改心するのか、それはラファエルにもわからなかった。
けれどもこのままだとハンターに追われ続ける羽目になる。
それだけは止めなければならなかった。
これ以上、彼女たちを危険な目に遭わせたくない。




