表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
きっとまた会える-前編-  作者: 犬野開花
2/4

ヒカルとコハクの出会い

心を閉ざした少女、コハク。彼女はある公園で男の子集団にいじめられている。彼女は孤児だが、彼女の感情がないのには訳がある。

一方、男の子集団の中に、一人の男の子が彼女を救う手立てを考えていた。

彼の名前はヒカル。正義感の強い男の子だ。

感情を取り返すパートナー、ついに登場。

次の日、コハクはいつものように公園へと歩いた。

もう走る気力さえ無かった。

またいじめられる―そう思っただけで足が重くなった。

でもコハクはそこの公園が好きだった。

公園にはたくさんの木々が植わっている。

春には桜吹雪の下を両親と歩き、夏には新緑の葉の下で自然のおもちゃを作って遊んだ。

秋には紅葉している椛の下をお話しながら歩き、冬には、まだ青々と茂っている銀木犀のドームを屋根代わりにして雪が収まるまで待った。

たくさんの思い出が詰まった公園。

この公園では必ず両親が思い出せた。

そして決まったブランコ。

初めてブランコに乗った彼女は母に泣きついた。

『お母さ~ん怖いよ~!!』

ゆらゆら揺れる右から二番目のブランコ。

そのブランコはいつも風に揺れていた。

『フフフ。コハクは怖がりね。』

『大丈夫だコハク。お前、私が幽霊船を見た話聞かせただろう?それに比べれば、どうってことも無い。』

両親の励ましで、彼女はブランコに乗れるようになった。

「思い出のブランコ…」そう呟いたコハクの目の前にまた例の男の子達が立ちはだかった。時は少し遡る。

一方ヒカルは土曜の朝早くから電話で呼び出しを食らった。

彼らのガキ大将、加藤裕章からだ。

「おいお前、今すぐ美鈴公園へ来い。また例の幽霊女がいる。」

幽霊女とは、あのいつも公園に来ているこのコードネーム、すなわちガキ大将が付けた名前だ。

「いいか、五分で来いよ。そうじゃ無けりゃ…」電話越しにポキポキと言う音が聞こえた。

…言わなくても分かる。

そう答えるとすぐに支度した。

キッチリ五分で公園についたヒカルは当たりを見回す。

いた。

あの女の子だ。

そこにもうガキ大将とその子分がネチネチ悪口を言っている。

今度は逃がすまい、と輪になって出ないようにしている。

すると、一人が彼に気づき手招きしながら叫んだ。

「おーい、ヒカル!!お前もけなしてやれよ。コイツを。」

そう言うとそいつは少女をブランコから蹴り落とした。

ヒカルは初めっから正義感が強い少年だ。でもこの時にはついに彼は切れた。

何で気楽に人間を蹴れるんだ?

「オイッ!!やめろよ!嫌がってんだろ!?もうそこ退け!!そして二度と近づくな。」

口が勝手に動き、スラスラと言葉が出る。

「ああん?てめえやるのか!?」

ガキ大将がパンチを繰り出した。

この時も勝手に体が動いた。

パンチを反射的に交わし、フワリと相手の手を掴み、自分の後ろへと振る。

まるで舞っているように繊細で、軽やかに戦い、ガキ大将と名の知れる奴をヒカルは無人の公園で気絶させたのだ。

彼は少女と向き直る形で戦っていたが、すぐにガキ大将に向き直り、言い放った

「もう二度と近づくな、分かったな?」

そう言うと部下達はいそいそと彼を運んで行った。

フゥ、と息を着いた男の子にコハクはゆっくりと近づいて行った。

そして肩に触れると小さな声で

「ありがとう。守ってくれて。」

と呟いた。

すると、ビックリした様に彼がコハクを見上げた。

それも一瞬だった。

彼はゆっくりと笑って言った

「いいんだよ。こちらこそゴメン。ビックリさせちゃったし、今まで何もしなかったんだから。」

コハクは急いで首を振った。

そして小さな声でもういいの、と呟いた。

そしてわずかだが笑ったのを見て、少年は聞いた。

「僕はヒカル。君はなんて名前で、なんで両親がいないの?ちょっと押し付けがましいけど…。」

ヒカル…優しい名前。

そう思いながらコハクは考え込んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ