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きっとまた会える-前編-  作者: 犬野開花
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あの日から始まった

コハクは心を閉ざした少女。当たりからは気持ち悪い、と判断され、いじめられるが、それには深い訳があって…!?

風が冷たい。

春とは思えない寒さだ。

そう思いながら少女はブランコに腰を下ろした。

せいぜい2,3年生の幼い少女は、腰を下ろしたまま、この寒さでも笑いながら遊んでいる子供たちを目で追っている。

するとすぐそこに居た男の子達、彼らは4,5年生ころだろう、が彼女が座っているブランコの側まで来て叫ぶように言った「おい、またこいつ来てるぞ!!いい加減ブランコを占領するの辞めねぇかな!!」

一人がそう叫んだ後、少女をブランコから蹴り落とした。

「....ヤメッ…」か細い声で彼女が嫌がる。

「おいおい、こいつ親を呼ぶぞ。ああそうだった。こいつ親いねえんだよな。」もう一人が叫ぶ。

悔しそうに歯噛みする少女。でもくるっと背を向けると走り出した。

「おうおう、怖くなって逃げちゃうよ。」

後から冷やかしの雨が彼女を追う。彼女は泣かない。決して泣くもんか、と思っていた。

トコトン冷やかした後、男の子達はそれぞれ家路についた。

その中で一人、何も言わなかった子が一人いた。

彼はいつも彼女、少女を助けたいと思っている少年だ。彼だけはいじめる事に罪悪感を持っていた。

彼は自分の半分の背丈しかない庭の生垣をソっと通った。

そして家の門をくぐり、家の中に入っていく。横にはインターホンと名前が刻まれている。

『野花ヒカル』彼の両親は少年の事を大切に思ってはいなかった。だから、世間に、外に向けて息子の名前を見せているのだった。

しかし少年は自分の両親の真の顔、を知っていた。

一方少女も家についていた。

彼女は小さな家、それに古びた名札しかかかっていない。

その名札には『美波コハク』と掘られている。

コハクというのは名前だが、今では知る人もいない。

コハクは古びて腐りかけの家の中に入りながら、今では亡き父、母を思い出していた。     

        ***

まだこのいじめれる毎日が始まる前、コハクはまだ1年生だった。

その頃から毎晩冒険家である父から聞く冒険話を楽しみにしながら家に帰ってくると、誰もいない。

『お父ちゃん?お母ちゃん?』

いつもはコハクが帰る時間には帰ってくる両親だが、もしかすると今日は仕事が遅れたのかもしれない。

そう考えながら、小腹をすかせたので、冷蔵庫から食料を少しあさる。

何か食べながら待っていたらきっと帰ってくるだろう。

でも一時間以上経っても両親は帰ってこない。

コハクはもう少し待っていたら、と少し本を読みながら待っていた。

でも家にあるすべての本を読み尽くし、夜になっても両親は帰ってこない。

コハクは不安になって、家の家具を調べてみた。

すると、一枚の封筒が入っている引き出しを見つけた。

震える指でそれを開く。そして中に書かれている内容を読んで…コハクは膝をついて泣いた。

その内容は以下のようだった:

『コハクへ。

今、あなたがこれをよんでいる時には、私達はそこにはいなくて、あなたがふあんにおもったときでしょう。

私は今日、かなしいことをききました。

それはおとうさんが死でしまったのです。

わたしは今からちがうところへ行って、私じしん、死んでしまおうと思います。

あなたが一人になるのは不安だけれども、このふうとうの中にはお金と、ぎんこうのばんごうがかいてあります。

これをつかってあなたは生きてください。

ではさようなら

お母さんより』

        ***   

そしてその日、テレビを付けたコハクはあるニュースによってそれが真実だと知った。

コハクは泣いた。本当に泣いた。

その時、母の言葉を思い出す。

『コハク、泣いちゃいけないよ。あなたは笑っている方が可愛いよ...。』

その日からコハクは泣かなくなった。その日から感情がなくなった。そして、いつしか金もなくなり、

学校に通えなくなった。そして大きくなった今、誰も彼女がその頃のコハクだとは思わないだろう。彼女はやせ細り、ボロボロで、もう心を閉ざした娘になってしまったのだから。



こんにちは~犬野開花でーす!!

今回刃時間に余裕ができたんで、少し長めにしてみました。

でもこの話、はじめ酷いですよね。これからはもう少しソフトな、温かい感じで作っていきたいと思いますので、少しお付き合いください。

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