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第2話:一時の休息と日常

「で、どうしてこんな夜遅くに。あんな危険な森にいたんだい?」

「そ、それは」

今俺はテーブルを挟んで女の子と向き合って事情を聞いている。

しかし、どうも言いよどんで答えてはくれそうにない。

俺はすぐに聞くことでもないと考え直し別の話題を持ち出すことにする。


「まぁ、まずは自己紹介からだね。俺はマサキ、この森に暮らしている魔法使いだ」

「わ、私はマーチ村のキャロットって言います」

「よろしくキャロットちゃん。とりあえず今日は泊まっていくかい」

「えっとその…」


まだ迷っている様子のキャロットちゃんだったが突然その小さなお腹から空腹を叫ぶ声が上がった。


「――――――!?」

「とりあえず夕食でも作るよたくさん走ってお腹すいてるみたいだし」


キャロットちゃんは赤くなりながらも素直にうなずいた。

それを確認して台所へ向かう。


「嫌いなものある?」

「えっと…苦い野菜は、すこし」

「了解、なら重くならない程度にお肉中心に作るよ」


確かまだ猪っぽいのや熊っぽい奴の肉が残ってたはずだ、氷魔法で冷凍したやつが。

杖を一振りして火を起こしフライパンを暖める。

同時に水魔法で野菜を洗っていく。

キャロットちゃんは不思議そうにこっちを見ていたので少し派手に演出しようかとも思ったが……いやな予感がしたので止めといた。


「これも、魔法なんですか?」

「そうだよ、と言っても普通はこんな贅沢に魔法を使うものじゃないけどね」


今回は大目に見てほしい、なにせ普段は一人分の所を二人分だ。

しかも、その内の一人はもう我慢できないみたいだし。


「そろそろかな」


フライパンの熱を確かめて、魔法で解凍したお肉を入れていく。


「ふむ、そろそろお肉切れそうだな明日にでも狩に行かないと」


野菜はもうしばらくすれば家庭菜園から新鮮なのが取れるだろうし、心配はないな。

予定外の客で壊れた予定を再び一から考えている間に半自動的に料理は進んでいく。

気がつけば既に9割ほど調理が済んでいた。


「これは……さすがに手料理とは呼べないな」


苦笑しつつも、盛り付けたソレを魔法で運んでいく。

本当に浮遊系の魔法は便利だな、繊細な魔力のコントロールが必要だが練習すればこんなに便利な物はない。


「さぁ召し上がれ」

「い、いただきます」


夕食と言っても焼いたお肉と野菜のスープ、そしてパンといった質素な物だ。

ただ、味だけは保障できる。

この30日の間に飽きない3食を食べるために結構頑張ったからな。

9割魔法のおかげだけど。


「あ、普通においしい」

「そりゃ、魔法を使っているとはいえ調理法や材料は普通だからね」


最初は恐る恐るだったキャロットちゃんも一口食べてから普通に食べ始める。

どれくらい走ったのかは分からないがかなりお腹が空いてたのだろう。

食べ盛りな年齢だしもしかしたら足りないかな、デザートの用意もしておくべきだろうか?

そんな事を考えていたのだが、どうやら満足してくれたようだ。


「ありがとうござました、おいしかったです」

「どういたしまして」


食器の片付けは自動化した魔法にまかせて、俺はキャロットに家を案内する。

案内といっても小さな小屋みたいなものなので紹介するのも二部屋だけだが。


「ここが俺の寝室、まぁ本棚とベットしかないけど」

「……本当ですね」

「もう一部屋もそんな感じ、元々師匠の部屋だったんだけど数年前に亡くなってね」

「お師匠さん?」

「そう、俺に魔法を教えてくれた人。さて、どっちの部屋で寝たい?」

「…え?」

「悪いけど、客室なんて無くてね。人が寝れるのはこの二部屋だけなんだ…」


情けないが、魔法で作るにも限界がある。

できるのはせいぜい硬いベットモドキだ。


「そ…それじゃあお師匠さんの部屋を使わせてもらいます…」


流石に死んだ人の部屋を使うのは多少抵抗があるようだ。


「了解、とりあえず寝る前にお風呂でも入る?」

「有るんですか!」

「もちろん。まぁ、簡素な作りで外にある上。案の定魔法に頼りきってるけど」


やっぱり日本人ならお風呂には入りたいからね!

こっちに来て初日で頑張って作った。

本当、試行錯誤で半日近く使うことになるとは。


「服は近くの籠に置いといてくれ、破れた部分も含めて綺麗にしとくから」

「魔法で?」

「そう、魔法で」


中級魔法の浄化系統と修復系統を重ねがけすれば大抵の汚れは落とせる。

まぁ、本当は浄化系統は毒物などを清め修復系統は武器などの傷みを修復するための物なのだが。

本当、贅沢な使い方だよな。

そんな事を考えながらも外に有る簡易風呂に案内する。

魔法で凹ませ石を敷いた場所にお湯を溜めただけの物だが。


「ここですか?」

「そう、少し待っててくれすぐにお湯を用意する」


魔法で温めておいた貯水の水を流し込む。

貯水と言っても魔法で出した物を溜めているだけだが。

ちなみに流し込む方法は簡単、遮っている板を魔法で浮かすだけだ。


「すごい…」

「じゃ、俺は家の中に居るから。悪いけど女の子の寝巻きや服は無いから綺麗にしたその服を着回してくれ」


ちなみに、籠に入れられた服は俺が頃合を見て魔法で回収して綺麗にする。

視界を遮る結界なども有るのだが、生憎とその手の隠蔽魔法は使用者には効果が無いんだよな。


「さて、それよりもこれからどうするのか考えないとな」


綺麗にした服を元の場所に戻し、俺はこれからの事を考える。

キャロットちゃんを一人置いて旅に出る訳にもいかないし、かと言って一緒に連れて行くのも酷だろう。

やっぱり元の家に帰ってもらうのが一番いい…はずだ。


「何にしても、今日はゆっくり休ませてあげよう。安眠に使えそうな魔法あったかな?」


そんな事を考えているとキャロットちゃんが帰ってきた。


「お帰り、今日は疲れたはずだから早めに寝るといい」

「……はい」


うーん、やっぱりまだ暗いな。

なるべく明るく接したつもりなんだが。

やっぱりあの獣に襲われた恐怖が残ってるのだろうか、それとも急激に変わる状況に混乱しているのだろうか。

兎に角、なにか冗談でも言った方が良いだろう。

そう思った俺は少しからかう様な笑みを浮かべて冗談を言った。


「何だ、もしかして一人じゃ寝れないから一緒に寝てほしいのか?」


個人的には、顔を真っ赤にして怒るか。

からかわれたのを怒るかすると思ったのだが…。


「……いいんですか?」


と、すがる様な目で見つめ返されてしまった。

自分から言い出したため俺も引くに引けず。


「う、うん」


俺は自分の冗談に後悔しながらもうなずくしかなった。


「どうしてこうなった…」


隣から少し高い体温を感じながら思わず呟いてしまった。

まだまだ子供とはいえ女の子耐性0の俺にはいささか酷な状況だ。


「今からでも隣の部屋に行ってもらおうか、むしろ俺が抜け出すか…」


そう思いキャロットちゃんの方を見ると……無防備ながら安心しきった寝顔をしていた。

それでもしっかり俺の服を握っているキャロットちゃんに苦笑し、空いてる手で頭をなでる。


「……仕方ない、我慢するか」


不思議な物で、そう割り切ったとたんに睡魔がゆるりと近づいて来る。

俺は抵抗することなく、ゆっくりと眠りに落ちていった。

キャラ紹介。


霧ヶ丘マサキ

ステイタス(MAXは10で平均は5)

筋力1

体力2

知力7

魔力∞(測定不能)

好きなもの

自然、危険の無い動物、お風呂、笑顔

嫌いなもの

殺意、不味い食事、理不尽

苦手なもの

シリアス、運動全般、神様

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