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カウンター 骸骨戦士

 霧が晴れるとそこには、

「骸骨?」

 姿は人骨で4本の腕にそれぞれ大剣を持っている。

 大剣の重量は両手剣より重く威力もさらに高い。

 大剣を使えるのはボスモンスターのみで、俺たちプレイヤーは使えない。

 もしかしたら隠しスキルで使えるのかもしれないが、残念ながらその方法を俺たちはまだ知らない。

 けど、使えても重くて使いこなせる自信はなかった。

「おいおい、あんなのと戦うのかよ」

「怖いなら逃げていいんだぜ?」

「せっかくパーティに入れてもらったんだ。逃げてたまるかって」

 歯をわざとらしく見せて笑っている。

「行くぞ!」

 俺の合図で2人が後ろに続いた。

 骸骨戦士は俺たちに気付くと、地面をけり俺たちに向けて4本の剣を振り上げる。

 それを見た俺たちは余裕を持って、左右の散らばりかわす。

 着地したとき、一番近くにいた由美が、腕の1本に連続できりかかる。

 俺も由美に続き骸骨戦士に切りつけ、上谷は叩きつける。

 振り向くときに、俺たちは骸骨戦士との距離をとる。

 どうやら攻撃した後に少しの硬直時間があるようだ。

 真正面でモンスターと戦うのは死ぬ危険性が増す。

 骸骨戦士は俺たちが攻撃する前に2本の腕を体の前に残りの2本を体の後ろに縦にかまえた。

 これでは、うかつに近付けない

 きりかかっても1本の剣で受け止められ残りの剣で串刺しにされる。

 3人で同時にかかっても3本で受け止められ、1人がダメージを受けてしまう。

「様子を見よう」

 骸骨戦士が構えをとく様子を見せない。

 しびれを切らした上谷が、骸骨戦士にハンマーを頭上に振り上げ走っていく。

「待てっ!上谷!」

 俺の制止も聞かずに上谷はハンマーを振り下ろす。

 それを2本の剣で受け止められ残りの2本で串刺しにされ腹と胸から大量の血が、骸骨戦士に降りかかる。

 俺は一瞬吐き気を覚えた。

「上谷!」

「グッ。2人とも今のうちだ!」

 上谷が叫んだ。

 俺は上谷がなぜ無謀に突撃したのかを悟り、骸骨戦士に向かって走る。

「うおおおおおお!」

 俺は、骸骨戦士の頭にきりかかる。

 ズシャ

 骨が少し欠けた

 このまま切り続ければ!

 だが骸骨戦士も、むざむざ攻撃を受けてくれるほどバカではない

 俺が3回目切りかかってすぐに骸骨戦士の剣が俺に振り下ろされるのがわかった。

「しまっ」

 ザシュッ

「ぐわあああ!」

 俺の右肩から焼けるように熱くなり、血が噴き出す。

「勇気君!」

 由美が俺の近くに走ってきた。

「ばか・・・来るな」

「え?」

 骸骨戦士の照準が由美に変わった。

「やめろおおおおおおおお!」

「きゃあ!」

 骸骨戦士の付きが由美の腹に深々と突き刺さった。

 もう1つの剣が高く振り上げられる。

「くそっ!」

 痛みをこらえる。

 俺は地面に落ちていた由美の片手剣を左手で持つ。

 右手は動かない。

「うおおおおおお!」

 骸骨戦士にきりかかる。

 1発、2発3発と。

 由美は地面に倒れている。

 俺は骸骨戦士の2本の剣を、はじきながら切る!

 時間が永遠に感じられた。

 1秒が途方もないほど長く感じる。

「ハァハァ」

 俺は渾身の一撃を放った。

「はあああああああああああああああ!」

 ガシャン

 骸骨戦士の頭蓋骨が、ついに壊れた。

 骸骨戦士は地面に倒れ音もなく消える。

 上谷に突き刺さっている剣が消えると、同時に上谷から大量の血があふれだした。

 俺が戦っているとき、上谷は骸骨戦士の腕をつかみ自らの体に突き刺したままにしていたようだ。

 由美は地面に横たわって痛いよとつぶやいている。

 出血はひどいものの命に別条はないだろう。

 だが上谷は、もう無理だろう。

「どっちがいい?」

「どっち・・・って?」

「1人がいいか? 最後までいてやろうか?」

「1人で…旅立ち・・・たいな」

 俺は上谷の頼みをきき由美を担いで洞窟を出た

「上谷君・・・」

 由美が泣いている。

 励ましの言葉をかけてやるべきなんだろうが・・・今の俺には思いつかない。

 ただ俺は上谷が眠る洞窟に向かって。

「ありがとう」

 と感謝の言葉を告げ家に戻る。

 由美は次の日すっかり元通りに戻っていた。

 ただ、怪我はまだふさがっていないようだ。

 俺もまだ右肩を動かせないでいる。

 パシン!

「いって!」

「ふふ」

「人が痛がっているのに、笑うな」

「だって最近料理作らせてくれないから」

「おまえも大量の血を流したんだ。しばらくは安静にしとけ」

「心配してくれてるの?」

「そうだ」

 あの時俺が骸骨戦士と戦っていたとき由美は意識がもうろうとしていたらしい。

 どうやら由美が怪我したことで、怒ったことは知らないようだ。


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