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ソモの招待

意識を失ってどれほど時間がたったのだろう

突然俺の全身に冷たい風が走った

俺は体を起こしあたりを見渡す

そこは、俺の部屋ではなかった

よく見るとゲームにある村に似ている

殺風景な場所に家が何十件と立ててある

村?俺は確か、自分の部屋でソウルプレイヤーズをやっていたはず・・・

まさかゲームの世界?

そんなことが本当にできるなんてそれが本当なら俺はこう断言する

魔法だと

俺は体を動かしてみる

操作では無理だった細かな動きまでできる

ジャンプや手を背中に当てるなど

俺は、この姿がアバターなのか確認するため、店にあるガラスで自分の姿を確認する

青色の髪に緑色の目

白と黒のカッターシャツにジーパン

俺が部屋にいたときと同じ服装だ

「どうなってやがる・・・」

周りを見ると同じように確認する人たちが半分ぐらいいる

これじゃぁソモ探すなんてできないんじゃないか?

建物などの細かな部分も、本物と間違えるほどそっくりにできている

「カイくーん、どこにいるのー?」

いろいろ考えていると、叫びながら俺のことを探している少女が、道具屋の前にいる

「カーイくーん」

俺は無視しようと考えたが、この世界で遊ぶなら、知っている?まぁネットの中でもフレンドの奴が1人でもいたら、緊張感は少し減るだろうと考えその少女に近寄って行った

近寄ると顔がはっきりわかるようになった

「おーい、君がソモか?」

俺が声をかけると

「うん・・・」

少女が返事をしながらカイのいる方向を見る

ソモはカイの顔をじろじろ見始めた

「なんだよ」

俺も同じように、じろじろ見返す

どっかで見た顔だ

そしてかわいい

「・・・もしかして、秋葉勇気君?」

秋葉勇気、俺の本名だ

俺の知り合い?

顔をじろじろ見ていた俺に気付いたソモが、はずかしそうに顔を赤らめた

「・・・クラスメイトの草野由美だよ・・・覚えてない?」

草野由美草野由美・・・

「おもいだしたー!」

由美がうれしそうな顔をする

「お子様で、泣き虫で小さくて授業邪魔しまくる草野由美だ」

うれしそうな顔から泣きそうな顔に急変する

「うう、お子様で泣き虫で小さくて授業邪魔しまくる草野由美ですよーだ」

仕返しにとばかりに、由美も勇気のだめなポイントを指を突き立てながら、指摘し始めた

「で、でも勇気君だって授業中寝てばっかしで、当てられても寝てて授業を遅らせてるじゃない!」

「う、それいわれると反論できない」

由美が得意げな顔をする

「得意げな顔しても、お前も駄目なとこ多いぞ?」

「女の子いじめるなんて、最低だよ・・・もしかして勇気君ってそういう人なの?」

このままだと、確実に勘違いされるかもしれない・・・ここは無理やり話題をそらす

「それより、他のクラスメイトもいるのか?」

「うーん・・・でもこのゲーム発売して1年たつから、あまりいないと思うよ?」

あたりを見渡すが知り合いは1人も見つからなかった

「俺、帰ろうかな」

「えー勇気くんも、一緒に遊ぼうよー」

突然男性が大声をあげた

「誰か―!ゲームを終了する方法知らないかー!?」

ゲームの終了?そんなの右上の×ボタンを・・・

右上の×ボタン?ボタン?そんなものどこにあるんだ?

右上を向いてもなにも出てこない

「設計ミスか?」

ゲームが終了できないんだったらどうなるんだろうなと考えるがその時の流れに任せることにした

「じゃあさぁ、いーぱい遊べるねー」

こんなときに笑ってられるなんて、どこまで能天気なんだ

こんな奴がクラスにいたのにあまり覚えていない俺もどうかしてるけどな

「おまえなぁ、このままゲームを終了できないかもしれないってことも考えとけよ」

「え?そうなったら・・・」

顔が赤くなりもじもじし始める由美

「勇気くんと暮らすよ・・・」

あまりにも小さかったので、俺は聞き取れなかった

「なんて言ったんだ?」

「・・・もう言わない!」

俺怒らせたのか?

そのまま由美は不機嫌になり、俺が話しかけても無視された

『サポートセンターからのお知らせです』

運営がプレイヤーにメッセージを送るときの声が聞こえる

『ソウルプレイヤーズをあそんでいただきありがとうございます。この声を聞いている皆さんはゲームに入った人だと思われます。設計ミスによりゲーム終了ボタンなどがこのゲーム内では使えなくなっております。テストのときはクリアをしたら出れましたので、みなさんゲームクリアをがんばってください。なお注意書きにもありました通り、このゲーム内で死ねば二度と現実に戻れません。あとクリア条件は、各大陸にいるボスをすべて倒すことです。なおスタート地点は、10ある大陸からランダムで、選ばれているので、フレンドの人と会うことができるかは、運次第となっています。みなさんの健闘を祈っています』

それで、サポートコールは終了した

俺は頭の中で今の放送をもう一度思い出していた

設計ミス、あってもおかしくないが何でなおさないんだ?

ゲームクリアで出れる?それはクリアしたパーティだけか?

疑問が増えても消えることはなかった

今わかることは、死ねないこと

クリアしないといけないこと

「ふざけんな!」

「早く治せ!」

村にいた大半の人間が、罵倒し始める

そんなことしても、意味ないっていうのに、まぁその気持ちはわかるけど

「はぁ、デスゲームか・・・」

俺は由美に今後どうするか尋ねようとしたが

「なんか。面白そうだねー」

ものすごく楽しそうな顔だ

俺はあきれることしかできなかった

この状況を楽しいと思える人間などそういるとは思えない

テストプレイのとき終了をなぜ試さなかったんだろうな

テスト?テスト・・・テスト

「あー!」

俺は現実世界でのことを思い出し大声を出してしまった

「ど、どうしたの?勇気君」

「明日テストだ」

「え?」

由美の顔が驚いている顔になる

テストのことを知らなかったのか?

「勇気君が・・・テストを受けるの?」

こいつ何言ってるんだ?

俺が学校では寝てばかりだからテストを受けないと勘違いしているのか?

「あのなぁ、俺だって家で勉強はしてるって」

「へー、じゃぁさ今度勉強教えてよ」

「頭悪いのか?」

由美は口をとがらせる

「ち、違うよ!ただ他の人より勉強できなくて、授業が分からないだけだよ」

思わずため息がでてしまった

「それを頭が悪いって世間は言うんだ」

「う、いいもん。頭が悪くても」

こいついじるの、面白いかもな

そういえば、ここゲームの中なんだよな

俺たちの家・・・ないなよな

「由美、金持ってるか?」

急にそんなことを聞かれびっくりした表情をする

「か、かつあげ!?」

その言葉で周りにいた人が俺を睨んできた

「ば、人がいるときにそういうこと言うな!」

由美も困り顔だったけど、俺のほうが困ることになりそうだ

「そうだけど。急に金あるか?なんて聞いてくるから」

「宿だよ、宿」

「宿?」

何のことか、わからなさそうに首をかしげている

「野宿をしたいのか?」

「あーそういうこと。先に言ってほしいよ」

文句を言いながらピンクのワンピースの中に手を入れごそごそ動かし始める

「・・・なにしてるんだ?」

「かばんを・・・うんしょ・・・とれた!」

ワンピースの中からかばんを取り出した

「・・・」

「どうしたの?」

「いや、さっきの行動、なにも知らない人が見たらあれだな・・・それより何でかばんを持っていたんだ?」

財布がなかったのか、残念そうにしている由美に聞く

「遊びに行って、帰ってきたらすぐこのゲームを始めたんだよー」

「・・・」

女子でもそんなことする奴がいるもんなんだな

「金がないとなると、モンスターを狩るか?」

「・・・今気づいたのだけど、命賭けってことだよね?」

今気づいたって・・・

俺はてっきり気づいていて楽しそうにしているんだと思った

もしそうならすごいけどな

「そりゃぁな・・・怖いか?」

うなずく

「勇気君は?」

俺だってそりゃあ怖い

でも、俺も怖がってるって知ったらこいつは、もっと怖がるかもしれないな

「怖いのはお子様だけだな」

「ぶー」

頬を膨らませている

っと、いつまでも話ばかりしていると日が暮れてしまう

「じゃぁ、村の外に出るか」

「モンスター見れるかな?」

さっきまで怖がっていたのに、楽しそうにしてやがる

怖がらせるか?

「そりゃあな。でも由美は背が低いから、最初に狙われるかもな」

狙い通り涙目になった

それをみて俺は笑い

「冗談だって、こんなんでなくなんてお子様だな」

「勇気君のいじわる」

でも、パーティである俺と由美のどっちを狙ってくるか俺には分からない

村から出て数歩歩くと

「キャアッ!」

突然大きな地震が起きたと思うと世界が真っ暗になった

なにが起きたんだ?

色が戻ると、さっきとは違う場所にいた

そこにはイノシシの様な姿をしたモンスターがいた

そのモンスターは、動く気配を見せない

『バトルの説明を開始しますか?』

説明って・・・ただ倒すだけだろ?

「一応しとこうよ」

さすがは由美、この状態になにも違和感がないようだ

「そうだな」

俺たちはバトルの説明を始めた

開始すると片手剣が腰に突然現れた

『その武器でモンスターを倒してください。モンスターは十秒後に動きます』説明は終了した

俺は片手剣を構えた

片手剣俺が愛用していた武器だ

「確か由美は・・・もしかして!?」

由美のほうを見ると、予想どおり、背中に両手剣が現れ、後ろにひっくり返っていた

「助けて―!食べられちゃうよー!」

俺は由美の両手剣を引き抜いた

「重かったー」

汗もかいていないのに額に手を当てている

そうこうしているうちに十秒たってモンスターが動き始めた

俺は由美に両手剣をなげた

「行くぞ!」

と声をかけ、モ剣を構えて走った

モンスターは俺に向かって突進してきた

突進が当たる数秒前に横に動き、通り過ぎるところを縦に横にと2回切ったが、倒れなかった

偶然由美の姿が目に入ってしまい、思わず笑ってしまった

さっきは剣が下敷きになっていたが、今度は由美が下敷きとなっていた

モンスターが由美に突進しては大変だと思いモンスターを後ろから串刺しにした

この一撃で何とか倒すことができた

モンスターが消えると同時に俺たちは、さっきいた場所に戻っていた

すると、俺のズボンのポケットと、由美のかばんの中から音が鳴った

取り出してみると、経験値と硬化を獲得しましたと書いていた

「なんだ?これ」

戦闘が終わったのに気づいた由美が重いよーと助けを求めてきたので助けてやった

「うー、つぶされるとこだよ。そうだ、交換しようよ」

地面に置いたままの両手剣を指差しながら頼みに来た

まぁこの小さな体で自分と同じサイズの武器を持てないだろうと俺も最初から思っていたので交換することにした

「う、やっぱり結構重たいな」

由美から剣をどかすときも重かったけど、背中に背負うとなお重い

「とりあえず金は手に入ったな」

ポケットの中に入っていた、スマホみたいなものに、表示された硬貨を見ながらつぶやいた

どうやらパーティだと戦闘に参加したにかかわらず、経験値と硬貨が半分ずつにされるらしい

宿に泊まれたのはいいけど同じ部屋に泊まることになってしまった

中学1年生が男女で2人泊まるって

「由美はいいのか?同じ部屋で」

「うん。なんで?」

「いや、何でもない」

料理を作っている由美に聞いてみた

まずい料理がでてこないことを祈るだけだ

俺の予想だとこういうキャラは、とんでもなくまずい作るのだろう

料理が並べられ、俺は一口食べてみた

とてもうまい

「俺、こんなうまいの、初めて食べたかも・・・」

気づけば俺の食べる分はすべて食べ終わっていた

「そ、そう?」

うれしそうな顔だった

「家でも普段料理しているのか?」

「うん。趣味でよく作るの」

「へー、これからも頼むな」

「うん。毎日作ってあげるよ」

由美の顔は、笑っていた

趣味で料理ができるのがうれしいのか、人に食べてもらえるのがうれしいのか、どっちかは、わからなかった

でも、毎日こんな料理が食べられるなら俺もうれしい

知らないうちにニタニタ笑っていたのか、由美に気持悪いよと指摘された



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