幼馴染みとの何気ない日常
幼馴染みの王子、フランの登場です。
セシルが生まれてから7年。リリアの願いの通り、セシルは病に伏せることなく元気に育った。
初の子供を授かったリリアとクラヴィスはそりゃあ甘やかした。特にクラヴィスの溺愛ぶりは凄かった。かつての戦神クラヴィスを知っている部下が仰天するほどの親バカっぷりであった。まあリリアは親バカになるほどではなかったのでセシルは真面目な性格に育ったのだが・・・・・・
午前7時、カーテンの隙間から差し込む日差しと小鳥のさえずりでセシルは目を覚ます。むくりと起き半目の眠気の抜けきっていないボーッとした寝ぼけ顔が可愛らしい。
「・・・・・・・・・・・眩しい」
眠気が抜けきっていないため頭も回らない。とりあえず顔を洗おうと、ベッドからおりて洗面所のドアを開ける。
ジャー、バシャバシャバシャッ。
冷たい水で完璧に眠気を吹き飛ばす。すると先程までの寝ぼけ顔がシャキッとした。続いて寝巻きから普段着に着替え寝室のカーテンを勢いよく開く。カーテンに遮られていた日の光に薄暗い部屋が明るくなる。
「ううん。セシル、カーテン閉めてくれよ、眩しい」
一挙に入ってきた日の光に、もうひとりの同居?人も目を覚ます。セシルが生まれる数ヶ月前に生まれたフラン王子である。セシルが生まれてから、二人はいつも一緒だった。寝るときでさえ離れなかったので、二人の両親は二人を一緒の部屋で過ごさせた。『男女七歳にして同衾せず』というがこのふたりは7歳になっても離れない。
セシルはため息をつきつつ、その人物を包んでいる布団を引っ張る。しかし相手も布団を剥がれまいと力を込めているようで、なかなか取れない。
「もう七時だよフラン、起きて」
しかしフランは全く起きない。致し方なしとセシルは一旦手を離し、今度は力いっぱい引っ張った
「うわぁっ眩しい! カーテン閉めてくれ!!」
フランは手で目を覆い隠し、ベッドの上をゴロゴロと転げまわる。その様はまるで・・・・・・・・・
「吸血鬼かあんたは!?」
セシルのツッコミに
「誰が吸血鬼だ!!」
日の光を見てあのリアクションをするのは吸血鬼以外に何があるというのだろうか
「日の光に対するリアクションが吸血鬼そのものじゃない。早く起きて、朝食に遅れるよ」
セシルの言葉にフランはハッとしてセシルに問う。
「セシル、今何時だ?」
「7時15分てところかな?」
「やべぇっ後15分しかねぇじゃん!!」
急いで支度を整えるフランを見て、セシルはため息をついた。
セシルとフランの一日は大体こうだ。
セシルとフランそして二人の両親と朝食をとり、午前中は殆ど勉強になる。勉強は主に経営学 帝王学 数学 魔術 文学 歴史 医学 剣術 槍術 格闘術である。
一日に五つの学問を学び、午前中に三つ、午後に二つだ。午前中は一学問終わるたびに30分の休憩が与えられ、午後の二つを終えると残りは自由時間となる。
「今回のテスト、セシル様100点 フラン様98点でございます。お二方よくがんばりました」
「負けたぁ~!」
机に撃沈するフランに対し
「ふふん、これで38戦38勝ね」
セシルは仁王立ちしてフランを見下ろす。
「ペーパーテストはな! 実技じゃ38戦38敗じゃねぇか!」
「うるさいなぁ!今日こそ勝つんだから、そうしたら文武ともにあなたはわたしの下だよ!」
「はんっ武術じゃ負けねぇから安心しな!」
そして午後
激戦を繰り広げた結果、フランに軍配があがった。
「俺の勝ちだセシル!」
「なんで勝てないの~~っ!?」
夜7時、夕食。この時間にふたりは勉強や遊びを通じて発見したこと、今日の戦績や面白かったことを両親に報告する。ナディア フリス リリア クラヴィスはそれを微笑ましく聞く。
「父上!今日もまたセレスに勝ったんだぜ!?」
自慢げに話すフランにセレスが補足する
「武術ではね! ペーパーテストじゃ今日もわたしの勝ちじゃない、明日こそは勝つんだから!」
「俺を倒せるもんなら倒してみな!」
「ペーパーテストについてはその言葉そっくり返すわ。それに武術も油断しなきゃ勝てたの!」
夜8時30分、入浴。お湯で温まったり息止め勝負をする。
夜9時、就寝。
こうして二人の勝負ばかりの一日が終わるのである。
はい、と言う事でセレスとフランの何気ない一日でした。
というかただの一日のスケジュールですね。
次話ではまたまた新キャラ登場します。お楽しみに