第7話 1年2組の非日常生活集
入学してから夏休みが始まるまでの一学期の間の、1年2組でのエピです☆
1年2組が非日常生活に思えてきたのは、この日からと決まってた訳じゃないはず。いつの間にかだった。でも、原因は、前回でも書いたように大原先生だったのは確か。
あまりよく覚えていないが、こんなことがあった。
4月末。委員長など係りが決まって、活動に慣れ始めていたころだった。ある日の朝、委員長である関さんと、クラス一番の長身・惇一が、取っ組み合いをしていた。取っ組み合いというよりは、弱い者いじめだった。惇一は、長身で、でも細身だったが、とにかく力強くて、喧嘩っ早かった。
関さんはその逆で、割と小さく、弱気で心優しい感じだった。だから、惇一は気に食わなかったのかもしれない。
「おい関。お前委員長だろ!?もっとしっかりしろよ!」
まではまだよかった。が、
「俺の宿題なんで終わってねぇンだよ!委員長なんだからちゃんと終わらせろって!」
なんて、理不尽なこと言い出した。
「で、でも俺も分が終わってなくて・・・・」
「あ゛?なに調子のったこと言ってやがんだよ!?」
ということで、惇一が殴りかかったわけだ。クラス中は大騒ぎ。”やめなって惇一!”というものもいたが”やれー惇一!”というものが多かった。職員会議が終わった大原先生が駆けつけて、
「惇一、関拓何やってるの!?」
と、止めようとしたが、
「うるせぇ、大原!!」
と、惇一が大原先生を突き飛ばした。大原先生も女だから惇一には敵わなかったんだと思う。あっけなく床に転んでしまった。その間抜け面に惇一は思わずフッと鼻笑い。でもその後惇一は関さんを離した。
「次はちゃんとやっとけよ、関。」
朝学活が始まる前に惇一は仲間に向かって
「大原チョー弱いわ。クズだろ。お前らでも余裕で倒せるぞ。今度やってみ。」
と言った。完璧大原先生を馬鹿にした言葉だった。
また、こんなこともあった。
給食の時間。その日デザートはプリンだった。悪がきどもは2つも3つもとっていく。大原先生はそれを許すはずがなかった。
「だめー。一人ひとつ!戻す戻す!!」
「なんだよ、大原!!」
「ふざけんじゃねぇ!!」
それぞれの机にある複数のプリンを入れ物に戻す大原先生に、一人の男子が動き出した。その名は、野内巧通称ヤウチ。
ヤウチは大原先生が座っている机を思い切り蹴飛ばした。給食が床に落ちて、皿はバラバラに割れた。
「なにすんのよ!」
「黙れブス!」
ヤウチは大原先生の足も思い切り蹴った。
「痛っ!」
そして、大原先生のプリンを奪う。ブンブン振り回して、
「おーい、一輝パス!」
と、遠くにいる悪ガキ・一輝にプリンを投げた。
「へ~い。ヤウチ、こっちこっち!」
一輝はナイスなキャッチをして、そのまま床に投げ付けた。プリンはもはやぐちゃぐちゃだ。それだけならまだいいものの、一輝はそのプリンを靴で踏みつぶしたのだった。
「ザマー大原。これ食ってみろよ!」
いくらなんでもやり過ぎだよ・・・。大原先生は、
「んも~、もったいない。食べれなくなったじゃん!」
と苦笑しながら言っている。これに耐えられるって凄いよな。
一学期の中で一番大きな騒動だといっても過言でもなかったことが、これだ。
結菜という女子がいた。その子はきゃぴきゃぴした性格で、男好きで、自己中心的だった。また、目が非常に悪い。だからいつも眼鏡をしている。
ある日の英語の時間。相変わらず授業になっておらず、俺たち数人くらいしかまともに聞いていなかった。
「ねぇ、うるさいんだけど。」
と、いうが通じない。その時結菜はというと、後ろの席の女子とおしゃべりしていて、内容は
「明日遊べるー?」
「あ、ゴールデンウィークの終わりの日なら遊べる。」
というものだった。
「そのひって、何曜日だろ。カレンダー、カレンダー・・・」
この日結菜は眼鏡を忘れたのだろう、目を凝らして立ち歩いてカレンダーに近づいた。
大原先生は、ピキーンと来たのか、結菜に近づいて、
「立ち歩くなって、言ってるじゃん!」
と、思い切り結菜の肩を掴んだ。結菜は驚きもせず、
「生徒に暴力奮っちゃだめですよ。」
といった。よく言うよ。
「座りなって!」
「曜日見てから。」
押し合いが続き、結菜は我慢できずに大原先生の頬を平手打ちした。大原先生もやけになって同じことをし返した。
パリーン・・・・
ガラスの割れるような音がした・・・。と思えば、結菜の眼鏡がバラバラになって床に落ちていた。
「あ・・・・」
一瞬空気が止まった。やっとわかった。大原先生が仕返しして眼鏡が壊れちゃったんだ。クラスはわっと騒いだ。
「あーあっ!生徒に暴力奮った!!」
「クビだ、クビだ!」
結菜はというと・・・
「これ高かったのにっ・・・!!」
と、泣き出した。大原先生は、アタフタして眼鏡を直そうとしている。それで、今日の英語の授業は終わってしまった。
休み時間、教室で大原先生がクビになるかって話で盛り上がったが、結局、話し合いをしたらしく、眼鏡の代金を払っただけだった。
生徒は残念がっている。”いっそクビになってくれればよかったのに”と。
こういうことがあり、クラスの中で、2つの組に分かれた。
1つは、大原先生を馬鹿にせず、真面目で、先生に気に入られて、内申のよい組、『お気に入り』だ。その中に入っているのは、まず俺、達之介、萌、関さん、その他数人だった。
もう1つは、その逆の人たちで、特に名前はついていない。クラスのほとんどがその対象となっていたから、悔しかった。
悪さをしていて、それを止めようとすると、
「やめろ、お気に入り。」
と、いわれる。
「お気に入りー、お気に入りー」
そう言われてしまうと、何も言えなくなってしまう。これで、俺たちも嫌われてしまったんだ。クラスに。でも、俺たちはまだましだった。大原先生に何もアドバイスしたりせず、悪さもとめたりしなければ普通に話してくれたから。だが、萌や、関さんなどの人たちは別だった。いるだけで嫌われ、口実に『お気に入り』が使われる感じ。
それはホントに悔しかった。
ほかにもたくさんあるのだが、ここでいったんやめておこう。なんせ、毎日が非日常生活なんだから、書いていたら切りがないだろう?
次回もよろしくお願いします☆