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『約束』  作者: wokagura
☆過去編(三学期)☆
16/39

第16話 バレンタインデーというものは・・・





 2月は節分以外にもイベントがある。現代人にとってはこっちのほうが重要なイベントかもしれない。

 




 それは、2月14日・・・・・・・そう、バレンタインデーだ。


 朝っぱらから、女子たちは大騒ぎだ。


 男にあげるというよりは、女子同士で友チョコを交換する感じ。先生に見つからないように頑張る人もいたが、大原先生自体あげたり、テニス部にもらったりしてるから全然大丈夫だった。


 これを見て、男子たちは


「うわ、キモいな。チョコなんてもらって何が嬉しいの?」


 みたいなことを愚痴っていた。確かに、俺たちには縁のないことかもね。




「あんなにチョコもらって、太んねーのかな?」

「それ、触れちゃ駄目でしょ、達之介。」


 と、昼休みに俺と達之介で話してると萌がそっと近づいてきて、こういった。


「・・・二人とも、放課後教室に来てくれない?」

「え?俺と駿?」

「うん。ちょっと、用があるの。」


 そっと囁くように言われ、俺たちは不思議そうに頷いた。











 そして、放課後、俺たちは誰もいない1年2組の教室に来た。


「えーと・・・確かに言われたよな?」

「うん。俺が証人だ。」

「だな。」


 そんなことを話していると、何かを持っている萌がやってきた。


「ごめんね、二人とも。わざわざ来てもらって。・・・はい。」


 萌は持っているものを俺たちに渡した。


「え?」

「これ、チョコなんだ。二人にはいろいろ助けてもらったから、感謝の気持ち。よかったら、受け取って。」


 笑顔で言われ、俺と達之介は顔を見合わせて、受け取った。


「あ、ありがとう・・・・でも、感謝だなんて、そんな立派なことしてねぇぞ?」

「ううん、私にとっては恩人なんだ。本当にありがとう!」


 俺は、凄く嬉しかった。さっきまで、縁のないつまらないイベントだと思っていたが、今そんな気持ちは消え失せていった。











 家に帰ってみると、聖奈が口をチョコでいっぱいにしていた。


「化け物か、お前は!?」

「聖奈ですよぉー」

「いや、わかってるんだけど、それ全部チョコか?」


 テーブルの上にはたくさんのお菓子袋。


「うん。幼稚園でもらったの。」

「太るぞ。」

「いいもん。兄ちゃんはもらってきたぁ??」

「・・・・あぁ。」


 その言葉には母さんが反応。


「あら!?あなたがもらってくるなんて・・・・」

「もらっちゃ悪い?」

「いや・・・モテてるのかなって。」

「馬鹿じゃないの?そんなんじゃないって。普段助けてもらってるから感謝の気持ちだって、もらったの。」

「あぁ、そう。」


 俺は溜息を吐いてソファに腰かけた。そして、萌の袋を開けた。トリュフらしきチョコとともにメッセージカードが入っていた。達之介も入ってたのかな。


 カードにはこう書いてあった。


”駿君、いつも助けてくれて、ありがとう。駿君のおかげで私は何回救われたかわかりません。あと、クラス替えまで1か月と少しだけど、これからも仲よくしてください。じゃあね。”


 チョコを食べながらそれを見ていると、微笑ましくなってきた。


 人に物をもらって、こんなに嬉しかったことはないだろう。


「ねー、聖奈にもちょうだい♡」


 なんで、気分を乱すように来るんだ、こいつは。


「嫌だね。自分のだけで充分だろ。」

「えーっ」







 そんな感じで、俺は萌のチョコを存分に味わった。














 部屋で、俺は思った。



 少し前から俺は萌に不思議な想いを抱いている、と。逢うだけで穏やかになるし、こうやって物をもらったり、前みたいに家に招待されたりしたら、これまでにないドキドキを感じていた。

 

 萌を見ていると・・・思わず見惚れてしまうし、助けてあげたいって気持ちも充分にある。



 親友・・・・・



 以前俺は萌にそう言ったが、果たしてそれだけなのか?



 男友達しかいなかったから、そう思うかもしれないが、普通の女友達とはまた違う。



 『助けたい』、『話したい』、『一緒にいたい』、『見惚れていたい』、・・・・・『恋しい』・・・・どんどん大きく膨らんでいった俺の気持ち。それはまるで、何かの欲求を満たしたいかのようだ。




 保健の授業で、習った。



 人は欲求の中に、”愛情”というものがあると。性とどう向き合うかって授業でも、”恋”というものがあると先生は教えてくれた。





 俺、いつの間に、こんな気持ちになったんだろう?








 どうして気づかなかったんだろう・・・?







































 ________萌のことが・・・・・好きなんだ・・・・・・___________















次回もよろしくお願いします☆

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