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25分の1の——ノノ  作者: シンサク


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第9話 作戦会議〜行動開始

「基本方針を決めましょう」

 ヒョウコさんが力強く言った。

「基本方針?」

 ノノは首をかしげる。

「ええ。方針というか戦術といった方がいいかしら」

 言い直すヒョウコさん。

「まず第一に、アタシたちチームの戦術の要は、エイチちゃんの探知と、ヨシユキちゃんの爆弾になる」

「はい」

「お、おう」

 男子2人が応える。

「エイチちゃんの探知とアタシたちの目視で、相手チーム——チームとは限らないけど、とにかく相手を先に見つけさえすれば先制が取れる」

「ネギシくんの爆弾をドーンと投げ込むんだね。あ、投げ込んでドーンかな?」

 とノノ。

 ヒョウコさんはちらっとノノの方を見た。

「ま、そういうことね」

 ノノの発言はさらっと流して話を進める。

「でも、爆弾を使うかは相手の人数とその距離間隔によるわ。一戦で使える数に制限があるんだから」

「1人相手に超強力な爆弾使うの、もったいないもんね」

 まとめて数人をぶっ飛ばせる威力があるのだから、数人を狙えるチャンスがあった時に使った方がいい。

「呑気なこと言ってるけど、 もし1人か2人で行動している子を見つけたら、先制攻撃を仕掛ける役目はモモセちゃんがやるのよ」

 ノノは目をパチクリさせた。

「わたしが?」

「そりゃそうでしょ。少数相手に強力な爆弾を使うのはもったいないもの。代わりに何度でも遠距離攻撃ができるモモセちゃんがやるのは当然でしょう」

「それもそっか」

 先制攻撃を仕掛ける役目は離れたところから攻撃できる能力を持っている人がやるのは当然だ。

 ヒョウコさん、イチズちゃんの能力だと相当に敵に近づかないといけない。気づかれず攻撃が届く距離まで接近するのは難しい。

「まあ、場合によっては待ち伏せって手があるけどね。相手の方がアタシたちに気づかず、こちらに接近してくる場合とかね。

 その時は、身を潜めてアタシの火炎を使った方がいいでしょうね。アタシの火炎の方が断然威力は上なわけだし。まともに浴びせかけることができれば、それで即決着。

 都合よく相手が2人で、身を寄せ合って行動してくれていたら、まとめて燃やし尽くすことだってできる」

「なるほどね。でも、そんなに都合のいいことあるかな?」

「まあ、あるかもしれないし、ないかもしれない。最初はチームでまとまって行動していても、戦いが進んでいけば少人数ないし単独で行動する人も出てくるでしょうし」

「味方がやられちゃったわけだ」

「とはいえ、離れたところから先制攻撃できるなら、それに越したことはない。さっきも言ったけど、見つけた相手の人数と距離間隔による。ネギシちゃんの爆弾を投げてさらにモモセちゃんのブーメランで追撃するパターンだってあるわ」

「なるほど」

「その場合、アタシが指示を出した方が良さそうね。誰を狙うのが良さそうだとか」

「んー。いいけど」

「ホウジョウは?」

 ネギシくんが言った。

「こいつは、何をするんだ?」

 そういえばイチズちゃんのことを忘れていた。

 イチズちゃんに視線が集まる。

「ホウジョウちゃんは——」

 おや?。

 ノノはあることに気づいた。ヒョウコさんの各人の呼び方についてだ。

 モモセちゃん、ホウジョウちゃん、エイチちゃん、ヨシユキちゃん。ちゃん付けは共通しているけれど、女の子が苗字呼びで、男の子が名前呼びだ。

 ふぅん?

 ノノが女の子を名前呼び、男の子を苗字で呼んでいるのとは逆になっている。

 だからといって、何だという話だけど。

 何か意図があるのかな?

 ノノの場合、同性の方が気安く呼べるからだけど、ヒョウコさんは異性——男の子との方が気楽に話せるということなのかな?

 まあ、そんな気にすることでもないか。

 ちなみにノノは、ヒョウコをヒョウコさん、イチズをイチズちゃんと呼び分けているが、これは無意識のものである。

 さん付けとちゃん付けの使い分けは明白で、ノノは同年齢で自分の身長より高い相手にはさん付けをし、低い相手にはちゃん付けをするという癖がある。

 本人は気づいていないこの癖がなぜついたのかは不明である。

「こっちが待ち伏せする時とか、こっちが先に攻撃した相手が向かって来た時とかに、頑張ってほしいわね。まあ、臨機応変ってところね」

「わかった」

 イチズちゃんは頷くでもなく、ただ言葉だけで答えた。

 本当にわかっているの? とちょっと思っちゃう。

「まあ、接近戦能力は戦術としては組み込みにくいからね。基本は待機。いざという時は、頑張ってほしいんだけど。

 なんていうか、みんなのフォローっていうか。そういう役割をしてほしいんだけど。

 アタシ、能力抜きにすれば喧嘩とかできるわけじゃないし。エイチちゃんなんか攻撃手段がないわけだし」

「わかった」

 やはり言葉だけで無表情に回答。

「……」

 ヒョウコさんもイチズちゃんのノーリアクションぶりに本当に話が通じているのか不安がっているようである。ため息をつく。

「ま、よろしく頼むわよ」


 ともあれ。

 お互いの能力を確認しあい、基本的な戦術を立てて、ノノの所属するヒョウコチームとでもいうべきチームは動き出したのだった。

 まずは倒すべき相手を探す。どこにいるのかさっぱりわからないけど。

 とりあえず闇雲に探し回るしかないようだ。

「とにかく、相手に見つからないようにすること。先に相手を見つけること」

 探り探りで慎重に進む。建物の陰に隠れたりしつつ。

「エイチちゃんの探知があるから、ばったり相手に出くわす心配が少ないのは助かるわね」

 ヒョウコさんは言う。

 ノノは歩きながら時々空を見上げる。残り人数のカウントを確認するためだ。

 残り時間のカウントも目に入るが、そちらは当分気にする必要はあるまい。

 開始数分で25から24人に減ってからは変化がない。

「まだ誰も脱落してないみたいだね」

 ノノが誰に語りかけるというわけでもなく言う。

「まあ、ほかのところも僕らと同じようなものでしょうからね」

 エイチくんが反応する。

「チームを組む組まないの話し合い。それからお互いの自己紹介。自己紹介が先かもしれませんが。能力を教えあって作戦や行動方針を練る。それからようやく動き出す。

 だからほかのグループも動きだして間もないはず。もしかしたら、まだ行動を開始していないところもあっておかしくない。だから、戦闘というか、接敵自体まだ起こっていないのでしょう」

「そっかー」

「まあ、そろそろ何かしら動きがあるかもしれませんが」

「チーム同士が出会って、戦闘開始ってこと?」

「まあ、そうですね。でもまあ、カサイさんがいうように先に相手を見つけた方が圧倒的に優位に立てますからね。みんな僕たちのように慎重に進んでいるとしたら、ばったりと出会ってというより、一方が一方を見つけて、先手を取る形になりそうですが——」

 セトくんが動きを止めた。

「みんな、止まって。静かに」

「どうしたの?」

 ノノは声をひそめて聞いた。

「見つけました」

 セトくんが真剣な声でいった。

 何を? と聞くまでもない。ノノたち以外の誰か。生き返るために倒さないといけない人たち。五つしかない生還の権利を奪い合う相手。

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