表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

第5話 チーム結成

「早!」

 思わず口に出た。

 まだカウントダウンが開始して数分しか経っていない。制限時間のカウントを見れば、5分ちょっとしか経過していない。

 こんなに早く残り人数が減るなんて!

 と思ったものの、開始どれくらい経ってから残り人数が減り始めるのが適正かなんて、ノノもわかっていない。

 少なくとも、あと数十分くらいは残り人数が減ることはないような気がしていた。

 ここにいない20人が5人ずつに分けられているのなら、みんなノノたちのように話し合いをしているだろうし。ミーティングだ。

 各自状況を整理して、空からの声が告げたことの各々の解釈を確認し合って、チームを作る話になって、自己紹介をして——ああ、それからお互いの能力だって教え合わないといけないはずだ。

 到底5分で終わるものではない。

 ノノたちだってまだ話し合いのさわりくらいの段階だ。

 よっぽど、話をまとめるのが上手い人でもいたのだろうか?

 いや、チームを速攻で組んで即刻動き出したとしても、まずは自分たち以外の人たち、つまりは倒すべき相手を見つけないといけないわけで。

 五組が互いにどのくらい離れた場所に配置されているかはわからないけど、そんな近いところにいることはないはず、多分。

 チーム間の戦いがそんなにすぐに起きるわけがないのだ。

 となると。考えられるのは——その場にいた5人の中で争いが起きた。

「チームを組むという提案が出ずに、すぐさま争いになったのでしょうか?」

 ノノも考えたことをメガネくんが言った。

 それを聞いたギャル女子がニヤリと笑ったような気がした。ほくそ笑んだというか。

 しかし一瞬だったので、ノノの勘違いかもしれなかった。

「先走った誰かが暴れ出した。その可能性もなくはないけど。でも、多分違う。

 よほどのバカでなければ、自分以外に4人いる状況で戦いを仕掛けたりしない。1人くらい倒せても、残った3人に総攻撃される可能性は高いんだから」

「なら、なんで1人もう減ったんだ?」

 野球少年が聞く。

「普通はいきなり攻撃をする判断はしない。でも、そうしてもおかしくない状況は考えられるわ。

 おそらく、チームを組むという話が出たけれど、それを拒否した人が人がいたのね。そして単独行動を取ろうと、その場を立ち去ろうとした」

 ギャル女子が、先ほどこの場を離れようとしたおかっぱの子をちらりとみた。

「ん? それでなんで1人減ることになるの? 

 ていうか、なんでチームを組むのに反対して1人で行こうとするの? だれもそのことを思いつかなかったんならともかく」

 浮かんだ疑問をノノは口にする。

「これから始まる戦い——もう始まってしまっているんだけど。この戦いで生き返ることができるのは言うまでもないことだけど5人」

「うん。だから5人でチームを作って協力し合うべきなんでしょう? 5人まで生き返られるんだから、5人でまでチームを組める。それが一番でしょ?」

 ギャル女子が首を振った。

「必ずしもそうとは言えない。いえ、やっぱり一番は5人組を作ることだけども。でも、チームを作るということは戦うということ」

「当たり前じゃん。戦わないと生き返られる5人に残れないんだから」

「いえ、違うわ。戦わなくたって5人に残ることは不可能じゃないのよ。隠れていたっていいのよ」

「え? それってほかの人たちが戦い合って残り5人になるのを隠れて待つってこと?」

「そう。これがたった1人の生き返りを決めるための戦いなら、一切戦わないというのは無理でしょうね。

 でも5人も生き返り枠があるならば、隠れていればいいじゃんみたいに考える人は出てもおかしくない。漁夫の利を狙って。

 それ以前に戦い自体に恐れをなす子だっているでしょうね」

「なるほど」

 ノノ的には、ほかの人たちがやる気ならやるしかないかって感じだったので、戦わないという発想はなかった。

 ほかの人たちはどんな能力を貰ったんだろうとか、色んな能力相手にブーメランの能力でどれくらい戦えるんだろうとか、そういったことに頭がいっていた。

 そもそも戦わない選択肢もあったのか。

「確かにその方が賢いかも」

 ノノの言葉にギャル女子が首を横に振った。

「いえ、それは決して賢明と言える選択、戦術ではないわ」

「なんで?」

「隠れているだけの人がいたって、戦って勝ち残ろうとしている人たちになんのメリットもないから。隠れられたら、あとで探す必要が出てくる可能性は高い。身を潜められたら探すのに手間がかかる。

 隠れているつもりじゃなくても、単独行動を取ろうとしている人とは、あとで敵として戦うかもしれない。

 全く戦わないつもりではなくて、残り人数が減ってから動き出して戦闘に参加するというやり方だってある。

 チームに加わる気がない人を黙って行かせるくらいなら、後ろを向いて立ち去ろうとしているときに攻撃しちゃった方がいいのよ」

 ギャル女子がきっぱり言った。

「そうすれば、あとで余計な心配をする必要がない」

「なるほどなるほど」

 ノノは関心しきりだ。

「すごいね。よくどこかで起きたことが推理できるね」

「推理ってほどじゃないけれど。おそらく一番高い可能性って話よ」

「なるほど。やっぱりチームを組むのが一番ってことかぁ」

 そんなこんなでみんなチームを組むことに同意した。

 それぞれ思うこともあるようだけど。チームを組んだ以上はこのチームで頑張ろう。

 この5人で勝ち残り、ひいては生き返りを目指そう。ノノは素直に前向きに考えていた。

 

 カサイヒョウコ——ギャルっぽい女の子。

 セトエイチ——メガネの男の子。

 ネギシヨシユキ——野球部っぽい男の子。

 ホウジョウイチズ——おかっぱの女の子。

 この4人にノノ自身——モモセノノを加えた5人チーム。

 名前を漢字でどう書くのかは聞かなかった。ヒョウコというのは少々気になったけど、そのヒョウコさんが話を先に進めようとしたため聞く機会を逃した。

 きちんと採決をとったわけではないけど、ヒョウコさんが仕切り役、リーダーみたいな感じなので、カサイチームと言ったところかな、なんてノノは考えた。

 別にヒョウコさんがリーダーで不満はないし。

 ノノは自分がリーダーに向いていないことくらいわかっている。

 ヒョウコさんは頭の回転が早いようだし、決断力、判断力もありそう。リーダーには適任な気がする。

 というよりは、ほかの子達がリーダーには向いてなさそうな感じだし。

 イチズちゃんは口数が多い方じゃないようだし、無表情でなに考えてんのかわかんないし。

 セトくんは頭は良さそうだけど。場を仕切るタイプではなさそう。

 ネギシくんは弱気な態度からしてはっきりとリーダー不適格。弱腰なのはこんな状況だからで、普段はもう少ししっかりしているのかもしれないけれども。でもほかのみんなは結構しゃんとしているから、やっぱりメンタルがだいぶ人よりも弱いんじゃないかな。

 そんなことより興味があるのは、それぞれの能力だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ