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25分の1の——ノノ  作者: シンサク


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第11話 女の子2人

 追跡中に残り人数を示すカウントが23になっていた。

 気づいたのはイチズちゃんだった。この子はどうも空ばかり見ている。残り人数が気になるのだとしても別に不思議はないけど。

「アタシたちがバラバラにしたチームの誰かが、別のチーム行動してる子たちに見つかってやられたのかもね」

 ヒョウコさんがニヤっと笑った。

「だとしたら、ヨシユキちゃんの爆弾では誰も倒せなかったけど、結果オーライね」

「そ、そうか?」

 とネギシくんが嬉しそうに言う。

「あんまり調子に乗らないでよね、ヨシユキちゃん。あのチームと関係なく誰かリタイアしたってだけかもしれないんだから」

 ヒョウコさんの言葉に、ネギシくんはしゅんとなる。感情の浮き沈みが結構激しい。

 

 追跡の果て——という言い方は大げさか。

 2人の女の子を見つけることができた。

 女の子は2人で恐々と歩いていた。

 隠れることを選ばなかったようだ。

 逸れた仲間を探そうとしているのかもしれない。

 隠れ潜んでその様子を伺おうとしたら。

 女の子2人の体を黒いトゲが貫いた。

 黒いトゲ。そう言うしかない。

 その長さは2メートルはあるのではないか。

 それが地面から突然伸び出してきた。

 4本も。

 ノノは思わず声を上げそうになってしまったが、なんとか堪えた。

 4本のトゲは、2人の女の子を貫いた。

 貫いたはずだった。

 そのはずなのに、女の子の1人、ぽっちゃりとした子が走り出した。

 トゲなんてないかのように。

 トゲがすり抜けたかのように。

 ノノは呆気に取られた。

 何が起きたのだろう?

 残された髪の長い女の子は——こちらは確実にトゲで貫かれていてる——連れの女の子が逃げたのとは別の方を見た。ノノからは角度的に何を見ているのかわからなかった。

 黒いトゲが地面に引っ込んだと思ったら、串刺しの女の子の目から赤い光が一直線に放たれた。ビーム?

 少女は膝をついたかと思ったら、その体が光の粒となって消えた。

「離れるわよ」

 ヒョウコさんが言った。

 言われれるがままにチームは移動を開始する。

 空を見上げると、残り人数を示すカウントが22になっていた。

 さっきの串刺しにされた女の子の分だ。

「ある程度のダメージを食らうとああやって光になって消えてしまうんですね」

 セトくんが言った。

「ある程度というより、死ぬほどの——生きているときなら死ぬくらいのダメージを受けたら、ここでは消えることになる。そういうことでしょうね」

「そうね」

 とヒョウコさんは素っ気なく答える。

 ノノたちは現在、逃げて行ったぽっちゃりの子を再び追っている。

「致命傷を受けたら光になって消えるってことはわかったけど」

 ノノは言った。

「何が起きたのかよくわかんなかったな」

「あの2人を見つけた誰か、もしくは誰かたちが奇襲を仕掛けた」

 ヒョウコさんが口を開く。

「黒いトゲはもちろん能力。随分と凶悪ね。串刺しなんて」

 ヒョウコさんの声のトーンが落ちている。先ほど目撃した光景に少なくないショックを受けているのだろうか。

 やる気満々なようでも、やっぱり実際に悲惨な光景を目の当たりにすると違うのだろう。

「それで女の子の1人はやられた。

 でも、もう1人の女の子は能力のおかげで助かった」

「能力——」

「物体をすり抜ける能力ね。逃げる時には建物の壁をすり抜けて行った」

「それって無敵じゃない?」

 ノノは疑問を口にする。

「そんなことはないはず。無敵の能力なんてあったら、ほかの子たちにとって話にならないもの。

 そもそも無敵ならチームを組んで行動することもないわけだし」

「それもそっか」

「無敵な可能性もなくはないけど。その場合、能力の持続時間は極めて短いみたいな制限があるはず。

 でも多分、すり抜けられるのは物質的なものだけなんじゃないかしら? モモセちゃんのブーメランやホウジョウちゃんの大太刀はまず通じないでしょうけど。あと投石なんかも。

 だけど、アタシの火炎やヨシユキちゃんの爆弾が起こす爆発は通じると思うわ。

 あと人体はすり抜けられないみたいな制限はあるかもしれない」

「武器はダメだけど素手なら効くってこと?」

「憶測だけどね。とにかくアタシの火炎が効く可能性は高いとみてるわ」

 言葉に少し重々しいものを感じる。

 ヒョウコさんの考え通りならば、あの子を見つけたとき、攻撃するのはヒョウコさんになるからだろう。

 積極的に戦うつもりではいるようだし、失敗したネギシくんを叱責したりもしたけれど、いざとなるとヒョウコさんでも緊張はするということだろう。

「21」

 イチズちゃんが呟いた。

 あんまり鋭くないノノでも、その言葉の意味は理解できた。空のカウントが、また一つ減ったのだ。

 空を見上げれば、やはりカウントは21になっていた。

 また、どこかの誰かがリタイアしたのだ。それはノノの知らない誰かかもしれないし、ノノたちの襲撃でバラバラになったチームのうちの誰かかもしれなかった。

 あのチームの誰かならば、串刺しリタイアの子と合わせて2人。その前のリタイア者もそうだったとしたら、3人がリタイアしていることになる。

 ヒョウコさんは実際のところはどうかわからないと付け加えていたけど、もし本当に、結果的にネギシくんがバラバラにしたあのチームのメンバーが次々とリタイアしていっているなら、一応ネギシ君のお手柄と言えるだろう。

 もし、これであのぽっちゃりした子もリタイアさせられたら、あのチームのうち4人を最終的にリタイアに追い込めたことになる。

 一網打尽にはできなかったけど、5人チーム中4人が敗退する結果になったら、貴重な爆弾を費やした戦果としては十二分だろう。

 そもそも5人まとめて吹っ飛ばすなんてのは理想論。それはヒョウコさんだって心得ていただろうけれども。大暴投で1人も倒せなかったのは、期待はずれもいいところだったろうけれど。

 ヒョウコさんとしては、1人は当然、せめて2人、できれば3人に被害を与えてほしいといったところだったろう。

 ノノたちが知らないところでリタイアした2人が、本当にあのチームのメンバーなのかもわからないし、ヒョウコさんとしては、どうせばらけるなら、1人くらい脱落させた上での方が良かっただろう。

 このあと、ぽっちゃりした子をリタイアさせることができれば、最低2人は爆弾を消費した結果、倒せたことになるから、まあ、採算は取れるのではないか、というのがノノの見立てであった。

 ヒョウコさんは、やっぱりあの時まとめて吹っ飛ばせたのなら面倒がなくて良かったと考えているかもだけど。

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