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この葉の声  作者: k.go
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この葉の声

この葉が舞う

あなたに届くように


この葉が歌う

あなたに見つけてもらえるように

雨上がり

綺麗な空が広がっていたのに、この葉の上では雨が降っていた


カタツムリが泣いていたから


みんなに遅い、とろいと言われてないていた

カタツムリは殻に閉じこもっていた

だからこの葉は枝をふりほどいて飛んだ

殻に閉じこもったカタツムリを乗せて

遅い遅いと言っていたトカゲより速く、飛んでいたトンボよりも高く

広い世界をカタツムリと楽しんだ

そしてアジサイのところまで運んであげたんだ

優しい友達がたくさんいるアジサイの葉の上に


カタツムリと別れてから、この葉はまた高く舞い上がった

誰かと出会えるように


この葉が赤くなった頃ライオンに会った

ライオンは怒っていた

たてがみを逆立てて友達とケンカをしていた

赤くなったこの葉はたてがみにピッタリくっついた

怒っているライオンはキョトンとしていたけど、急に可愛らしくなった自分の姿に笑ってしまった

一度笑ってしまうとまた怒るのは難しいかった

ライオンは仲直りをするきっかけが欲しかっただけだったんだ

ライオンは友達と前よりも仲良くなった


ライオンと別れてからまたこの葉は舞い上がった

誰かとお話がしたかったから


この葉が茶色になった頃、柴犬にあった

柴犬はご主人を待ちながらバス停でじっとしていた

時折人の顔を見ては違ったと退屈そうに俯いた

この葉は集まって山を作った

柴犬は、わっと笑顔になると、この葉の山に飛び込んだ

この葉と遊びながら飛び跳ねた

しばらくしてご主人が現れた時、この葉まみれでとてもびっくりしているのは面白かった

柴さんありがとう。ごめんね。


柴犬と別れてからまたこの葉は舞い上がった

少しうらやましかったから


この葉が枯葉になった頃、うさぎに会った

木の下のジメジメした小さな穴でうさぎは震えていた

寒くて怖くて震えていた

この葉はうさぎにそっと寄り添った

たくさんのこの葉でうさぎを包み込んであげた

ジメジメで濡れないように、キツネに見つからないように

そしてサラサラと音を奏でた

春になるまでの少しの時間だけ


春、この葉は大きな木の栄養になってまたこの葉になった

またみんなに会えたらいいな


みんなが気づいてくれたら

見つけてくれたら

きっともっと高く飛べる


私の声を聞いていってくれませんか?

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