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裸円


 当たり前のように僕がとまっている部屋に帰ってきた菜花は聞くまでもなく結果を教えてくれた。聞かせてやるかわりにと遅めのお昼を要求され、検索すると一番上に出てきたHPからⅯサイズのピザを頼んでいる間に菜花は部屋に帰ってしまう。


 すぐに彼女は備え付けのコップをもって帰ってきて勝手に冷蔵庫を開けてジュースをのみやがると少し神経質そうに早口で文句を言いはじめた。

 遺体と菜花のDNA情報が完全に一致してしまったことは警察もあり得ないと考えたようで、追加でサンプルをとられたそうだが口腔内の粘膜だけじゃなかったそうだ。


「結局全部とられちゃったんだー、簡単に了承するんじゃなかった」

「注射嫌いだもんなー」

「馬鹿にしてる?好きじゃないだけ」

「えー、採血は絶対みないって目をつぶってたんだろ?」

「いつの話?」

「ほら意地になってる。もっと血を抜いてもらえよ」

「それよりも髪を毛根まで、しかも何本も取られたのよ、乙女の扱いにはひどいよね」

「乙女ではないだろ」


 だんだんといつもの調子になって安心する。しかし、事件について考えないなんてできるわけもなく、つい話題が戻ってくる。


「菜花はどっちだと思う?」

「なにが?」

「あれは菜花かどうかだよ」

「うちが菜花」

「そうだけども!」

「ごめんごめん、死体のことだよね全くの別人じゃないかな」


 あっさりと検査が間違いだと言ってしまう菜花に驚く。だってあの死体はどう見ても菜花だったのだ。


「だって私が殺されるような理由ないもん」


 少し待つとあっさりと理由を言ってくれたが特に深い考えはなかった。ただ、それが菜花らしくて安心する。

 

「あるかもしれないだろ」

「え、ひっどーい。一生にはあるの」

「ほら、ピザをたかられたりね。」


 ちょうどホテルの下についたというメールが入ったので恩着せがましく言ってやる。

 フロントに上まで上げてもらうようお願いして話を続ける。


「ドッペルゲンガーとかじゃないか?」

「たしかに。じゃなくてそれだと私が偽物じゃない。同じ顔の奴なんて見たことない」

「なら、スワンプマンとか?ちょうど偽物ができてそっちが殺されたとか」

「どうあっても私を当事者にしたいの?」

「そーゆうわけじゃ……でもゾンビってろまんじゃないか」

「あーはいはい、中二病が抜けてなかったのね」

「は!?お前の方がひどかっただろ」


 ゾンビならこんなかすみたいな会話してくれないだろうなと、勝手に喜んでいた僕は馬鹿だったと今は思う。

 彼女は次の日にいなくなり、数日後警察が菜花の死を伝えてくれてしまったのだから。

頑張れーとても遅くなってごめんねー

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