突然の求婚者ですか?
天気は快晴。なのに、私は自室に引きこもっている。
皇子との会食から涙を堪えて部屋に戻り、あの地獄のような時間から3日が経っていた。
巨大な王国の皇子と結婚したいらしいお姉様達は、珍しく、我先にと媚びを売って皇子にまとわりついているようだという噂を聞いた。
「あの人たち、いつまでいるのよ……。」
お姉様達には優しそうに微笑んでいるくせに、私とすれ違う時は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
初恋の人にあんな顔で見られる生活は流石に辛いものがある。
私はいつもと同じ日常。
ご飯を食べる、ゆっくりする、侍女と話す、紅茶を飲む。
ただ、部屋から出なければ会うこともないだろうと思い、引きこもってはいるがそれも息が詰まりそうである。
コンコン
「ユアン様、本日アポイントメントの無い求婚の方がいらっしゃっています。」
侍女がドアの外から私に声をかけられた。
今日は求婚者が来る予定はないはずだ。
普通、求婚というのは約束をしてくるもので、それを迎えるためにこちらも用意をするのだけれど…。
少し迷ったけど、タダ飯食いの私でも求婚の対処は唯一の仕事である。
「分かったわ、支度をしたら応じると伝えなさい。」